人工島(マリンポートかごしま)問題についての質問と当局の答弁の一覧
2011/03/17 2011年3月議会 緊急質問
★まつざき真琴
 この地震災害が報道されてすぐ、私のところに何人もの方から、「やっぱり人工島は危ない」、「防災拠点なんてとんでもない」という声が寄せられました。人工島は海に突き出たもので、今回の地震による津波被害を最も受けやすいものであることは明らかです。また、千葉県の浦安市などの埋立地では液状化現象が起きて、道路も至るところで波打ち、一メートルほどの段差や亀裂が各所に見られたことからも、人工島は防災拠点としての役割は果たせないことは明らかです。
 既に完成した一工区には、約三千万円を費やした防災シェルターや災害時にはトイレに使えるという防災ベンチもつくられています。間もなく埋め立てが完了するとされている二工区を含め、この人工島を災害時対応空間として位置づけ、整備を続けることは、税金の無駄遣いになるとともに、実際にここを一時的な避難場所や、仮設住宅を建設し避難生活を送る場所として使うことは、県民に不安を与え、県民の命を危険にさらすことにもなります。人工島の災害時対応空間としての位置づけを見直し、これ以上予算をつぎ込むことはやめるべきであると考えますが、知事の見解を伺います。

○土木部長
 マリンポートかごしまの災害時対応についてでございます。
 マリンポートかごしまにつきましては、岸壁などの背後には液状化しにくい土石流土砂を用いるなど、施工上配慮をしているところでございます。
 また、県地域防災計画において想定される鹿児島湾直下想定地震により発生する津波につきましては、波高が小さいことから港湾施設に被害は生じないと予測されており、マリンポートかごしまにおいて災害発生後に実施する救援物資の集積や一時的な避難民の受け入れ等につきましては支障はないと考えております。
 マリンポートかごしまは、大型観光船埠頭とあわせて、県民や観光客が憩い、海と触れ合える緑地空間として整備いたしますとともに、災害が発生した場合の対応空間として活用することとしており、今後とも着実に整備を進めてまいりたいと考えております。

★まつざき真琴
 自席から再質問いたします。
 知事にお尋ねいたします。
 人工島について、土木部長は、私が液状化を心配したことについて、土石流土砂を搬入しており心配はないと言われましたが、土石流土砂が不足したことから、半分は建設残土を入れております。液状化も心配ですし、あわせて津波の被害が起きないか、住民は当然心配するものと思われます。
 知事は、この人工島で避難生活を送る、このことを本当に可能だとお思いでしょうか、お答えください。

○伊藤知事
 もう残時間がないので答弁の機会はないと思っていましたが、お答えいたします。
 マリンポートが防災拠点たり得るか。私どもは長い計画の後に、マリンポートを今、防災拠点として位置づけております。
 想定外の津波、十メートルの津波となりますと、およそ鹿児島市内は全部つかるわけでありますが、災害はそれに限りませんし、いろんな災害が考えられることを考えれば、都市において緑地空間として一定の面積を持ち得ること、これは私は都市の安全上どうしても必要だと思っておりますので、そういう方向での今後の活用を考えたいと思っております。

★まつざき真琴
 地震や津波は自然の力によるもので、それを人の力でとめることはできません。しかしながら、それによる犠牲と被害を最小限にとどめようとすることは、人の力でできるものです。人工島も原発も人間がつくったものです。それが人の命を危険にさらすことは許されません。
2011/03/01 2011年3月議会 一般質問
★まつざき真琴
 次に、大型開発の公債費の増嵩についてであります。
 来年度当初予算の公債費は千四百三十二億一千万円、比率で一八・五%という高さは全国でもトップクラスであり、これが本県の財政を大きく圧迫しています。その原因について、知事は、「社会資本整備がおくれたために普通建設事業費がかさんだことや、その見直しも三年程度おくれていたため」と発言しておられます。
 総事業費六百四十六億円の豪華県庁舎、二百二十六億円の県民交流センター、二百六十九億円の人工島マリンポートかごしま、六十九億円のなのはな館など、過去の普通建設事業による県債残高、これは伊藤知事にとって負の遺産として引き受けざるを得ないものだったでしょう。しかしながら、昨年度から実施されている錦江湾横断交通ネットワーク可能性調査は、伊藤知事が始めた事業であります。この二年間の可能性調査で実現の可能性として示されたのは、鹿児島─桜島間にトンネルを掘るというもので、延長六・四キロメートル、工事費千二百億円というものです。二キロの錦江湾を越えるのに九州自動車道で言えば、加久藤トンネルや肥後トンネルよりも長い距離、一般道では武岡トンネルが一・五キロメートルですから、実に四・二倍の長さになります。
 知事は、就任直後の二〇〇四年八月に内之浦町で開催された知事と語ろ会で、桜島架橋について、過去の可能性調査で難しいという結果が出ていることに触れ、「我々が考えなければならないのは、本当にどのようにして大隅全体の振興を図るかということが大切である」と述べられています。
 知事が言われる大隅全体の振興とは何でしょうか。可能性調査の中で、開通の経済波及効果として救命率向上効果が上げられておりまずが、そもそも本県には、第三次救急医療を担う救命救急センターが鹿児島市立病院一カ所しかありません。全国で都道府県に一カ所しかないのは鹿児島県を含めて四県のみ。このうち山梨県と長崎県は、県の面積で言えば本県の半分以下です。九州では、佐賀県、大分県、宮崎県、沖縄県で県立病院が救命救急センターを担っています。救命率の向上を言うのであれば、県立の鹿屋医療センターを充実させ、第三次救急医療を担える病院にすることに予算を振り向ければ、大隅全体の住民の皆さんの医療や福祉の向上につながり、新たな雇用の場も生まれるのではありませんか。
 大隅半島の基幹産業である農業の振興も絶対に欠かせません。地元の商店街の活性化も大いに進めなければならないでしょう。借金に頼りながら普通建設費を増大させ、現在の県財政の危機的状況を招いた歴代知事の失政を繰り返すことなく、真の地域の発展のために何が必要かを検討し、知事の意思としての結論を導き出すべきと考えますが、見解を伺います。

★まつざき真琴
 次に、地域経済の活性化という観点で何点か取り上げます。
 長引く不況、デフレスパイラルとも言える経済状況の中で、どのようにして地域経済を活性化していくのか、地方政治の重要な課題であります。
 一点目は、公共事業のあり方です。我が党は、公共事業全般を問題視しているのではありません。県民の生活や地域に密着した公共事業は住民の福祉の向上に結びつき、また、地元の中小業者が直接受注できる機会がふえることになり、大いに尊重されるべきと考えています。ここでは公共事業のあり方を問う立場から、人工島マリンポートかごしまと、二カ所の県道の問題を取り上げます。
 まず、人工島について、これまで費やした事業費とそのうちの県の負担額、それに占める起債の割合について答弁ください。
 これだけの事業費を費やしている人工島が、地域振興や県民の生活にとってどのような役割を果たしているのか。県が言われる防災拠点としての活用自体が非現実的であることは、これまで指摘したとおりであります。昨年十月には、とうとう県民に二工区にどのような施設をつくったらいいかアイデアを募集されました。今さら県民に尋ねなければ活用策が見出せない代物なのでしょうか。
 中略
 今、住民の方たちの中で、本県道の四車線化を求める署名活動が広がっています。県は社会基盤整備の基本的な考え方として、地域密着型事業として、地域にとって真に必要な社会基盤の整備を進めるとしていますが、高規格幹線道路や重要港湾の整備は前年度を上回る予算がつけられる一方で、この地域密着型事業は、対前年度比八〇から九〇%台で年々減り続けています。非現実的な防災拠点や住民にアイデアを募集するほど使い道に困っている人工島に、これ以上予算をつぎ込むのはやめて、住民の安心・安全のために、さきに述べたような県道の歩道の設置や道路の拡幅などにこそ予算を振り向けていただきたい。見解を求めます。

○土木部長
 マリンポートかごしまの事業費についてでございます。
 マリンポートかごしまの平成二十二年度までの総事業費は約二百四十億円でございます。内訳といたしましては、基盤造成に係る事業費が約二百二十四億円であり、県の負担額は約百三十八億円、このうち起債額は約百三十二億円となっており、県の負担額に占める割合は約九五%となっております。また、緑地や待合所等の上物整備に係る事業費が約十六億六千万円であり、このうち県の負担額は約十六億二千万円で、そのほとんどが起債となっております。
 地域密着型の公共事業についてでございます。
 公共事業につきましては、限られた財源の中で県民にとって必要な社会基盤整備を推進し、一層激化する地域間競争に勝ち抜き、「力みなぎる・かごしま」を構築していく必要があると考えております。このような方針のもとにマリンポートかごしまの整備など、県土をつなぐ陸・海・空の交通ネットワークの構築や、県民の生活と暮らしを守る安全な郷土づくりを図る事業を重点事業として位置づけ、集中的な整備に努めているところでございます。
 また、生活道路の整備など県民の生活に密着した事業につきましては、地域事業連絡会を開催するなど、地域の実情や市町村の意向を十分踏まえながら事業の峻別、重点化を図っているところでございます。今後とも住民の安心・安全に資する道路の整備など、地域にとって必要な社会基盤につきましては、着実な整備が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
2010/09/24 2010年9月議会 一般質問
★まつざき真琴
 私が福祉の充実を求めると、いつも答弁でなされるのが県財政の厳しさであります。それでは無駄はないのかという点で、我が党はこれまで議案を精査し、県政の無駄遣いを指摘してきました。その象徴とも言える人工島マリンポートかごしまの二工区について、現在、千二百六十万円で設計委託がなされています。その中には、緑地や駐車場、防災関連設備としてシェルターや防災トイレなどの基本設計が含まれていますが、この間私が指摘しているように、災害後の対応空間として本当に海の中に突き出た人工島がふさわしいのでしょうか。予想される災害としては、台風、地震、豪雨などがありますが、その被災者が海に囲まれた人工島で、たとえ短期間であっても避難生活が送れるのか、だれが考えても非現実的であることは明らかです。
 現在、一工区の維持管理費に年間一億六千万円が費やされています。今回の千二百六十万円の設計委託や、今後、シェルターや防災用トイレなどを整備するお金があれば、特別支援学校のスクールバスの増便やリフト化は直ちに可能です。乳幼児医療費助成の充実も可能ではないでしょうか。これ以上人工島に事業費を費やすべきではないと考えますが、見解を求めます。

○土木部長
 マリンポート一期二工区についてでございます。
 マリンポートかごしまにつきましては、在り方検討委員会の提言や県議会の御意見等を勘案し、平成十七年に、県民や観光客が憩い、海と触れ合える緑地空間として整備するとともに、災害が発生した場合の対応空間として活用するなどの整備方針を決定し、それに基づいた事業の展開を図っているところでございます。
 一期一工区につきましては、平成十九年九月の供用開始以来、ことし八月までに百九隻の観光船が寄港し、来園者数も二百万人に達するなど、多くの県民や観光客の皆様に利用されております。
 マリンポートかごしまは、錦江湾の資源を生かした観光の振興やアジアの時代の交流拠点の形成、鹿児島市の都市全体の発展、災害対応空間及び緑地空間の向上を図る上で必要な施設であると考えており、引き続き整備に取り組んでまいりたいと考えております。

★まつざき真琴
 県財政が厳しいという理由で自分たちが我慢させられていることは納得がいかない。公平、公正な県政であってほしい。住民に納得のいく説明責任を果たしてほしい。このように県民の皆さんは私に訴えられておりました。
 人工島のあり方も問いましたが、何よりも県民の命と暮らしを守る県民本意の県政の執行を強く要求し、私の質問を終わります。
2010/03/09 2011年3月議会 予算特別委員会
★まつざき真琴
 よろしくお願いいたします。
 コンクリートから人への合い言葉で公共事業の見直しが進められていますが、本県における無駄な大型開発の公共事業の象徴である、私は人工島建設についてまずお聞きします。
 来年度当初予算一般会計に八千万円、特別会計に一億五千六百余万円が計上されています。
 まず、二工区の埋め立ての進捗状況と埋め立て完了の時期について、見通しをお示しください。
 あわせて、一工区の活用策について確認いたします。

◯土木部長
 二工区の埋め立ての現状と活用策についての御質問にお答えいたします。
 マリンポートかごしまの一期二工区の埋め立てにつきましては、平成二十六年十二月を竣功期限としておりますが、昨年の十二月末現在で、一期全体の計画土量四百四十六万立方メートルのうち約四百六万立方メートルを埋め立て、進捗率は九一%となっております。
 埋め立て完了時期の見通しにつきましては、現在、埋め立て土が陸上より運搬する残土を主なものとしておりまして、残土の発生が各工事の都合等により大きく変動いたしますことから、現時点での竣功時期の確定は困難であると考えております。
 一期二工区につきましては、大型観光船埠頭とあわせまして、県民や観光客の皆様が憩い、海と触れ合える緑地空間として整備いたしますとともに、災害が発生した場合の対応空間といたしまして、また、離島等の急患搬送用ヘリポートとして活用する計画としております。

★まつざき真琴
 土木部長に再度お尋ねします。
 埋め立ての完了時期について、見通しがまだわからないということでしたが、あと四十万立米というのはもう明らかにわかっているわけで、それも土石流土砂も搬入はなくて、公共残土だけということであれば、これまでの搬入の実績からもある程度、専門ですから、見通しが立つかと思うんですが、来年度中なのか、それをまた越すのか、来年度中のいつごろなのか、もう少し具体的に示すことはできないんですか。

◯土木部長
 埋め立て時期の話でございますけれども、それぞれ公共事業等におきましては、自分のところで発生します残土については有効利用をするというようなことにしております。また、鹿児島市内では土地区画整理事業等が行われておりまして、そこへの搬入土も多くなってございます。そういったこともございまして、見通しがわからないという状況でございます。

★まつざき真琴
 では、次に、危機管理局長にお尋ねいたします。
 一般論で、台風や豪雨、地震、津波などの災害時、住民はどういう場所に避難するのが適切であるのか、お示しください。

◯危機管理局長
 災害時の避難場所の適地についてでございますが、災害時の避難場所につきましては、一定の規模や空地を有する施設で、台風や地震などの影響への配慮や避難経路を点検するなどした上で選定することが必要であると考えております。
 具体的には、各種災害時における災害の規模や予想される避難者数等を考慮しまして、地区ごと、災害種別ごとに、体育館、グラウンド、公民館などが避難場所として定められているところでありますす。

★まつざき真琴
 先ほど私は、土木部長に一工区の活用策についてお尋ねいたしました。緑地の利用だとか、港の利用だとかありましたが、その中で、災害時の対応についてもこの間ずっと示されています。私が二〇〇八年の三月定例会でお聞きしたときも、そのときに土木部長のほうで答えられたのが、災害直後の一時避難及び数週間の避難生活の場として利用をするというものです。現に一工区には、三千万円をかけて約二百平米、約八十人を収容する防災シェルターもつくられております。
 そこで、危機管理局長にお尋ねいたします。
 そういう場として、錦江湾に突き出たマリンポートかごしまをそういう防災シェルターなどに、一時的にしろそこで避難生活を送る、このことについて適当だと思われますか。

◯危機管理局長
 マリンポートの整備につきましては、これまで本会議、委員会等で土木長が答弁しておりますように、さまざまな構造上の配慮がなされた上で、マリンポートかごしまが整備されたところでありまして、災害発生後に実施される救援物資の集積でありますとか、一時的な避難者の受け入れなどの場としての活用については、支障はないものと考えております。

★まつざき真琴
 一工区について、供用を開始されてからこれまで、平成二十年九月十八日に終日、翌日の一時まで閉鎖がされました、これは台風十三号によるものです。平成二十一年十月七日、これも終日、翌日の九時二十分まで閉鎖されました。これは台風十八号によるものです。先日、二月二十八日十一時三十分に閉門がなされて、これはチリの地震発生による津波注意報によって閉鎖をされたものです。
 このように、台風とか地震、津波、遠隔地で起きたことについてもマリンポートかごしま、あそこが閉鎖されて近寄ってはならないとされている。であれば、危機管理局長が最初に一般的な避難場所として答弁されましたが、地域の公民館とか学校とか施設に避難をすると、で、何らかのことでそこに避難できなくなって、三千万円かけてつくった防災シェルターですから、そこに避難することがあるかもしれない。
 もちろん天気がいいときはそうでしょうが、そこで避難生活を送りながら、もしかしてまた地震が起きたり、台風が来たりしたというときに、避難生活を送っている、そして避難物資もそこに置いてあるかもしれませんが、そういうマリンポートかごしまから、また避難をしないといけない状況が発生すると思いますけど、いかがですか。危機管理局長にお尋ねします。

◯危機管理局長
 先ほど申し上げましたように、マリンポートにつきましては、さまざまな構造上の配慮がされて、整備がされているところでございます。
 その上で、このマリンポートの活用につきましては、災害発生後におきまして、当然、安全性の確認はするわけでございますけど、発生後につきまして、この地域を救援物資の先ほど言いました集積でありますとか、一時的な避難場所として活用することでございますので、今おっしゃったように、その場でまたいろんな、災害ですから、どういうケースがあるかもわかりませんけど、まずは一時的には、ここは安全な施設ということで整備がされておりますので、そういう活用ができるというふうに考えております

★まつざき真琴
 もちろん安全なときにはそれでいいわけです。いざ災害が起きたときにどうするのかということをお尋ねしたわけです。
 では、次に、先ほど二工区の埋め立ての完了の時期はまだ見通しが立たないというふうな御答弁でしたが、公有水面埋立法に基づく用途変更はいつなされるのか、教えてください。
 あわせて、二期工事の実施について、現在、凍結の状況ですが、判断の基準になるのは何でしょうか。判断の時期はいつになるのか、お示しください。

◯土木部長
 一期二工区の用途変更についてのお尋ねにお答えいたします。
 マリンポートかごしまの一期二工区につきましては、公有水面埋立免許に定められました土地の用途につきまして、平成十七年に決定いたしました整備方針に基づき。交流施設用地を緑地空間等に対応する用途に変更する必要がございます。
 用途の変更に当たりましては、その具体的な土地利用を決定した上で変更する必要がありますことから、現在、広場や駐車場及びヘリポート等の配置について検討を進めているところでございまして、今後、できるだけ早く用途変更を行えるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、二期工事の実施の判断等についてでございます。
 マリンポートかごしまの二期計画につきましては、当面凍結することとしておりますが、一期事業の埋め立て完了後において、社会経済情勢の変化や財政状況を十分勘案し、県議会を含め、県民の皆様の御意向を十分踏まえて、改めて検討することとしております。御理解賜りたいと思います。

★まつざき真琴
 知事にお尋ねいたします。
 今、二期工事の実施についての判断についてお尋ねしたんですが、今議会施政方針で、本県経済も低迷が続いていると、安定的に向上していくためにはもうしばらく時間を要すると、県の財政についても、県債の償還もいましばらく高水準で推移すると見込まれるというふうに言っておられます。財政健全化に向けた一層の取り組みを進めていく必要があるとのことです。
 これらから考えると、どう考えても二期工事は不可能ではないかと思いますが、見解を伺います。

◯伊藤知事
 ただいま土木部長がお答えしたとおりでありす。
 マリンポートかごしまの二期計画につきましては、当面は凍結することといたしております。一期工事の埋め立て完了後におきまして、社会経済情勢の変化、それからいろんな状況を勘案しなきゃばいけないかと思いますが、その時点で適切な判断をしてまいりたいと考えております。

★まつざき真琴
 知事にまたお尋ねいたします。
 確かに、完了して、そのときの経済状況、財政状況を見て判断されるとのことです。当然であると思うんですね、そう言われるのはですね。
 このマリンポートかごしま、人工島については、伊藤知事が就任される前からの事業で、負の遺産と言えるものであったかと思いますが、今は知事が判断してされているのですから、伊藤知事の事業です。
 二期工事についてはこれからの判断となるわけですが、既に二期工事も含めて、六十七ヘクタールにかかわる漁業補償十六億円が既に支払われています。このことへの知事の見解を求めます。

◯伊藤知事
 建設当初におきましては、当然に二期計画も含めて、全体の制度設計をいたしますので、その時点では漁業権も全体補償するのが当然だったと思います。

★まつざき真琴
 人工島については、今、一期の埋め立て土砂というのは、全部終わったとすると、半分以上が建設残土で、本来の桜島の土石流土砂の埋め立てをするという、それを使うというフロンティアランド事業という目的からすると、いつの間にか変わった形になっています。
 避難場所について、一工区の活用策についても、一たんそこに避難したとしても、当然、災害が起きたときにはまた避難をしないといけないという状況です。
 そしてまた、用途変更もまだいつ行われるのかもわからない。県の財政が厳しい中で二期工事をどうするのか、二工区をどういうふうに使っていくのか、県民は知事の判断に注視しています。税金の無駄遣いをやめていただきたい。そのことを強く申し上げて、次の質問に移ります。
2009/09/25 2009年9月議会 一般質問
★まつざき真琴
 私は大型開発の象徴的例として、人工島建設にかかわる工事の受注の状況を調べてみました。先ほどと同様の十年間の土木工事にかかわる工事は全体で九十四件、そのうち四千万円以上の工事は件数で全体の七〇%を超え、受注金額は実に全体の九六%を占めます。これに比べて八百万円未満の工事は件数で四%、受注金額は全体の〇・一七%にしかすぎません。人工島建設がいかに一部の大手のゼネコン企業のためになっても、中小業者のためになっていないかが明らかです。
 県民の安心・安全な生活に結びつき、県内の中小業者の仕事をふやすためにも、生活道路の改善や公共施設の耐震化や補修工事、がけ地や河川などの改修工事など、県民の生活に密着した公共事業に切りかえていくことが必要です。今問われているのは八ッ場ダムや川辺川ダムだけではありません。本県においても人工島建設やおがみ山バイパス事業など、県民にとって今必要な事業であるかどうかの検証を行い、大型開発の公共事業から県民の生活密着型の公共事業に切りかえることが求められています。見解を求めます。

○土木部長
 大型開発の公共事業の見直しについてであります。
 公共事業につきましては、限られた財源の中で県民にとって必要な社会基盤整備を推進し、一層激化する地域間競争に勝ち抜き、「力みなぎる・かごしま」を構築していく必要があると考えております。マリンポートかごしまやおがみ山バイパス事業につきましては、それぞれあり方検討委員会を設置し、その提言などを踏まえて決定した整備方針に基づき事業の展開を図っているところであります。
 また、生活道路の整備など県民の生活に密着した事業につきましては、地域事業連絡会を開催するなど地域の実情や市町村の意向を十分踏まえながら、事業の峻別、重点化を図っているところでございます。今後とも地域にとって必要な社会基盤整備の着実な整備を図るとともに、地元企業への優先的な発注に配慮し、可能な限り分離・分割発注に努めてまいりたいと考えております。
2008/09/25 2008年9月議会 一般質問
★まつざき真琴
 次に、人工島「マリンポートかごしま」についてお尋ねします。
 私は、本県議会で現在進められている人工島建設に反対するただ一つの会派、ただ一人の議員として、質問のたびごとに人工島問題を取り上げてきました。
 それは、この問題が大型開発のむだな公共事業の典型として県民の強い関心事であり、県政の姿勢が問われる問題であるからです。
 まず、人工島建設の事業が現在どのような状況にあるのかお尋ねいたします。
 質問の第一は、平成二十年度当初予算までの埋め立てにかかわる総事業費と県費負担額、それに占める起債の割合は幾らか。上物整備についてのこれまでの総事業費と県費負担額、その起債、割合についてお示しください。
 質問の第二は、平成十一年の公有水面埋立免許からこの間、予定まで含めて変更が何回、主にどういう理由と内容で行われてきたのか。
 質問の第三は、今月十一日に開設された人工島関連の工事の発注について、その事業の内容と事業の理由をお示しください。
 次に、人工島の活用についてお尋ねいたします。
 昨年十月に策定された一期一工区の防災計画には、面積約二・一ヘクタール、約二千人を収容する一時的避難生活スペースがつくられています。そこには、常設大型テントと仮設大型テントが設置される計画です。
 その常設テントとして、ことし四月から供用された防災シェルターは、広さは約二百平方メートル、ちょうどこの議場の傍聴席と記者席の広さと同じで、約八十人が収容できるものであります。事業費は約三千万円です。
 このシェルターを含む二・一ヘクタールの一時的避難生活スペースは、具体的にどういうときどういう人が利用するのでしょうか。災害が起きて避難が必要になったとき、台風や豪雨のさなかに人工島へは避難できませんから、従来の地域の公民館や学校の体育館に避難することになるでしょう。短期間の避難生活であればそのままそこで間に合うのではないですか。もっと期間の長い避難生活を想定するのであれば、四方を海に囲まれた人工島で避難生活がおくれるのか疑問を持つものです。
 二〇〇六年の北部豪雨災害では、自宅に住めなくなった方たちは、災害救助法に基づく公営住宅や民間住宅を含む仮設住宅で一年間避難生活を送られました。新居ができるまでとして、この八月まで二年以上も仮設住宅での生活をされている方もありました。避難生活が長期に及べば、その間に台風の襲来も予想されますが、その場合、避難生活を送っている人工島からさらに避難することになると思われます。一体人工島の避難生活スペースはどういうときにどういう期間、どういう人たちの利用を想定されているのでしょうか。実際に三千万円をかけたシェルターもつくられています。明確にお答えください。
 次に、人工島の来園者数についてお尋ねします。
 知事は、提案理由説明の中で、今月で「マリンポートかごしま」へ六十万人の来園者があったと述べられました。また、知事選挙前の五月末には、タイミングよく五十万人突破したとしてセレモニーも行われました。
 私は、入場料も取らないところでどうやって来園者をカウントするのか大変不思議で、港湾空港課にお尋ねしたところ、一日四回、時間を決めて駐車場の車の数をカウントし、その数にバスは一台につき二十五人、普通車は平日は一・八人、土・日・祝祭日は二・五人乗っていると想定してこれを掛ける。バイクと自転車は一人ずつ。この二%分を徒歩での来園者として推計する。
 さらに実測値と推計値との乖離を修正するためにこの合計人数に平日は三・五、土曜日は五・〇、日曜、祝祭日は六・〇という補正係数を掛けるということでした。
 例えば五十万人来園直前の五月二十四日土曜日、鹿児島気象台のデータでは、終日大雨で日照時間は〇、この日のカウントは、普通車七十七台のみでしたが、土曜日であるので、これに二・五人を掛ける。その二%分の四人を徒歩での来園者として加え、さらに補正係数の五を掛け、合計九百八十二名の来園となっています。
 補正係数を出すための実測を十月八、九、十四日、十一月七、九、十日に行ったそうですが、開園して間もなくの行楽シーズン、連休中やお天気がいい日であり、このときの実測に基づいて補正係数が決められ、一月、二月の寒さの厳しいときも、そして梅雨時期の大雨のときも、また、真夏の暑いときもこのように掛けられています。
 ほかに県の施設であるみやまコンセールやアートの森などは、入場者数について入場料が必要で、実測可能で、入場者の記念のセレモニーが行われていますが、県民交流センターでは、命と環境の学習館は観覧無料となっており、利用者数の把握が困難であるので、あえて何十万人突破などのセレモニーは行っていないということでありました。
 「マリンポートかごしま」において、紹介したような信頼性の乏しい数字を用いて五十万人突破、六十万人突破とアピールされることにどのような意味があるのでしょうか。今後も引き続きこのような数字を用いられるのでしょうか。見解を求めます。

○土木部長
 「マリンポートかごしま」の平成二十年度当初予算までの埋め立てにかかります総事業費は、約二百二十三億円であります。
 県費の負担額は約百三十八億円でありまして、このうち起債額は約百三十一億円で、県費負担額に占める割合は約九五%となっております。
 また、緑地や待合所などの上物整備に係る事業費は、平成十八年度と平成十九年度で約十七億七千万円でありまして、このうち県費負担額は約十七億三千万円で、そのほとんどが起債となっております。
 埋立免許につきましては、平成十一年に免許を取得して以来、これまで八回の変更を行っております。主な変更内容といたしましては、桜島の土石流土砂の発生量の減少に伴います公共残土の追加や、同じ理由によります竣功期間の伸長、一期一工区の供用に当たりまして確実な土地造成を行うための中仕切り護岸の設置などとなっております。
 今後とも埋立土砂の採取場所や採取量の変更など申請の必要が生じました場合には、適切に埋立免許の変更を行うこととしております。
 一期二工区につきましては、本年度の土石流土砂の搬入によりまして水深が浅くなることから、来年度以降土砂運搬船による搬入ができなくなる見込みであります。
 このため、埋立護岸の船通し用の開口部約六十メートルを締め切ることを内容といたしました工事を一般競争入札に付し、去る十一日に開設したものでございます。
 開口部は、海底から約十メートルの高さまでは捨て石による土どめをしておりますことから、これまで埋立区域からの土砂流出は認められておりません。また、濁りの流出につきましては、環境基準内でございました。
 今後、埋め立てが進むに従いまして土砂が開口部に迫り、土砂流出の可能性が出てまいりますのは、今回締め切ることによりましてそのおそれもなくなるものと考えております。
 一期一工区の利用につきましては、地震や桜島の噴火、豪雨などにより、大規模な災害が発生した場合には、防災拠点機能を有する広い対応空間が必要となるため、芝生広場や防災シェルターを災害直後の一時避難及び数週間の避難生活の場として利用することとしております。
 また、大型観光船埠頭につきましては、港湾機能を生かした救援や復旧等の諸活動の拠点として利用をすることとしております。
 来園者数につきましてでございます。車種別に実測いたしました駐車台数に平成十九年十月、十一月の現地での実測に基づく平均乗車人員と回転数を乗じて推計しております。
 この推計方法は、国が示しております観光入り込み客数の把握方法を参考にいたしまして、統計の専門家にも御相談させていただいた上、定めたものであり、推計と実測の検証も行っているところでございます。
 今後とも利用状況や観光船の寄港予定などを積極的に情報発信することにより、「マリンポートかごしま」の一層の利用促進が図られますよう取り組んでまいります。

★まつざき真琴
 人工島については、建設が借金に頼りながら進められている現状が明らかになりました。公有水面埋立免許が八回にわたって変更されている。その理由のほとんどが埋立土砂の採取場所及び採取量の変更であります。
 人工島は、桜島の土石流土砂の捨て場がないとして始まりましたが、結局は桜島土石流土砂が不足する。公共残土を入れてもまた足らず、五年間延長する。このようなことになっています。これだけをとっても人工島建設の必要性はなくなっていると言えるのではないでしょうか。
 そこで、次に出てきた活用策が、災害が発生した場合の対応空間です。海に突き出た人工島が、一時的とはいえ、避難生活スペースに適切と言えるでしょうか。ノーであります。
 三千万円を費やした防災シェルターは、新たなむだづかいと言えます。二工区にどのような施設を整備するかなど埋立竣功時の財政状況や立地、地盤性状等を十分考慮した上でそのあり方を最終的に決定するとしており、公有水面埋立法に基づく用途変更もまだなされておりません。
 一方で、県財政の厳しさを理由に県立の福祉施設まで統廃合されようとしています。なぜ人工島建設は用途も定めず、埋め立てありきで借金を重ねながら継続されるのか、県民は納得できません。人工島建設を中止し、現在の計画を抜本的に見直すことを強く求め、次の質問に移ります。
2008/02/29 2008年3月議会 一般質問
★まつざき真琴
 私は、マリンポートかごしま在り方検討委員会や特別支援教育あり方検討委員会、県立福祉施設あり方検討委員会などを傍聴してまいりました。ほかにも、県立保健看護学校あり方検討委員会、奄美のまちづくりのあり方検討委員会などがつくられてきました。
 それらの中では、県の担当が事務局としてつくった資料に基づき説明がなされ、委員から出される質問について県の担当が答えるというものです。もちろん委員の方たちからはいろいろな質問は出されますが、意見は出されますが、その委員の中には、県を退職した後、天下り、外郭団体の役員としてその委員となっている人や、もともと県職員である委員もおり、結果として、県の意向に沿った形での結論が提言として出されてきました。そして、人工島建設やおがみ山バイパスは継続する、県立保健看護学校は廃止、県立の福祉施設も廃止・民営化など、大型開発継続、福祉切り捨てが行われてきたのです。
 そのほかにも、県立病院の助産料や文書料の値上げ、三島、十島への健康診査の保健師派遣事業の廃止、県産材利用に成果のあった木の机普及事業の廃止、県立農業大学校や県立職業能力開発校の授業料の有料化、重度身体障害者へのガソリン代の助成の打ち切りなど、数十万円、百万円単位での県民の福祉、暮らしの予算の削減がなされてきました。
 その一方で、人工島建設は継続、県庁からの眺望確保のための土地購入、県管理工業団地、特に臨空団地の分譲に当たっての補助金、大企業への補助金交付、地元からも必要性が疑問視されるトンネルの事業など、億単位での無駄遣いも進められています。
 県民の暮らしは厳しくなるばかりで、国保税の滞納世帯の増加やその結果の保険証取り上げ世帯の増加、生活保護受給者の増加、養殖業者、畜産農家の破産・廃業も相次いでいます。県の財政が厳しく、県民の暮らしが大変なときだからこそ、県政の軸足を県民の暮らしに置いた改革こそ求められています。
 日本共産党は、県知事選挙に当たり、「新しい鹿児島をつくる県民の会」の一員として候補者を擁立し、県民の暮らし、福祉最優先の県政実現のために奮闘することを表明するものであります。
2007/10/11 2007年9月議会 行財政改革特別委員会
★まつざき真琴
 通告に従って質問いたします。
 今、公共事業について重点化、峻別化がやはり非常に大事になってくると思うんですけど、三割から五割程度普通建設費が減らされていくという中で、何を優先して何を削っていくのか。その物差しになるものが一体何なのか、何をもって優先していくというふうになっているのか。それについて、まずお示しください。

◯公共事業調整監
 社会基盤整備の進め方につきましては、基本的には重点事業、地域密着型事業という形で区分して、今進めております。
 重点事業につきましては、県土をつなぐ陸・海・空の交通ネットワークの構築、鹿児島が全国に誇る農林水産業の展開、魅力ある観光地づくり、そして、住民の生活・暮らしを守る安全な国づくり、これにつきましては、重点的に事業を進めていくということにしております。
 それ以外につきましては、生活道路の整備などの地域密着事業につきましては、地域の実情や市町村の意向を踏まえながら考えていくことにしております。その中におきまして、交通事故対策などの緊急性とか市町村の合併を支援する必要性とか、交通量などを算出する効率性、そして地域の協力体制の熟度等を考慮しながら優先度を判定し、事業を進めていくこととしております。

★まつざき真琴
 今のお話のとおり、今後の社会基盤整備のあり方というところにも方針というのが示されているんですが、日々県民の皆さんが通勤や通学などに使っている本当に生活に密着した道路、子供たちが自転車で通っていて非常に危なかったり、子供たちが歩いて通うところの歩道がもう整備をされなかったり、その地域によってはなかなか要望しても要望しても改善がされないというところがあるわけですね。そういうところこそ最優先に行ってほしいというふうに願うわけですけども、何せ総額というのが削減されていく中で非常にやっぱり厳しいんだろうと思うんですが、やっぱりそういうのを県民の暮らしに密着した部分について、ぜひ最優先に進めていただきたいと思うんです。
 先ほども外薗委員からのお話もありましたが、公共事業の再評価に当たって、きょうの資料の中でも、再評価ということで資料二の二十五ページですかね、に、実際にどういうものについて再評価をしてきたかという数字は示されておりますが、この再評価に当たっては、実施要綱に五つの観点といいますか、どういうものを対象にするかというのが示されています。
 土木部であれば、全事業の中で事業採択後五年間が経過した時点で未着工の事業、採択後十年間が経過した時点で継続中の事業、また、採択前の準備・計画段階で五年間が経過する事業、再評価実施後五年間が経過する事業、そして五番目に社会経済情勢の急激な変化、技術革新等により再評価の実施の必要が生じた事業と、こういうふうに五つの観点で対象を分けた形で、対象を示してこの評価がなされていると思うんですが、実際に十年度から十八年度までに行われたこの四百七十二件で、それぞれ今私が申し上げました五つですね、実績としてどういう件数で再評価が行われているのか、教えてください。

◯監理用地課長
 公共事業の再評価の期間別の内訳等についての御質問でございます。
 再評価につきましては、委員が御指摘のように、公共事業再評価実施要綱に基づきまして実施しております。この平成十年度からの四百七十二件につきまして分析いたしますと、事業採択後十年を経過したもの、これが一番多く二百九十四件でございます。それから、事業採択後五年を経過した事業、これが六十七件。それから、再評価実施後五年を経過したものが五十九件。それから、社会情勢の変化等が五十二件というような状況になっております。

★まつざき真琴
 実は、平成十七年九月の知事へのたよりの中で、人工島、マリンポートかごしまについての意見が寄せられています。その中で、情勢の変化で、プロジェクトの目的が後退、変化したのであれば、事業評価制度を活用して、事業評価監視委員会で再評価をするのが筋だと県民は思っていますと。なぜ再評価が行われないのかという意見が寄せられているんですが。私は、この五つ目の特に観点で、一番件数的には少なかったんですが、社会経済情勢の急激な変化によって、やはりもう一回この事業は見直すべきじゃないかと。そういう観点に立って、やっぱり、ぜひ再評価を進めていただきたいという事業があるんですね。その大きいものが今紹介しました人工島、マリンポートかごしまであるんですが。
 特に、今後このように県の財政が非常に逼迫して厳しい中で、自然にといいますか、五年たっても事業が具体化されないとか、十年たったとかいうそういう再評価も必要ですが、特に五番目の社会経済情勢の変化で本当に必要かどうかという観点での見直しが、この再評価に当たっては非常に私は重要だと思うんですが、それについて見解をお聞かせください。

◯港湾空港課長
 マリンポートにつきましては、在り方検討委員会を平成十七年に行いまして、十七年十一月に新たな整備方針が示されまして、それに基づいて事業を進めているところでございます。

★まつざき真琴
 私がお尋ねしたのは、特に人工島、マリンポートかごしまにかかわってだけの問題ではないんですが、じゃ要望として、ぜひ再評価に当たっては、そういう社会経済情勢の変化ということで、本当にその事業が必要かどうかということで、ぜひ見直しを進めていただきたいと思います。
 今、人工島建設にかかわっての在り方検討委員会のお話もありましたので、それに移りたいと思いますが、これまで人工島にかかわっての事業費については、一般質問等でも伺ってまいりました。総事業費が二百十九億円のうちに県費が百三十六億円費やされています。これから先、この県の財政の中で、一体どういう事業費がどのくらい使われていくのかということでお尋ねしていきたいと思います。
 二工区の整備について、今埋め立ての土砂の搬入というのは、どこからどういう形でなされているのでしょうか、教えてください。

◯港湾空港課長
 二工区の埋め立てにつきましては、桜島野尻地区の土石流土砂を海上運搬で輸送しているもののほか、公共残土につきましては、鹿児島市域や伊集院、加治木、加世田地区などから、主にダンプトラックによります搬入を予定しております。

★まつざき真琴
 その桜島の土石流土砂の分については、の直轄事業ですから国の負担でしょうが、ほかの公共残土、県内各地から、今、御紹介幾つかありましたが、その運ばれている経費については、どこの負担となっているんでしょうか。

◯港湾空港課長
 桜島土石流土砂の、これは国の直轄砂防事業でございまして、いわゆる公共残土と同じでございます。他の公共残土につきましては、それぞれ事業から発生しました残土でございますので、原因者でございますおのおのの事業者におきまして、搬入経費を負担していただくことになっております。

★まつざき真琴
 つまりは、それぞれの事業の中でといいましても、やはり同じ県民の税金でありますので、やっぱりそういう負担がかかっているというのは明らかでありますが、埋め立て完了の見込みというのは、いつでしょうか。

◯港湾空港課長
 埋め立ての完了の時期についてでございますが、埋め立て免許上の竣工期限は、平成二十六年十二月二十五日となっております。

★まつざき真琴
 それだけの期間がかかり、その間においてはまだあと、二十六年ですから六年以上かかるわけですから、その間にまた経費というのが変化してくるかと思うんですが、二工区について、上物の整備について、今、緑地空間、災害発生時の対応空間という方針がありますが、事業費を幾らというふうに見込んであるんでしょうか。

◯港湾空港課長
 二工区の土地利用につきましては、港湾計画におきまして緑地に位置づけてございますが、具体的な整備計画につきましては今後検討することとしておりまして、現時点での事業費は確たるものを、数字をお示しすることはできません。

★まつざき真琴
 今後事業費が幾らかかるかわからないと、明らかにできないと。そういう中で、お金だけはどんどん経費はかかっていくわけですよね。では、供用に当たっての収支、供用が開始されましたが、それによって幾らぐらいの収入が見込まれるのかということをお尋ねしたいと思います。
 今、観光船が入港を幾つかしましたが、これからも予定がされているようですが、観光船が入港すると、どのような収入が発生するんでしょうか。

◯港湾空港課長
 県の収入としましては、船舶の係船料がございます。これは、船舶の係船時間でありますとか、外航船舶であるかどうかといったことによってそれぞれ額が違いますが、ちなみに、先日九月二十八日に寄港しました「サファイヤ・プリンセス」、総トン数十一万六千トンの場合の係船料は、四十一万六千円でございました。

★まつざき真琴
 平成十一年に行われた観光船の寄港等の一定の条件をもとに、経済効果というのが当時は試算されていますが、その中には、例えば観光船が来ると、タグボートの使用料とか水先料ですか、あと補水とか、あとお土産を買ったりだとか、そういう当時は経済効果として示されておりましたが、実際、今、供用され開始がされている観光船での、その係船料のほかに県の収入等入る以外の部分も含めて、どういう収入が予想されるんでしょうか。

◯港湾空港課長
 県の収入以外の経済効果でございますが、それは、委員がおっしゃられたような項目の収入とか効果が想定されますが、現時点では詳細に再試算等行っておりません。

★まつざき真琴
 事業費も今後幾らかかるか、整備についてわからないと。収入についても、そういうふうにきちんとした経済効果としての計算はされていないと。財政が大変だ大変だと言われながら、この人工島に関しては、そこら辺のきちんとした収支の見通しもきちんと立てて、例えば費用対効果、先ほども話が出ましたが、それが検証されないままに進められているというのを非常に感じます。
 では、観光船の入港に当たっては、どういう支出が発生するのか。例えば歓迎セレモニーとか、観光船を呼ぶに当たってのポートセールスとかあるかと思うんですが、その支出の部分について教えてください。

◯港湾空港課長
 観光船の歓迎行事につきましては、県と鹿児島市、鹿児島商工会議所で構成されます鹿児島海外観光客受入協議会というものが行っております。これは、観光船だけに限らず歓迎行事を行っているんですが、県におきましては、この協議会に対しまして歓迎行事に要する費用の一部を負担金として支払っておりまして、十九年度の県の負担額は二百六十万円でございます。
 また、ポートセールスに要する経費でございますが、鹿児島港の利用促進につきましては、主に県と鹿児島市と鹿児島商工会議所等で構成します鹿児島港利用促進協議会が観光船のみならず、外貿・内貿の貨物船の航路の誘致など、そういった活動を行っておりますが、その中でマリンポートかごしまへの観光船誘致活動を行っておりまして、県は同協議会に対しまして百万円の負担金を支払っております。

★まつざき真琴
 ちなみに、先日、三日間オープンセレモニーとして記念式典とかイベントがありましたが、シャトルバスも非常に行き来をしていたようでありますが、この三日間の経費が、幾らかかったのか、教えてください。

◯港湾空港課長
 マリンポートの供用開始記念事業につきましては、マリンポートかごしま供用開始記念事業実行委員会というものが実施しておりまして、県は同委員会に対しまして、供用開始記念式典やオープニングフェスタに要する費用としまして六百十万九千円の負担金を支出しております。

★まつざき委員
 最後に、あと一点。
 今議会の一般質問の答弁で、一工区の維持管理費が半年で三千万円を計上しているというふうにありましたが、具体的にどのようなものにそういう費用がかかるのか、教えてください。

◯港湾空港課長
 維持管理の費用の内訳の主な項目でございますが、植栽等の管理費ということで、いわゆる植栽の手入れ、それからトイレ・待合所の清掃、それから巡回・巡視に要する費用といったものがございます。それから役務費としましては、待合所や緑地の中にございます浄化槽の点検費、さらには光熱水費としまして電気・水道の使用料、また、消耗品費としましてトイレに係るさまざまな消耗品等の費用として計上しております。

★まつざき真琴
 今、公共事業にかかわってどういうふうに峻別・重点化していくのか。そして具体的には、今事業が行われている人工島について、そのあり方について幾つか収支ということでお尋ねいたしました。
 やはり今非常に厳しい県の財政の中で、そして公共事業が削減されていく中で、本当にその事業が必要なのかどうかという、それが非常に大事だと思うんですね。そういう面では、始めたからもうこれはやめられないということではなくて、きちんとその社会経済情勢の変化等も見きわめて、本当に必要かどうかの再検証をしていく。そういう意味で再評価の制度があるんですから、それを有効に活用して、ぜひ行っていただきたいというふうに要望いたしまして終わります。

2007/10/01 2007年9月議会 一般質問
★まつざき真琴
 次に、県の財政状況とのかかわりで人工島建設問題についてお尋ねいたします。
 二十八日から人工島の一工区の供用が開始されました。まず、一工区の供用開始まで一体幾らの事業費がつぎ込まれたのか、また、今後、維持管理費が必要になると思われますが、年間どのくらいの費用がかかるのかお答えください。
 知事は、定例記者会見で、今後の人工島の活用についての質問に、「私の一番の期待は、朝晩散歩される市民の方がたくさんいらっしゃるということだ」と語られました。私は、市民、県民の憩いの場の提供を行政が行うことに頭から反対するものではありません。しかしながら、県財政が年間予算の二倍もの借金を抱えているという厳しい現状の中で、また、県内企業の経営不振や倒産、廃業などが相次ぎ、県民の中にも格差と貧困が広がっている中で、どうして憩い、散策の場の整備なのでしょうか。ことしの三月議会で、私は県民にとっての憩い、散策の場としての整備の必要性についてお尋ねいたしました。知事は、財政が厳しいからこそ、三十億円の一般財源を投入して必要な社会資本を整備するんだと答えられました。
 そもそもこの人工島計画は、須賀前知事の時代に、七十一億円の経済効果を生み出すとして、県勢の浮揚発展に必要不可欠と多くの県民の反対を押し切って始められました。それを、「大胆に見直します」と約束して当選された伊藤知事は、やめると百数十億円、続ければ三十億円で土地ができると言って継続を決断されました。人工島建設はもう前知事の後始末の事業ではなく、伊藤知事自身の事業であります。
 伊藤知事は、前任者の時代までの余りに大胆だった財政運営のツケを担う形で、厳しい県の財政状況のもとでの県政の執行に御苦労されております。だからこそ、これだけ厳しい財政状況の中でこれだけ莫大な予算を投じる建設の継続の決断については、費用対効果の検証も当然になされるべきであります。
 そこでお尋ねします。このたび供用が開始された一工区の経済波及効果を金額でお示しください。
 今議会に先立ち知事は、向こう五年間の県財政の収支見通しを公表されました。提案理由説明でも、あらゆる歳出項目の厳しい削減努力を行うと発言され、新たな県職員の給与の削減までも提案されました。とすれば、用途の決定もしていない二工区は即刻中止するしかないのではないですか。ましてや二期工事などあり得ません。在り方検討委員会の提言に縛られることなく、知事としての決断が求められています。二工区は即刻中止し、そして、保留にしている二期工事についても即刻中止の判断をすべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○伊藤知事
 マリンポートかごしまについてのお尋ねであります。
 マリンポートかごしまにつきましては、社会経済情勢が変化をいたしておりまして、大胆な見直しが必要と考え、大型観光船が接岸できる貨客兼用岸壁とあわせて、県民や観光客が憩い、海と触れ合える緑地空間として整備するとともに、災害が発生した場合の対応空間として活用するとの方針を一昨年十一月に決定し、防災拠点機能を有する緑地空間としての整備を進めているところであります。
 一期二工区の整備につきましては、お尋ねの中にもございましたが、平成十八年度以降、あと三十億円の県費負担で二十四ヘクタールの基盤造成が完了されますことから、事業を進めることといたしているところであります。
 また、二期計画につきましては、当面凍結することといたしておりますが、一期事業の埋め立て完了後におきまして、社会経済情勢の変化や財政状況を十分勘案し、議会を含めて、県民の意向を十分に踏まえて、改めて検討してまいりたいと考えております。

◯土木部長
 マリンポートかごしまの平成十九年度当初予算までの事業費につきましては、外周護岸や岸壁、橋梁等の基盤造成にかかわる費用として約二百二十億円でありまして、待合所や緑地等の上物整備事業費につきましては、平成十八年度及び平成十九年度で約十九億円となっております。また、維持管理費用につきましては、本年度供用開始後半年間の予算として、緑地やトイレ等の維持管理について約三千万円を計上しているところであります。
 マリンポートかごしまにつきましては、大型観光船埠頭の整備とあわせ、一定規模の緑地空間等を整備し、県民や観光客が雄大な桜島を望む錦江湾を満喫し、憩う親水型の公園として、また、災害が発生した場合の対応空間として、さらに、離島等の急患搬送用ヘリポートとして活用することとしております。
 マリンポートかごしまは、錦江湾の資源を生かした観光の振興やアジアの時代の交流拠点の形成、鹿児島市の都市全体の発展及び居住性の向上を図る上で将来とも必要な施設でありまして、単なる経済的な効果よりも、事業の公益性や景観への寄与度などを総合的に判断して評価すべきと考えております。

★まつざき真琴
 御答弁いただきました。
 人工島については、これまで二百二十億円、上物建設が二十億円弱、さらに、これから一工区の維持管理費が半年で三千万円、年間六千万円ずつかかると思われます。このほかにも、国の直轄事業である沖防波堤は約百二十七億円の事業費で、そのうち約三十六億円は本県の負担です。財政が厳しいといって、働く職員の給与も向こう五年間もカットすると提案しながら、これだけの事業費をかけても継続する。その経済効果は検討されない。こんなことが許されるでしょうか。
 大型観光船、クルーズ船の寄港も実績は年に十数回、しかもほとんどの船が朝入港して、その日の夕方には出港するのです。それでも、つくった岸壁の活用のためにとポートセールスにもこれから経費がつぎ込まれていくのでしょう。これ以上の無駄遣いはやめて、その分は県民の暮らしや福祉に回すべきです。二工区並びに二期工事の即刻中止を強く求めます。

2007/02/27 2007年3月議会 一般質問
★まつざき真琴
 そこでお尋ねしますが、二年半前の知事選挙で争点として大きな問題であった人工島マリンポートかごしまの建設について、この着工以来、二〇〇七年度当初予算も含めて、人工島建設にこれまでどれだけの事業費が継ぎ込まれてきたのか、その総額をお示しください。
 そして、伊藤知事は、就任以来これまで三回の予算編成に当たってこられましたが、二〇〇七年度当初予算も含めて、人工島建設にかかわる県負担の事業費とそのうちの起債額、事業費に占めるその比率についてお答えください。
 今議会の冒頭の施政方針において、知事は人工島について、県民や観光客の方々が憩い、散策できる緑地空間としても活用できるように整備すると発言されましたが、今日の厳しい財政状況の中で、さらに県債を積み重ねてまでも、憩い、散策するための施設をつくる必要があるのでしょうか。知事のお考えを明確にお聞かせください。

○伊藤知事
 マリンポートかごしまの緑地空間についてのお尋ねがありました。
 マリンポートかごしまにつきましては、県民や観光客が憩い、海と触れ合える緑地空間として整備するとともに、災害が発生した場合の対応空間として活用するとの方針を一昨年十一月に決定し、整備を進めてきているところであります。
 本年九月ごろには、一期一工区の供用を開始する予定でありますが、大型観光船を着岸させ、県内外からの観光客を歓迎し、県民の交流の場とするため、なるべくコンパクトな待合所等を設置いたしますとともに、南国鹿児島の特色を生かした植樹や花壇等の植栽、散策路、芝生空間などを設置をいたしまして、錦江湾や桜島の雄大な景観を生かした緑地空間として整備することといたしております。

○土木部長
 マリンポートかごしまの緑地空間についてのお尋ねがありました。
 マリンポートかごしまにつきましては、県民や観光客が憩い、海と触れ合える緑地空間として整備するとともに、災害が発生した場合の対応空間として活用するとの方針を一昨年十一月に決定し、整備を進めてきているところであります。
 本年九月ごろには、一期一工区の供用を開始する予定でありますが、大型観光船を着岸させ、県内外からの観光客を歓迎し、県民の交流の場とするため、なるべくコンパクトな待合所等を設置いたしますとともに、南国鹿児島の特色を生かした植樹や花壇等の植栽、散策路、芝生空間などを設置をいたしまして、錦江湾や桜島の雄大な景観を生かした緑地空間として整備することといたしております。

★まつざき真琴
 自席から再答弁を知事に求めます。
 人工島建設にかかわって県民の皆さんが大変疑問に思って伺いたいのは、どうして人工島をつくらないといけないのか、憩い、散策の場として整備しないといけないのかということであります。
 整備内容については御答弁いただきましたが、知事の言葉で、知事が就任してからも事業費九六%もの借金をしてつくっている人工島について、憩い、散策の場として整備の必要性について再答弁をお願いいたします。

◯伊藤知事
 マリンポートについてのお尋ねがありましたので、考え方を御説明させていただきます。
 マリンポートの必要性自体につきましては、先ほどから御答弁いたしましたように、これからの鹿児島を考えますときの一つの必要な社会資本としての整備、緑地空間とともに防災基地としての整備を考えているところであります。
 そしてまた、何よりもこの事業の継続を決断いたしましたのは、今の段階でマリンポート事業を中止いたしますと、これは一昨年の十一月の時点の判断でありますが、少なくとも百数十億のお金が直ちに必要になってまいります。補助金の返還でありますとか、それから取っ払うところによるところの防災工事とか、そういう百億以上の少なくとも一般財源が直ちに必要になってまいります。
 そこで、私どもとしては、財政状況が厳しいからこそ三十億円の一般財源を投入して必要な社会資本を整備する。そして二十四ヘクタールの土地ができる。そしてその上に何をつくるかは、先ほどお話ししたとおりでもあります。
 そして、今回、クルーザー等が着岸できるような岸壁ができ上がりますが、その一定の上物も当然に整備しなければいけません。
 ただ、今後埋め立てるために必要な三十億プラス上物の整備を含めましても、先ほど申し上げました百十億円以上の一般財源から比較いたしますと、極めて安い額ででき上がると思います。
 したがいまして、財政状況は厳しいからこそこのマリンポート事業は継続しなければいけないというのが執行部の判断であります。

★まつざき真琴
 人工島建設について知事に再度答弁いただきました。
 人工島建設は、当初、桜島の土石流土砂の捨て場がないから人工島建設が必要だと大宣伝され、桜島の土石流を投入して人工島を完成させ、大型観光船の着く港をつくり、世界各国から観光船が来る、国際会議場や国際見本市会場もつくり、大きな経済効果ありとして多くの県民の反対を押し切って着工されたものです。
 ところがどうでしょう。埋立地の造成に必要な桜島の土石流土砂が大幅に不足して、県内各地から建設残土を運び込まなければならないような状況です。そしてできるものは、計画より縮小された港と憩い、散策の広場です。試算された経済効果はどこに消えたのでしょうか。県財政が厳しいという理由で働く職員の給料まで削り続け、離島住民の検診の助成まで打ち切り、県立病院の助産料まで値上げして、それでもさらに借金を積み重ねてつくる価値が人工島にはあるのでしょうか。県財政をここまで圧迫してきた県債に頼りながらのむだな大型開発の公共事業の反省なしに県財政の建て直しはありません。ここまで来たから仕方がないではなく、これ以上の税金のむだ遣いをやめるために改めて即刻中止を強く求めます。

2006/09/27 2006年9月議会 一般質問
★まつざき真琴
次に、人工島マリンポートかごしまについてですが、ここに来て、人工島建設計画の幾つかの重要な課題が既に大きく変更されていることが判明しました。
 七月十日付で行われた公有水面埋立免許の変更点と事業の現状についてお尋ねします。
 第一に、埋め立てに使う土砂は、桜島の土石流土砂が幾ら減って、その分の公共残土が幾らふえたのか。また、これまでの計画では、公共残土は鹿児島市域から運び込むこととなっていたが、どこから運び込むことに変わったのか。その搬入の経費はどこが負担するのか。
 第二に、一工区と二工区の中仕切り護岸はつくらない計画だったのが、どうしてつくることになったのか。その経費は幾らになるのか。
 第三に、一工区の竣工期限について、私は、三月議会の三月九日、予算特別委員会でも「十八年十二月までは難しいのではないか」と二度にわたって質問しましたが、それに対して二度とも当時の加藤土木部長は、「十二月の竣工期限に間に合うように国と十分に調整を図っていきたい」と答弁されました。それにもかかわらず、わずか四カ月後の七月十日の変更で、竣工期限がどう変わったのか。また、その理由は何か。
 第四に、人工島は、災害が発生した場合の対応空間として活用することとされていますが、海面から護岸までの高さはどのくらいあるのか。あわせて与次郎ケ浜の緑地帯や人工島の背後地になる金属団地の堤防の高さは幾らか。
 第五に、これまで埋立地の安全性について、第三回在り方検討委員会でも、「地震の際、液状化が起こらないのか」という質問が出され、それに対して「埋め立て土砂の大部分を占める桜島土石流土砂は、埋め立ての材料としては液状化を起こしにくい良好な土砂である」と答えられています。
 しかし、今回の変更で、どう見ても公共残土、つまりシラスのその割合がふえていると思われますが、そうなると地震の際の液状化のおそれが生じるのではないかと思います。いかがでしょうか。

◯土木部長
 マリンポートかごしま一期の埋め立て土量につきましては、全体で約四百五十万立方メートルで、従前の計画におきましては、桜島の土石流土砂約三百七十万立方メートル、西之谷ダムなどの公共残土約八十万立方メートルを受け入れることとしておりましたが、近年、桜島の土石流土砂の発生量が減少傾向にありますことや、公共残土の有効活用を図るため、桜島土石流土砂を約二百二十万立方メートル、その他の公共残土を約二百三十万立方メートルと見込んでいるところでございます。
 また、一工区に新たに受け入れることとしました公共残土につきましては、鹿児島市域のほか、指宿地区など五地区から最も適切な処分地としてマリンポートに運び込むこととしているところでございまして、搬入経費につきましては、公共事業の残土処分として、従前のとおりそれぞれの公共事業において負担することとしております。
 マリンポートかごしまにつきましては、埋め立て土砂の種類等を考慮して、適切な設計及び施工を行っておりまして、中仕切り護岸は、公共残土の増加を踏まえて、一工区の確実な土地造成を行うために設置するものであります。
 また、中仕切り護岸の設置費用は約五億円でありますが、これにより、岸壁背後への埋め立て土砂の投入の費用が軽減されるなどのため、全体事業費の変更は生じないものであります。
 一工区の埋め立て工事の完了期限につきましては、従来、平成十八年十二月として事業を進めてきましたが、近年、桜島の土石流土砂の発生量が減少していることから、県内の公共工事で発生する土砂の有効活用を図りますため、工程を再検討しまして、埋立工事の完了期限を九カ月延長し、平成十九年九月としたものでございます。
 鹿児島港におけます護岸等の天端高につきましては、波の条件や背後の土地利用等を考慮しまして、国の定める基準に基づき設計しているところでありまして、与次郎ケ浜緑地帯につきましては、鹿児島港の基本水準面に対し五・九メートル、マリンポート背後地の金属団地では七・五メートルであります。
 マリンポートかごしまの護岸等の天端高につきましては、波を強く受ける東側護岸で七・〇メートル、大型観光船の接岸する岸壁では、船舶の利用を考慮して四・〇メートルとしているところでありまして、緑地空間において行います救援物資の集積や一時的な避難民の受け入れ等につきましては、災害発生後に実施するものでありまして、その利用に支障はないと考えております。
 マリンポートかごしまの岸壁及び外周護岸につきましては、国の基準に基づき、地震に対して所要の安定を確保し、機能を損なわないように設計されております。
 さらに、埋め立てに当たりましては、岸壁など重要構造物の背後におきまして、土石流土砂を用いるなど計画的な施工に配慮しておりまして、災害が発生した場合の対応空間として緑地を利用するに当たっては、液状化により支障が生じるおそれはないものと考えております。

★まつざき真琴
 公有水面埋立免許の変更点について答弁いただきました。
 桜島の土石流の捨て場がないからという理由で始めながら、桜島がおとなしくなって土石流が足らなくなり、県内各地から公共残土を持ってきて埋めることになり、また、土石流土砂の搬入は、国の直轄事業だから経費はかからないと言っていたものが、公共残土を運ぶ費用も県の公共事業であれば県の負担、市町村の公共事業であれば市町村の負担ということになるわけです。一工区と二工区の中仕切りもつくらない予定だったのが、シラスを埋めるので、水中で流動化するから中仕切りの護岸をつくる。驚くばかりの変更です。
 今回の変更で埋め立ての土砂の割合が、桜島土石流土砂が半分以下、公共残土が半分以上ということも明らかになりました。シラスの割合がふえたことによって、地震の際の液状化も心配されるのです。
 これまで液状化の心配がないと言っていたのは、「大部分が桜島の土石流土砂である」。このように理由を言ってきたわけです。
 堤防の高さも、埠頭の岸壁は別としても、台風のたびごとに越水している与次郎ケ浜の緑地帯や金属団地の堤防と比較して、〇・五メートルから一・五メートルも低くなっています。危険極まりない、そんなところを災害時の対応のための空間とされ、避難民の受け入れをされると言います。災害に遭った人たちは財産を失ったばかりでなく、精神的にも著しくダメージを受け、雨が降るたびに、風が吹くたびに、また同じような被害を受けるのではないかという不安にさいなまれるのです。それが四方八方海に面した堤防も低い人工島で、安心して仮設住宅などに住むことができるでしょうか。
 知事は、先日の定例記者会見で「人工島は一番の散歩コースになる」とも言われておりますが、地震時の安全性の心配はせずに散歩ができるでしょうか。それ以前に、財政が厳しいと言われる中、二百億円もかけた散歩コースをどんな気持ちで県民は歩くのでしょうか。
 一工区だけでも搬入土砂が足らずにこれだけおくれたのですから、二工区の埋め立てについては見通しが立たないと予想されます。仮に変更計画どおりに来年九月に竣工したとしても、港に着いた観光船の横や県民が散歩する横を二工区埋め立てのための土砂を積んだダンプカーが、県内各地から一本しかない橋梁を通り、埋立工事が行われることになります。
 さらにここでもう一つの問題点を指摘すると、これだけの重大な変更がいとも簡単に行われているという現状です。公有水面埋立免許の変更申請が、鹿児島県の代表者である県知事から鹿児島港港湾管理者である県知事に出され、変更許可は、港湾管理者である県から申請者である県へ申請どおりに出されている。しかもこれらの変更手続が、同じ港湾空港課で申請書類が作成され、同じ課で書類審査が行われ、同じ課で計画変更が許可されているのです。
 知事、人工島建設は、進めれば進めるほど矛盾が広がり、むだ遣いが膨らむ一方の代物です。一刻も早く中止し、その分の予算を障害者の支援に回していただきたい。そのことを強く要望し、次の質問に移ります。

2006/03/09 2006年3月議会 予算特別委員会
★まつざき真琴
 私は、日本共産党鹿児島県議団として、この特別委員会に付託された議案のうち人工島建設にかかわって質問をいたします。
 「県政かわら版」の二月号に人工島の特集の記事が出ております。この中に「あと県が三十億円負担すれば二十四ヘクタールの土地ができ上がります」、このような表記があります。この点について、まず一期工事の進捗状況の観点からお尋ねしたいと思います。
 一期工事の進捗状況というのは、十七年度末の数字でどうなるのか。廃棄物護岸の本体工、裏込め工、上部工の進捗状況、岸壁部分の上部工は延長何メートルの計画で何%の進捗か、既済護岸は裏込め工、上部工、それぞれ何%の進捗か、お答えください。

◯土木部長
 一期工事の進捗状況でございますが、マリンポートかごしまにつきましては、平成十七年度までに事業費約百九十億円で岸壁外周護岸、アクセス橋梁などの整備を行っておりまして、進捗率は事業費ベースで約七〇%となっております。岸壁を含む護岸工の完成延長による進捗状況といたしましては、平成十七年度末見込みで全体二千六百六十二メートルのうち、本体工が約九六%、裏込め工が約六一%、上部工が約一六%となっております。

★まつざき真琴
 今、十七年度末の進捗状況をお示しいただきました。護岸の部分で埋め立て廃棄物護岸や岸壁の整備で残事業がまだまだあることがわかりました。
 今その枠についてのお答えでしたが、次に、その枠に投入する土砂についてお尋ねします。
 平成十四年四月に出された公有水面埋め立て免許変更許可申請書に添付された図書によると、埋め立て土砂は桜島野尻地区から三百六十七万八千立米、床掘り土砂が二万立米、鹿児島市域の公共残土二十三万二千立米、西之谷ダムの建設残土六十万立米、これらを合わせて四百五十三万立米とされておりました。この時点では、桜島の土石流土砂が年間にどのくらい出るということで何年間の埋め立て計画だったのか、そして直近の三年間では年平均どのくらいの土石流土砂が発生しているのか、お尋ねします。

◯土木部長
 埋め立て土砂計画の見直しでございますが、平成十四年の埋め立て免許申請におきまして、マリンポートかごしま一期の埋め立て土砂につきましては、全体で約四百五十万立方メートルを必要としておりまして、桜島の土石流土砂約三百七十万立方メートル、西之谷ダムなど鹿児島市域で発生をいたします公共残土約八十万立方メートルを受け入れることとしておりました。また、土石流土砂の発生量につきましては、過去二十年程度の平均から約三十万立方メートルを想定いたしまして、野尻川堆積土砂と合わせまして八年で埋め立てを計画していたところでございます。
 なお、十四年度から直近三年間の平均の土石流土砂の発生量につきましては約四万立方メートルとなっておりますことから、これらを踏まえまして、土石流土砂が野尻川堆積土砂を含めまして約二百二十万立方メートルといたしまして、また残る埋め立て土砂につきましては、東西道路などの公共工事から発生する公共残土約二百三十万立方メートルを想定をしているところでございます。

★まつざき真琴
 ただいまの答弁で従来計画、変更時点ですが、これまで年間三十万立米出るというふうに計算して、それが八年間の埋め立て計画二百四十万立米であった。そう見込んでいたものが直近の三年間では発生が四万立米に減っている、このことが明らかにされました。単純に予定の二百四十万立米を四万で割りますと、六十年もかかることになります。
 それでまた建設残土の投入部分がふえたようでありますが、もともとこの事業というのは、桜島の土石流土砂の処分に困っているということで国からも認められたフロンティアランド事業ですが、桜島の土石流土砂は不足しているというのが現実です。我が党は、国にも交渉に行き、桜島の土石流土砂が減少していること、人工島には埋め立てなくても桜島に捨て場はあることを指摘してきましたが、国は、鹿児島県が桜島の土石流土砂の捨て場がなくて困っているという緊急性があり、フロンティアランド事業として認めたことを述べていました。人工島建設の一つの目的は破綻している、そう言えるのではないでしょうか。
 ここで、今、西之谷ダムの建設残土の数値が示されましたが、その搬入についてお尋ねします。
 六十万立米を予定されていますが、現時点での西之谷ダムの建設はどこまで進んでいるのでしょうか。用地買収は終わったのでしょうか。
 まず市道の付け替え道路の建設からと聞いておりますが、市道の付け替え道路の工事が始まっているのか。いつからで何年ほどかかる予定か、さらにダム本体の工事が始まるのはいつか。その中で出る建設残土はすぐには処分されないと聞いておりますが、実際に建設残土として処分が必要とされるのは、ダム本体の工事が始まってどのくらいたってからか。埋め立て免許変更許可申請書の中で、西之谷ダムの搬入について、新川に沿った排砂管によって受け入れることにより輸送するダンプトラックが市街地を通過することが回避され、環境保全に寄与するとされていますが、西之谷ダムから人工島まで約十キロの区間を水搬送工法で六十万立方メートル、六十万立米の土砂を運ぶのに排砂管の設置から搬入完了までどのくらいの期間を見ておられるのか、お示しください。また、この西之谷ダムの建設残土の搬入の経費を幾らと見ているのか、人工島の事業費に入っているのか、お答えください。

◯土木部長
 西之谷ダムの進捗状況につきましては、必要となります事業用地約二十ヘクタールのうち約九九%の用地を取得しているところでございます。
 ダム建設に伴い水没することになります市道の西之谷中央線の付け替え工事につきましては、平成十七年の十一月から着工をいたしておりまして、四年から五年程度の工事の期間を見込んでおります。ダム本体工事の着工につきましては、付け替え市道のうちダム本体の工事に影響のある区間の工事の進捗状況を考慮しながら、できるだけ早い時期に発注することといたしております。西之谷ダムで発生をいたします土砂につきましては、おおむね平成二十年度から数年かけてマリンポートへ搬出する計画といたしておりまして、今後詳細な設計を行うことといたしております。
 なお、搬出に要する費用につきましては原因者において負担することといたしておりまして、ダム事業で計上することといたしております。

★まつざき真琴
 ただいまの答弁で従来計画、変更時点ですが、これまで年間三十万立米出るというふうに計算して、それが八年間の埋め立て計画二百四十万立米であった。そう見込んでいたものが直近の三年間では発生が四万立米に減っている、このことが明らかにされました。単純に予定の二百四十万立米を四万で割りますと、六十年もかかることになります。
 それでまた建設残土の投入部分がふえたようでありますが、もともとこの事業というのは、桜島の土石流土砂の処分に困っているということで国からも認められたフロンティアランド事業ですが、桜島の土石流土砂は不足しているというのが現実です。我が党は、国にも交渉に行き、桜島の土石流土砂が減少していること、人工島には埋め立てなくても桜島に捨て場はあることを指摘してきましたが、国は、鹿児島県が桜島の土石流土砂の捨て場がなくて困っているという緊急性があり、フロンティアランド事業として認めたことを述べていました。人工島建設の一つの目的は破綻している、そう言えるのではないでしょうか。
 ここで、今、西之谷ダムの建設残土の数値が示されましたが、その搬入についてお尋ねします。
 六十万立米を予定されていますが、現時点での西之谷ダムの建設はどこまで進んでいるのでしょうか。用地買収は終わったのでしょうか。
 まず市道の付け替え道路の建設からと聞いておりますが、市道の付け替え道路の工事が始まっているのか。いつからで何年ほどかかる予定か、さらにダム本体の工事が始まるのはいつか。その中で出る建設残土はすぐには処分されないと聞いておりますが、実際に建設残土として処分が必要とされるのは、ダム本体の工事が始まってどのくらいたってからか。埋め立て免許変更許可申請書の中で、西之谷ダムの搬入について、新川に沿った排砂管によって受け入れることにより輸送するダンプトラックが市街地を通過することが回避され、環境保全に寄与するとされていますが、西之谷ダムから人工島まで約十キロの区間を水搬送工法で六十万立方メートル、六十万立米の土砂を運ぶのに排砂管の設置から搬入完了までどのくらいの期間を見ておられるのか、お示しください。また、この西之谷ダムの建設残土の搬入の経費を幾らと見ているのか、人工島の事業費に入っているのか、お答えください。

◯土木部長
 先ほど御答弁いたしましたように、西之谷ダムで発生する土砂につきましては、おおむね平成二十年ぐらいから数年かけてマリンポートの方に搬出するということで、今後詳細な設計を行うことといたしておりまして、費用について今細かくその数字は持ち合わせておりませんので、御了解いただきたいと思います。

★まつざき真琴
 では、その他の建設残土につきましても、昨年の閉会中の企画建設委員会で鹿児島市域内で毎年二、三十万立米出ているとは言いながら、これまでに比べて国の予算の伸びが多少マイナス傾向にあることから、ずれ込むおそれがあるという答弁を部長はされております。これからして一期工事の竣工は二十一年からどのくらいずれると考えておられるでしょうか、お答えください。

◯土木部長
 一期工事の竣工予定でございますが、一期工事の竣工期限につきましては、最近の土石流の発生状況や公共事業によります発生する建設残土等を考慮いたしまして数年程度延長せざるを得ないというふうに考えておりまして、ただし、今後多量の土石流土砂が発生するような場合は竣工期限はまた変動するものと考えております。

★まつざき真琴
 数年程度というお答えでしたが、先ほどの西之谷ダムの土砂の搬入、その予定からも多少ではなく大幅にずれ込む可能性があると思います。人工島の埋め立てにこの西之谷ダムの残土も使われるにもかかわらず、先ほど県のあと三十億円負担すればという中には含まれていません。県民にとっては港湾の事業も河川の事業、ダムの事業も同じ県の事業には変わりはありません。県民にとっては、どちらも県の負担と言えます。それであれば、ここに書かれている約三十億円の負担をすれば二十四ヘクタールの土地ができ上がりますというのは、搬入土砂のその部分が含まれていない、費用が含まれていない。とすれば、この三十億円の負担というのは間違いではないかと思いますが、それを確認させてください。

◯土木部長
 マリンポート事業は、フロンティアランド事業として事業を行っているわけでございますが、先ほども西之谷ダムのときに御説明をいたしましたように、それぞれの事業者が原因者としてマリンポートの方に残土処分をするというわけでございまして、マリンポートの方に残土処分をしなければ一般の土捨て場に費用を払って処分をするわけですから、その場所をマリンポートかごしまの方に処分をするわけでございますので、そういうふうな御理解をいただきたいと思います。

★まつざき真琴
 県民へは、中止をすると百七十億円もかかります、続ければ三十億円しかかかりません。私はこの三十億円というのは、あくまでも人工島「マリンポートかごしま」の事業費の中の県の負担であって、これ以外にもこの二十四ヘクタールの土地をつくるために県の予算として使われるものがある、そのことを指摘したいと思います。
 あと県費三十億円といっても、ほかの部分をだれか出してくれるわけではありません。国の負担はここまで四十数億円ですが、これも鹿児島県民を含めた国民の税金であります。また、さらに鹿児島市民にとってはここまで二十四億円を負担しておりますが、これも重ねての負担であります。そのことも指摘しておきます。
 では、次に、十八年度の事業についてお尋ねいたします。
 十八年十二月を埋め立て竣工としておりますが、県庁の十八階からきょうも昼休みに眺めてみましたが、内陸部の一部を除いてほとんど土が見えておりません。十八年度の事業として周辺護岸、岸壁のかさ上げ、埋立地の覆土、整地、道路・橋梁の整備を計画しておられますが、現実にこれだけの事業が十八年十二月までに可能でしょうか。どの時期にどのような工事が行われるのか、目安をお示しください。

◯土木部長
 マリンポート一期一工区につきましては、埋め立て竣工を平成十八年十二月に予定をいたしております。これを受けまして貨客兼用岸壁の平成十九年度の暫定供用を目途に整備を進めているところでございまして、平成十八年度の事業につきましては、一期一工区の埋め立てを完成させるために外周護岸や岸壁の上部工や埋め立て地の整地及び国施工におきますアクセス橋梁の工事完成を計画しているところでございます。それぞれの工事の期間につきましては、今後国の事業も入っておりますので、国等の関係機関と調整を図って決定したいと考えておりますが、土砂の埋め立てにつきましては十二月の竣工期限に間に合うように事業を実施するよう、国と十分に調整を図ってまいりたいと考えております。

★まつざき真琴
 桜島の土石流の処分につきましては、国の直轄事業でありますから大隅河川国道事務所にお尋ねをいたしました。
 野尻川右岸に仮置きしてある八十五万立米のうち現在六〇%強が搬出済みで、全部終わるのに八月までかかる見込み、野尻川河口部には百万立米の土砂の堆積があり、現在一五%ほど搬出済みだそうです。一工区の埋め立てには百六十六万立米が必要ですが、野尻川右岸に八十五万立米しかありませんから、あとの八十一万立米は河口部からしゅんせつして運ばなければなりません。現在一五%ほど済んでいるといえば、あと六十六万立米を搬出しなければ一工区の分は埋まらないことになります。どうやって運ぶのかわからなかったのでお尋ねしましたら、土運船という船で、大きさにもよりますが、今一日四千から五千立米を搬入しているそうです。単純に計算すれば、これから百三十二日かかるという計算になります。しゅんせつ場所が限られるので、一度に二隻以上で掘って運ぶということは安全上もできないというお話でした。土砂の搬入が百六十六万立米を終わらないことには整地もできないと考えます。しばらく土砂が落ち着く期間、地盤が安定するために置いておく期間も必要ではないでしょうか。
 先ほど十二月の竣工に間に合うような形でというふうにおっしゃいましたが、私にはどう考えても間に合わないのではないかと思いますが、もう一度確認いたします。間に合うんでしょうか。

◯土木部長
 先ほども御答弁いたしましたとおり、十二月の竣工期限に間に合うように調整を図りながら整備を進めてまいりたいと、このように考えております。

★まつざき真琴
 私は、全体的な進捗の状況、また特に一工区の進捗状況をお尋ねしましたが、どう考えてもこの人工島計画は当初の計画どおりにはならない。数年どころか十年単位でずれ込んでいくのではないかというふうに思っています。
 知事にここでお尋ねをいたします。
 伊藤知事は、人工島建設について知事選挙では「大胆な見直しをします」と言って当選されました。そして、一工区についてはここまで来ている事業だからと言って、その必要性の検討もされずに二工区のみの検討を在り方検討委員会に預けられました。そもそも海の中に枠をつくって土砂で埋め立てて土地をつくるという人工島建設の行為そのものは、工区ごとに分けてその必要性を検討するというものではなく、全体としてその事業そのものが問われるべきであります。
 そして、これまで人工島は、二十一世紀の県勢の浮揚発展にとって必要不可欠として七十一億円の経済効果があるとして強引に進められてきたものです。ところが、着工済みとして一工区については検討もなされず、二工区がここまで来ていて中止をすれば百七十億円も経費がかかり補助金の返還問題まで出てくるとされる。それでは、もともと二工区についてだけの検討はどんな意味があったのか。
 十月二十日に在り方検討委員会の最終報告を受けて、知事は、事業の正当性を取り戻す意味で「県民意思が集約された意義は大きい」とコメントされていますが、この発言こそ、先に埋め立てありきであり、その言いわけを在り方検討委員会に見つけてもらったということになるのではないですか。先に埋め立てありきではなかったのか、どうですか、お答えください。

◯伊藤知事
 マリンポートの埋め立ては、私の知事選のときの最大のテーマでもございました。したがいまして、マニフェストでも私五十六番目の項目で「マリンポートかごしま今後の工事計画を大胆に見直す。既に着工済みの工事以外の部分については新たな事業着手を停止します」と書いております。既に着工済みの工事以外でありますので、既に着工しておりました一期計画について、これは一定の事実が形成されておりますので、なかなかこれは今さらそれを元に戻すのは難しいという判断がこの中にあります。今後の工事計画につきましては、県民の御意見を幅広く伺いながら見直し、特に上屋の計画については大胆な見直しを行いますという形でマニフェストに書かせていただきました。
 一番感じましたのは、先ほど御指摘いただきましたように、要するに県民のマリンポートを見る目が大変厳しいということでもありました。したがって、もう一度この正当性をどうやって取り戻すかということで私が考えましたのがマリンポートかごしまの在り方検討委員会であります。もう一度議論をしていただきまして、有識者の方々、県民の方々、それから一般の応募に応じられた方々、その方々に議論していただきまして平たく議論していただこうということで、このような措置をとったわけであります。
 そして、その中で私は所掌事務といたしまして埋め立て及びその利用に関することという形でお願いをいたしました。埋め立てそのもの、それから利用に関することについて御検討いただきたいという趣旨であります。この埋め立てをことさら取り上げたことについて、議会でもいろいろと質問もいただきました。埋め立てを前提にして、その利用に関することならわかるけれども、埋め立てが入ってるのはおかしいではないかという指摘がたしかあったように思いますが、私はあくまでも埋め立て及びその利用に関することといたしまして第二工区分についての検討をお願いした次第でもあります。
 当初は、その経済効果七十数億円ということで御説明があったと聞いております。私は、今回このマリンポート在り方検討委員会の報告をベースに私の方針を決定するに当たりまして、御案内のような形で一つの緑地空間としての利用の可能性、もちろん防災適地でもありますし、それ以外のいろんな利用もあるわけでありますが、基本的なメッセージを緑地空間としての一つのフィールド、一つの空間を整備するということに置いたわけであります。もともと親水型の錦江湾に浮かぶ緑地空間でもありますので、できますれば私は大変な県民の方々、市民の方々の利用もあるのではないかと考えておりまして、多くの市民が集合する場として、また観光客にとりましても大変な一つの価値を持ったスポットとしての利用がこれから図られることになるんだろうと思います。
 したがいまして、事業の評価は単なる経済的な効果それだけではなくて、その事業のスポット性でありますとか、それから公益性でありますとか、それから景観への寄与度でありますとか、そういうのを総合的に判断して決定をすべきではないかと考えておりまして、そういう意味で、私は今回整理したようなテーマに従ってこれから形成される緑地空間が皆さんに広く利用されることをもちろん期待しておりますし、また、そのためのいろんな整備をこれから私どもとしては進めなければいけないと考えております。

★まつざき真琴
 知事が御答弁されました正当性を取り戻す、私はそれが先に埋め立てありきではないかというふうに思うわけであります。知事は、計画を策定した当時からすると社会的情勢も大幅に変化をしており、見直しする必要があるというふうにこれまでも議会の答弁の中でも答えておられますが、見直しする必要があるというふうに言われるのであれば、どうして既に着工済みだからといって片づけられるのか。途中で中止ができない理由を並べ立てて二工区も続けるというのであれば、七十一億円の経済効果がある二十一世紀の県勢の浮揚発展に必要不可欠、このことまでも伊藤知事は引き受けて責任を持つべきであります。
 私は一般質問でも申し上げましたが、今後の人工島建設については、須賀知事からの負の遺産を引き継いだその後始末という問題ではなく、まさしく伊藤知事自身の責任が問われることになるということを再度指摘しておきます。
 また、今のお話の中で緑地空間をつくる、このことの必要性を述べられました。私はここで言いたいのは、財政が厳しい中でどうして数百億円かけて緑の広場をつくらなければならないか、それにどのような価値を見出しておられるのかです。
 今、観光にとっても非常に重要であるというふうにおっしゃいましたが、また、この県政かわら版の中でも「快適で質の高いウォーターフロント空間は北部に存在するだけです」というふうに書かれております。北部にあるだけではいけないんですか。薩摩半島に少し足を伸ばせば、薩摩半島を考えただけでも少し南に足を伸ばせば喜入、指宿もありますし、「薩摩富士」と呼ばれる開聞岳を間近に望むフラワーパークもありますし、坊津の海岸も吹上浜もあるではないですか。
 知事は、十八年度の予算で観光立県としての施策推進のための多額の予算をつけておられます。このように鹿児島には手を入れなくてもたくさんの豊かな自然がたくさんあるのに、どうしてこの場に数百億円をかけて緑の緑地をつくらなければならないのか、もう一度説明してください。

◯伊藤知事
 まず基本的な考え方といたしまして、いろんな要素があるわけでありますが、先ほどから御指摘なさいましたように、あと三十億円で大体の事業ができ上がり、二十四ヘクタールという緑地空間が形成されます。それをどう利用すべきかをまず考えるべきではないかというのが最終的な結論でありました。
 一たんこの事業をやめて、どこまで停止すべきかというのはちょっと御質問の中でわかりませんでしたが、もしあの空間の事業をやめて全部元に戻せというのであれば百億円以上の一般財源がかかります。より多くの多額の金をかけて何もなくしてしまう、それはばからしいのではないのかなというのが私の実は考え方でありまして、あと三十億円で二十四ヘクタールという、しかも鹿児島の都市内に立派な緑地空間ができるというのであれば、それを利用して今後それをどういう形で有効に活用するかを考えるのが僕らの仕事ではないのかなというのが基本的な考え方であります。
 したがいまして、確かに鹿児島はいろんなところに大変すばらしい景観の地がありますが、たまたまこの事業をこういう形でずっとやってきて、あとそれを最終的にどう整備するかという段階でもありますから、そうであるとすると、今までの皆さん方の苦労の上に最終的にこれを完成させて、それを有効に活用する方が我々の行政のとるべき手段としては正しい方法ではないかということで今回の結論を出させていただいております。

★まつざき真琴
 私は、今、知事が全部なくせば百七十億円という話をされましたが、これをどう県民のために解決するかということで、ほかに知恵を出せばもっといい解決方法があるのではないかと思います。
 私は一般質問でも国保税の滞納世帯の増加とか生活保護、就学援助を受けている世帯の増加など県民の暮らし向きが厳しい状況を訴えてまいりました。厳しい県の財政だからこそ人工島建設を中止し、県民の暮らしや福祉最優先の県政を執行されることを強く要望し、質問を終わります。

2006/03/01 2006年3月議会 一般質問
★まつざき真琴
 今述べたような例に象徴される本県の県民の暮らし向きの厳しい現状とあわせて県財政の厳しい中で、予算の何を守り、何を削るのか、知事の政治姿勢が問われています。その何を削るのかという点で、幾つかの問題について取り上げます。
 その一つが人工島建設であります。我が党は、この計画が明らかになった当初から、むだな大型開発と錦江湾の自然を破壊する人工島建設はやめよと主張してまいりました。伊藤知事は、一昨年の知事選挙において、人工島建設の大胆な見直しを掲げ、当選されましたが、その見直しの結果として一期二工区の埋め立ての継続を決定されました。独自空間が必要、防災拠点などの埋め立て理由については、既に各方面から批判の声が上げられておりますが、これは建設目的が破綻した人工島建設を新たな口実を設けて推進しようとするものにほかなりません。今後の人工島建設については、須賀前知事からの負の遺産を引き継いだその後始末という問題ではなく、まさに伊藤知事自身の責任が問われることになるということをここで指摘しておきます。

2005/11/14 2005年12月議会 企画建設委員会
★まつざき真琴
 まず冒頭に、委員外議員としてお時間をいただいたことに、高橋委員長を初め委員の皆さんに感謝申し上げます。ありがとうございます。
 では、何点かお尋ねさせていただきます。
 その前に、一点確認をさせていただきたいんですけれども、国の補助金返還にかかわって再評価についての対象となるものについての基準の説明がありましたが、その中で、採択後五年をたったもの、十年をたったものという対象の基準がありますが、そのほかに知事が必要と認める場合というのが、私はあったかという認識をしておりますが、その点はいかがでしょうか。

◯港湾課長
 先ほど私、申し上げたのが、事業採択後五年が経過した時点で未着工の事業、事業採択後十年間が経過した時点で継続中の事業というふうに申し上げました。そのほかに社会経済情勢の急激な変化、技術革新等により再評価の実施の必要が生じた事業というものがございます。

★まつざき真琴
 その点で言いますと、私は、国の補助金返還にかかわっての再評価というのは、知事がその気になって再評価する必要があるということであれば、この再評価の対象にこの人工島マリンポートかごしまはなり得るというふうに思うわけですけれども、その点についての説明が在り方検討委員会ではなされなかったというふうに、私はちょうどそのとき傍聴しておりましたが、なされなかったと思います。
 そのときの港湾課長の説明が非常に委員の皆さんに大きな影響を与えて、もうこの事業は、そういうふうに国の補助金返還を求められるものであればいたし方ないというふうに大きく傾いたという点では、私はもっとそこの点について十分説明をする必要があったのではないかというふうに思っております。これは指摘だけしておきたいと思います。
 質問いたします。
 在り方検討委員会の最終提言について、私は県の認識について再度もう一回確認をしたいと思います。
 一つは、位置づけの問題です。これまでの委員の皆さんの議論の中で、非常にやっぱり重要な意味を持っているものが、これまで二十一世紀の県勢の浮揚発展にとって必要不可欠というのでこれが進められてきたというのが何度か発言の中でもありました。これがこの提言の中ではどうなったのかが一点。
 二つ目が、四つの目的ということで示されましたが、あとの二つについては、具体的には示されていない。今後、経済情勢の変化等で対応できる形で緑地を広くという形で、そこに網羅されているという説明だったように思うんですが、このあとの残りの二つの目的についてはどうなのか。どう提言ではなっているのか。これが二つ目。
 三つ目に、当初の県の計画で経済効果の七十一億円というのがありましたが、この提言では、その経済効果についてどういうふうになっているのか。それについて教えてください。

◯港湾課長
 まず一点目、二十一世紀の県勢浮揚には必要なプロジェクトであるというお話がございましたけれども、ここのところにつきましては、この提言の中、二つ目の質問ともちょっと重なる部分がございますけれども、その提言の四ページ目を再度ごらんいただきたいと思うんでございますが、マリンポートのそもそもの目的、この二期事業二十四ヘクタールの目的でございますが、一点目が国際交流拠点の形成、二点目が広域防災拠点の形成、三点目が海洋性レクリエーション需要への対応、四点目が桜島の土石流土砂への受け入れと、こういう四つであったわけでございます。
 そういう当初の計画に掲げられた目的を整理をして、基本的には、我々はこの四つを進めることによって全体として、あと上物等も全部含めてこの県勢の浮揚発展につながるということで進めておるプロジェクトなわけでございますけれども、そういう中で、この四つの目的のうち、利用目的を見直しをして、その中で大型観光船の寄港拠点、それから防災拠点としての機能整備を中心に要するに計画の見直しを求めるんだという話になったわけです。
 そうしますと、ここで、当初の目的は国際交流拠点の形成と言っております。ここでは大型観光船の寄港拠点と言っております。したがって、国際交流拠点という中には、もともとの目的の中には、大型観光船の話と、それから国際会議場、国際展示場と、そういうもの合わせて全体として国際交流拠点ということにしていたわけです。
 だから、その半分になるのか何分の一になるのかわかりませんけれども、そういうものと、それから防災拠点というものとを中心として計画の見直しを求めていったらいいんではないかと。
 あとこの提言の中でのお話でございますが、そうしたときに当初の目的で達成できないものがあるだろうと。そうしたときに今後の利用を考える。それは県民のニーズ、社会経済情勢の変化、そういうものに柔軟に対応するために、ここでは緑地広場を広く取ることによって、そういったものへの将来の対応を考えていったらいいんではないかということで、全体としては、効果発現といいますか、具体的に上物ができて、効果が発現する時点として、その時点時点でとらえれば、おっしゃているように若干しぼんだり、あるいは膨らんだりするところがあるわけでございますけれども、将来的にはそういうのをにらんで柔軟な対応をしていったらいいんではないかという内容になっているということでございます。
 それで、三点目、経済効果の話でございますけれども、ここの中では、経済効果の話として、具体的に幾つか当初の計画に対する経済効果という質問のやりとり等はあったわけでございますけれども、この計画を最終的に提言としてまとめる段階に当たっては、ここはあくまで提言の中身は、基本的な考え方で申し上げましたように、要するにこの土地利用の方向性の話でありますので、それを具体的に数値的にどういった規模のものであるのか、どういった配置であるのか、それを考慮して最終的にどれくらいの利用とか考えられるわけですから、この時点で、方向性の時点で、利用効果といいますか経済効果ということは到底算出できない。
 したがって、あくまでこの提言の内容というのは、そういう利用の方向性、今の現状を踏まえると、やはりこういう利用の方向性がいいんではないかという提言内容だと、そういうことでございます。

★まつざき真琴
 答弁を伺っていますと、非常にわかったようなわからないようなという、こちらは明確な言葉でお答えいただきたいと思うんですけれども、全体を含んで考えないといけないのかなと思っていますが、これまでは県勢の浮揚発展に必要不可欠と、これは上村委員もそういうお話しでしたし、中村委員もそういうお話をされましたが、それがこの提言の中では、三ページにありますが、(一)の真ん中ごろにありますが、「当該事業の継続を容認するとの意見」、必要不可欠というふうに言われていたのが、この提言では「容認する」と。
 委員の中でもこの議事録で第一回目の十三ページにもありますが、「もうああいうものは要らないというスタンスを持っている」、「もう一工区は仕方がない、これはつくらなきゃしょうがないんだというスタンスでスタートするんですか」という発言があったり、また、中間報告の取りまとめの中に、これは第五回の三十ページにありますが、「大多数の委員は埋立を進めるべきとの意見であった」というのが「べき」ではおかしいと、「『進めざるを得ない』という意見が多かったことが確か」というふうに発言があるように、非常に在り方検討委員会の委員の皆さんが御苦労なさって、あえてこの中で、もうこれだけ一工区の事業が進んでいるんだからやめざるを得ないと。必要性をどこに見出すかということで、あえていろんな夢を語っていらっしゃいました。
 私は、きょう、朝、冒頭の上村委員の発言の中で、知事が正当性を取り戻すことが在り方検討委員会の目的というような発言があったという紹介をされましたが、本当に知事自身が自分でできないことを在り方検討委員会に無理強いされたなというのを非常に感想として感じていました。
 この在り方検討委員会が、人工島にいかに正当性を持たせるかというのは、防災拠点しかなかったと。防災拠点については、いろんなまた委員の皆さんからも安全性についての意見も出されましたし、要望も出されましたが、そこにしか、防災拠点を中心にということでしか正当性を見出せなかったというところに、私はやっぱり人工島、これの本当に正当性、必要性があるのかというところをどうしても疑問を持たざるを得ないというのを一点目の質問で申し上げたいと思います。
 二点目、土石流の土砂の整合性について、きょう初めて、私はこの整合性については九月議会の一般質問で申し上げてまいりましたが、不足すると計画と整合性がないんじゃないかという指摘をしておりましたが、着実に計画どおり進めるという答弁をされておりました。きょう初めて土木部長の方が、多少ずれ込む、土砂が足りなくて多少ずれ込む可能性があるというようなことを発言をなされました。
 この多少というのは、広辞苑で昼休み見ましたら、「多いか少ないか」とか「ほんの少量」とかそういうのが載っておりまして、わかりませんが、「多少」というのは大体何年ぐらい、二、三年なのか五、六年なのか、どの程度をお考えなんでしょうか。

◯土木部長
 午前中に御説明を差し上げましたのは、当初の計画の埋立申請を行うときの計画で行きますと、年間三十万立米の桜島の土砂を計画をいたしております。
 しかし、最近の降灰の状況を見ますと、年間に八万立米、という状況でございますと、当然計画を立てた段階と今の自然状況を踏まえると、桜島の降灰土砂については見直しが必要な時期はおのずから計画を見直す必要があると思いますと。
 また一方、これまでの鹿児島市域内の建設残土というのは毎年二、三十万立米出ているという経緯はございますと、こういう御説を明差し上げたと。
 財政状況が非常に厳しい中に国の公共事業のあり方、また、最近は道路特定財源の一般財源化と非常に公共事業が揺れている状況にある。そういう中で、鹿児島市域内もしくは近辺からの建設残土がどれぐらい出るかということは、向こう五、六年の計画を立てて、我々はそれは当然シミュレーションしなきゃいけないと。そうなってきたときに国の予算の状況、県の財政状況、それから現場の状況、そういうのを踏まえると、そういうのを検証する必要があろうかと思いますと。単純にこれまでの公共事業の伸びからすると、国の予算の伸びが多少マイナス傾向にあることからすると、二、三十万立米という建設残土というのの検証を踏まえると、多少ずれ込むおそれがあると。多少ずれ込むおそれがあるんじゃないかと。
 ですから、当然検証を行う必要がございますから、今ここが二、三年か三、四年かというふうに明確にお答えするには、十分な資料を持ち合わせておりませんので、それは御了解いただきたいということでございます。

★まつざき真琴
 再度「多少」という言葉が出ましたが、私は、大幅にずれ込む可能性があるというふうに思っているんですね。
 それは、一般質問でも行いましたが、桜島の土石流土砂にしても、ここのところ八万立米、平均でというお話しでしたが、ここ三年間で言うと四万四千立米、一昨年は八千立米しか出ていません。これはもちろん自然が相手ですから、大爆発するかもしれないということはありますが、そういう中で、桜島の土石流土砂にしてもそうですし、西之谷ダムの建設残土にしましても、今、用地買収の見通しがやっとついて、これから着工と。まずは取りつけ道路。取りつけ道路をつくるにも残土は出ますが、それはやっぱり道路をつくる際の埋め立てにも使うと。ダム本体の工事をするにしても、最初から運び出すというのではなくて、置いたり、また埋めたりに使うというのを聞いております。そういうことからすると、また七、八年先にしか西之谷ダムも相手にできないのではないか。
 今、部長のお話のようにほかの一般の建設残土にしましても、国の動向等もあって見通しがなかなか持てないと。シミュレーションしなきゃいけないと。そういうことから考えると、とても二十一年の供用には、多少ではなくて大幅にずれ込む可能性があるというふうに思うわけですね。
 一点お尋ねしたいのが、今回、在り方検討委員会でも、一工区で埋め立てをやめた場合は、先ほどもありましたね、のり面の保護が必要だというのでありましたが、一工区を埋め立てた後、多少なのか大幅なのかあるかもしれませんが、二工区を埋め立ててしまうのに時間がかかる。この間、こののり面の部分の保護についてはどのようにお考えなんでしょうか。

◯港湾課長
 通常、埋め立てを行っていく場合は順次行っていきますので、やり方によるわけでございますけれども、基本的には、のり面対策が必要なのは、開口区、要は今、船がどういう状況かといいますと、桜島の土石流を運ぶときには、船に乗せましてその船で持ってきます。その中に持ってくるわけです。持ってくるためにはどうしてもあそこの護岸を若干あけておかないといけない。それが船通し区間というんでございますけれども。この船通し区間があるために、あるためにどうしても波が入ってくるわけですね。
 それで、どんどんどんどん行きましたら、今度は、逆にアクセス橋梁ができますと、今度はアクセス橋梁を使って運ぶということも可能になってまいるわけでございます。どこかに揚げて、それでアクセス橋梁で持ってくる。あるいは鹿児島市域の陸上残土についてトラックで運ぶということでございますが、そういうことになりますので、そこの部分は、通常は基本的には何ら対策はとりません、そういうずっと埋め立てるときは。
 したがって、やはり危ない場合には、そこの工程をいろいろ調整をしまして、先に船通し区間をもう閉めてしまうということもあるわけです。
 だから、そこは一体どういうふうに運ぶのか。土砂が発生する場所等を十分考慮して、見直し、部長がさっき言ったシミュレーションというお話をしましたけど、そういう中で、一体いつ時点で閉め切るのか。そういうのを考慮しながら、どんな対策をとっていったらいいのかと、そういうのもあわせて検討していくことになろうかと思います。
 通常は、埋め立てをする場合には何ら対策をとらずに、少しずつ少しずつ埋め立てをしていくと、そういうことでございます。

★まつざき真琴
 一工区は、供用を十九年から開始するわけで、二工区をすべて埋め立ててしまうには、そういうふうにもっと相当先のことだと。そういった場合、のり面の保護についてやっぱりどうしても船通しを一遍あけておいて途中で閉めるにしても、海の中のことですから、やはり私はこういう鹿児島がずっと防災拠点ということを言われていますが、台風の被害だとか波の被害だとか、そういうふうにあるときに、やはりそこについての、護岸についての十分なきちんとした保護をしなければ、非常に供用に関しては安全性が保たれないのではないかと。
 そういう面では、本当に二工区まで含めて安全に埋め立てが済むというふうなことに非常に疑問を持つものです。
 もう時間がありませんので、そういうふうに疑問を持つということを申し上げておきます。
 最後に、一点、在り方検討委員会が最後に課題として示したものがあると思うんですね。これについてもこちらの方から申し上げますが、例えば第七回で七ページに議事録でありますが、「できるだけ税金が使われないように、税金が生み出されるような施設をつくってほしい」とか、あと「一度決めたら変えられないのはもう困る」と。「いつの、だれの、だれが見る夢をかなえるために県民の重要な財産を使うのかということをもっとしっかり現実を見て、何よりも正しい方向を示してほしい」とか、「本当に県民のためになるようなものであることを検討してほしい」。
 それとあわせて第三回には、「『この工事を始める前にこういう会があればこういうことにならなかったんだろうな』というのを何度も何度もほかの委員さん、たくさんの方からも言われていますけれども」という発言もあったわけですよ。それはよく部長さんも課長さんもお聞きであったと思うんですけれども、やっぱりこれはこれまでの県の公共事業のあり方について、非常にやっぱり問題点を指摘していると思うんですね。だれのための事業であるのか。本当に県民のためになるのかと。
 昨年度の県政刷新大綱策定委員会の論議でも発言があったのが、「県は立派な建物を建てて、『お金がないから協力して』と言われても、お金がないのが見えない」と。「もっと子育て支援にお金を使ってほしい」とか、こういう意見も同じような趣旨で出された意見だと思うんですね。
 まさしく人工島が県民の願いとは反するものであって、委員の人たちがこういうふうにおっしゃったというのは、もっと県民のための県政を執り行ってほしいという、こういう痛切な叫びであるというふうに私は受けとめています。
 きょうは、委員の皆さんは、在り方検討委員会の委員の人たちとはまた違って、別な立場でのいろんな土地利用の用途変更も含めて提案をなされていました。
 その中で、私が非常にまた危惧しますのは、もともと県勢の浮揚発展に必要不可欠、七十一億円の経済効果というふうなうたい文句で始まったこのものが、きょうは民間活力も活用してというふうなことが出されましたが、例えば石播用地については、県の貴重な財産で埋め立てて、石播に安価で売り、三千人の雇用と約束しながら、それも果たさず撤退してしまって、今はそれをまたほかに貸したり、また用途変更して切り売りするんじゃないかという心配もされておりますが、そういうふうに本当に県民のために県民の税金は使ってほしいという県民の願いがあると思うんですね。
 そういう中で考えたときに、先ほどカジノとか大型商業施設ということも出ましたが、この人工島の土地利用について、そういう検討委員会で出されました、先ほど私が紹介しました委員の意見、もっと早くから、始める前に持ってほしかった。県民のために役立つ使い方をしてほしいということに対して、私は今、進んでいる方向というのが本当に大丈夫なんだろうかと危惧するものであります。
 最後に、そういう問題点も指摘しますが、この在り方検討委員会の委員の皆さんたちのこの間の御労苦に対して、そういうふうに一番最後にそういう意見が出されておりますが、それに対して県として、今後のこの人工島の計画を決めていくに当たって、基本に考えていらっしゃることとかあればお示しいただきたいというふうに思います。

◯港湾課長
 提言を踏まえて、今後どういうふうにやっていくのか。その中で、今、事務方としてどういったことを念頭に置いているのかというような御質問だと思うんでございますが、これにつきましては、今十月二十日に提言をいただきました。それで、その際に、御説明しましたけれども、基本的な考え方の中は、要は多数意見を中心にして取りまとめられたと。ただ、いろんな意見が出ましたと。今、委員がおっしゃっているような意見から、逆に言えば賛成の意見までも含めていろいろ出ているわけです。
 したがって、我々事務局としましては、そういう意見、いろいろと分析をして、今後、その具体的な方針を定めるに当たって入れられるもの、当然入れられないものもありましょうけれども、それをせっかく一年間もかけて御議論いただいたわけでございますので、十分尊重をして、うまく活用できるものは十分活用してやっていきたいというふうに考えております。

★まつざき真琴
 ありがとうございました。
 これで終わります
2005/09/22 2005年9月議会 一般質問
★まつざき真琴
次に、人工島建設の質問に移ります。
 現在、一工区の埋め立てが始まり、二工区のあり方にも結論が出されようとしている現状にあって、ここで改めて人工島建設の矛盾や問題点を指摘し、知事の姿勢を問い、即刻中止を求めるものであります。
 知事は、一工区については既に着手済みとして何の議論もなく進められておりますが、十九年度の供用開始に当たってまだまだ整備が必要な事業があるはずです。供用開始に当たっての残事業の内容と事業費が幾ら必要なのかをお答えください。
 人工島建設の事業費はこれまで総額百八十億円、うち県の負担が百十三億円、うち起債によるものが百七億六千万円、実に九五・二%が借金によるものです。これまで須賀前知事は、人工島建設中止を求める私の質問に対して、二十一世紀の県勢の浮揚発展に必要不可欠として七十一億円の経済効果を挙げられておりました。私はこの七十一億円という数字についても分析し、根拠のない数字であることを指摘してきましたが、異常なまでの須賀前知事の熱意でした。
 ここに来て、伊藤知事のマニフェストに沿って設置された在り方検討委員会での中間報告で示された三つの案は、この七十一億円という経済効果を上げると言われた上物とは全く違った内容であります。これまで、後に交付税措置される有利な起債と言い続け、起債に頼りながら人工島建設を推進してきましたが、三位一体改革で交付税そのものが不透明な現状の中で、借金は生み出しても経済効果は生み出さないこの人工島マリンポートかごしまであります。
 職員の給与までカットし、県民にも非常事態宣言を出し、あらゆる歳出の見直しと歳入の確保に努力されている知事として、起債に頼りながら人工島建設を進めている現状を本県の財政状況と照らし合わせてどのように認識し、知事としてどのような必要性を感じておられるのでしょうか、お答えください。
 次に、具体的に人工島建設の問題点について幾つかの角度でお尋ねいたします。
 まず第一点は、人工島の埋め立て計画と埋め立て土砂との量の整合性であります。
 現在、人工島は、一工区について桜島の土石流土砂の搬入が行われており、十八年十二月竣工、十九年の供用開始と予定されています。一工区分の埋め立てには百七十万立米の土砂が必要だとされています。当初の計画では桜島の土石流土砂は野尻川右岸の仮置き場にある約八十万立米と年間三十万立米出る予定の土石流土砂、そして野尻川河口に堆積している海中分もしゅんせつして埋め立てに使うとされていますが、最近三年間の堆砂量は平均年間四万四千立米で、予定の年間三十万立米にはほど遠い量です。
 また、二工区の埋め立てにはさらに二百八十万立米の土砂が必要とされており、西之谷ダムの建設残土六十万立米や一般の建設残土三十万立米も投入するという計画ですが、西之谷ダムはようやく用地買収の見通しが立ったというところで、工事の開始に当たって、つけかえ道路の建設にこれから二年から三年かかり、その後ダム本体の工事にかかり、土砂が搬入できるのはさらに二、三年後と思われます。二十年から二十一年に西之谷ダムの土砂を投入するという予定にはとても間に合いません。
 私は、毎回、在り方検討委員会を傍聴してきましたが、第三回検討委員会で委員の方から、流出土砂が年八千立米しかなくて埋め立てられるのだろうかという質問に対して、港湾課長は、「埋め立て申請をした当時の過去の実績では毎年三十万立米くらいを想定している。さらに学者の先生方の、現状では桜島の活動自身は非常に弱まっているが、停滞期であって、いつ火山活動が起こるかわからない」という話も紹介されておりました。現実とほど遠い過去の数値と桜島の活動次第という自然任せ、成り行き任せの状態でこの事業を責任持って遂行できるというのでしょうか。
 西之谷ダムと一般建設残土を除いた残りの百九十万立米をここ三年間の土砂の平均で割ると、四十三年も埋め立てにかかるということになってしまいます。仮に、直ちに桜島の大爆発があって、一気に過去の実績のような年平均三十万立米の土砂が出るとしても、それでも六年以上もかかることになります。その間、先に埋め立てた一工区の土砂は仕切りもないままで土砂運搬用の百十メートルの船通し区間はあいたまま、それこそ台風などの災害が毎年数回起きる鹿児島で錦江湾の環境汚染につながることが懸念されます。
 県は、二工区を埋め立てない場合の課題として、その一番目に、一工区の埋立地の波による浸食への対応が必要として、被覆石によるのり面保護に約十五億円、外周護岸の背後の裏込め工補強等に約十一億円かかると示されました。一工区でやめたとしても安全性に問題があって対策に費用がかかる。二工区まで埋め立てようとしても土砂が足りなくて時間がかかり過ぎ、その間の一工区の安全性が心配される。一工区と二工区を同時に埋め立てればますます土砂が足らずに一工区の供用の見通しが立たない。このように土砂投入に関して完工までの計画と実際との整合性はありません。このような状況をどのように認識されていますか、お答えください。
 これまで、在り方検討委員会では大変熱心な検討がなされてきました。今回の中間報告には「一期二工区の埋め立てについては、中止を求める意見が少数あったが、大多数の意見は進めるとの意見であった」と書かれていますが、実は中間報告の素案には「進めるべきとの意見であった」という表現になっており、委員から、「進めるべきというのはおかしい。進めざるを得ないという意見が多かったと訂正してほしい」という発言が出て、書きかえられたものです。私は、この中間報告の表現はまだ不正確であり、人工島建設の是非について県民への責任を重く感じながら熱心に検討していただいている委員の皆さんに対して失礼であると思います。
 検討委員会での論議の中で、二工区の埋め立てを進めざるを得ないという結論となった一つの大きな要因が補助金の返還問題でしたので、二点目にこのことにも触れておきたいと思います。
 県は、一期二工区を埋め立てない場合の課題の一つとして補助金の返還を挙げ、「補助金適正化法の義務違反が生じるおそれがあると国が判断するケースが一般的ではないかと考える。よって、国からの補助金返還の要求が想定される」と説明されました。補助金適正化法の第十七条に決定の取り消しについて、第十八条に決定が取り消された場合に補助金の返還を命ずることが述べられています。この決定の取り消しに当たるのは、補助金等の他の用途への使用をした場合とされています。例えば、道路建設に使うべき補助金を福祉関係に使ったなどという場合です。
 人工島建設の是非とは別に考えてみましても、人工島建設の目的のために補助金の申請を行い、国が補助採択し、人工島建設のために使用した補助金の返還が出てくるとすれば、現時点で人工島の目的以外に補助金を使用していますということになるのではないかという問題点も出てきます。ましてや二〇〇三年五月二十三日に国の港湾局長から出された通達には、「港湾局所管補助事業においても、行政機関が行う政策の評価に関する法律に基づいた適正な手続を経て実施された公共事業再評価の結果、事業主体である地方公共団体が補助事業を中断した場合には、補助金等適正化法上の義務違反がない限り補助金等の返還を求めることがないこと」と明記されています。これを見れば、県が法に基づいてきちんと手続さえすれば補助金返還を要求されることはないということこそ想定されるのではないですか。
 私は、ことしの七月に政府交渉を行った際、国土交通省の担当者にこの件についても確認いたしました。要は、やめる気がないからその理由に補助金返還を挙げているんだというこの指摘にどう答えられますか。何を根拠に補助金返還が求められると想定されているのか明確に示してください。
 もう一点、人工島在り方検討委員会で人工島の必要性として強調されたものが防災拠点としての役割で、ヘリポート、避難場所、避難民受け入れ施設、救援物資格納施設などの整備が盛り込まれています。
 そこで、危機管理局長にお尋ねします。今回、台風十四号のような災害時、また地震災害のとき、人工島マリンポートかごしまが県民を災害から守る防災拠点となり得るでしょうか。単に人工島が暴風雨にさらされ、堤防の決壊や津波、浸水被害が起こらないか、地震による地盤の液状化が起きないかなどの被害を受けるか受けないかではなく、災害時に県民の避難場所、救援物資の格納場所など防災拠点としての役割を果たすことが可能と考えられるのかどうか、明確にお答えください。

◯伊藤知事
 マリンポートかごしまの必要性についてのお尋ねがありました。
 マリンポートかごしまにつきましては、平成二年に鹿児島県総合基本計画に位置づけ、県開発促進協議会などを中心に要望活動を行い、平成十一年に大型観光船の埠頭、国際会議場などの整備を目的として事業を着手したところであります。二十一世紀の県勢発展にとって有益な面もあると考えておりますが、計画を策定した当時からいたしますと社会経済情勢も大幅に変化してきており、改めて見直しの時期に来ていると考えております。
 このため、一期の一工区につきましては既に着工済みであり、着実にその整備を進めることとし、一期の二工区につきましては上物を含め大胆に見直すこととし、学識経験者や専門家、さらに公募による委員等の幅広い県民の意見を踏まえ、そのあり方を検討することを目的としてマリンポートかごしまの在り方検討委員会を設置し、検討を進めているところでもあり、十月末までに結論を取りまとめていただく予定となっております。
 県といたしましては、検討委員会の結論を踏まえ、県議会の御意見もお伺いをしながら、マリンポートかごしま一期二工区の今後の方針を決めていきたいと考えております。

◯土木部長
 マリンポートかごしま一期一工区につきましては、貨客兼用岸壁の平成十九年度暫定供用を目途に整備を進めているところでございます。
 平成十七年度の事業につきましては、外周護岸などの裏込め工や上部工の工事、国施工によるアクセス橋梁の工事など約二十二億円が予算化されております。
 一工区を供用するための平成十八年度の事業といたしましては、外周護岸などの上部工の工事や埋め立て整地工事、道路工事など約二十八億円を見込んでいるところでございます。
 一期一工区につきましては、外周護岸が概成し、既に桜島の土石流土砂が投入されるなど、着実に整備を進めているところでありまして、平成十八年十二月を目途に土石流土砂や建設残土など約百七十万立方メートルの埋め立てを進めることとしております。
 二工区につきましては、そのあり方について、学識経験者や専門家、さらに公募による委員等から成るマリンポートかごしまの在り方検討委員会において検討を進めているところでございまして、十月末に予定される結論を踏まえ、今後の方針を決めることになりますが、埋め立てる場合には桜島の土石流土砂や西之谷ダムの建設残土などを利用することとしております。
 補助金の返還についてでございますが、長野県によりますと、浅川ダムにつきましては、平成十五年度の公共事業再評価の結果、「ダムにかわる治水、利用対策を住民参加のもとで早急に具体化されたい」などとする意見書を付せられましたことから、現在、ダム事業にかわる治水、利用対策などについて検討を進めており、国に対する正式な事業中止の申請は行っていないとのことでございます。
 マリンポートかごしまにつきましては、一期一工区の整備を着実に進め、一期二工区につきましては、マリンポートかごしまの在り方検討委員会において整備のあり方について検討を進めているところであります。
 国からの通達によりますと、適正な手続を経て公共事業再評価を行い、かつ補助金等適正化法上の義務違反がないものに限って、中断した補助事業の補助金等の返還を求めることがないとされておりますので、マリンポートかごしまの整備につきましてはこのような項目に該当しないと想定されますことから、補助金の返還が生じるものと考えております。
 災害危険箇所についてでございますが、土木部の所管事業の対象であります人家五戸以上等の災害危険箇所につきましては四千九百五十二カ所あり、平成十六年度末において一部完了した箇所を含めて千四百六十八カ所を整備し、その整備率は約三〇%となっております。
 また、道路沿いの斜面における防災対策が必要な危険箇所は九百二十四カ所あり、平成十六年度末までに五百五カ所の整備の対策が完了しており、その整備率は約五五%となっております。
 県といたしましては、安心・安全な郷土づくりを県政の重要な課題としておりますことから、今後とも、危険度や緊急性の高いところから順次工事を進めることとしており、計画的な施設整備に努めますとともに、危険箇所の周知や防災情報の提供などソフト対策とあわせて、総合的な防災対策の推進に努めてまいりたいと考えております。

◯危機管理局長
 マリンポートかごしまの在り方検討委員会におきましては、一期二工区のあり方につきまして、防災拠点としては一時的な避難場所だけでなく、ある程度の期間避難生活を送れるような施設が必要ではないかとの意見を踏まえ、三つの案を検討委員会の中間報告として取りまとめられ、パブリックコメントを行ったところであります。検討委員会としては、これらの意見を踏まえ、十月末までに最終提言をまとめられるものと理解をいたしております。
 災害時におきます避難が適切に行われるためには、市町村が行う避難勧告等の発令が、土砂災害警戒情報等の防災関連情報を踏まえて適時・適切に行われるとともに、高齢者などの災害時要援護者の避難体制を確立しておくことが重要であると考えております。
 県としては、今後とも、市町村に対し、防災関連情報の重要性を認識していただきますとともに、地域ぐるみの迅速・的確な避難体制の確立について、その徹底を要請してまいりたいと考えております。

★まつざき真琴
 自席から土木部長と危機管理局長に再答弁を求めます。
 私は、人工島の建設につきまして、土砂の搬入の計画と実際と整合性がないというふうに指摘をして、それについてどうかとお尋ねいたしました。そのことについて触れられませんでした。ということは、私の整合性がないという指摘に対して、それを認められるということでしょうか。
 危機管理局長は、私が質問いたしましたのは、危機管理局長として人工島マリンポートかごしまが災害時に防災拠点となり得るかどうかという危機管理局長のお考えを聞いたのでありまして、在り方検討委員会の考えを聞いたわけではありませんので、それについて再答弁を求めます。

◯土木部長
 埋め立て土砂の件でございますが、先ほど答弁いたしましたとおり、一期一工区につきましては、現在、着実に整備を進めておりまして、十八年十二月を目途に土石流土砂や建設残土百七十万立米を埋め立てることといたしているところでございます。
 二工区につきましては、今現在、マリンポートかごしまの在り方検討委員会において二工区のあり方について検討をいたしているところでございますけれども、埋め立てる場合になった場合には、桜島の土石流土砂や西之谷ダムなどの建設残土などを利用して埋め立てることとしておりますということでございます。

◯危機管理局長
 防災拠点として三つの案が示されておりまして、その結論を踏まえまして、県議会の御意見も踏まえながら方針が決められていくものと受けとめております。

★まつざき真琴
 人工島につきましては、述べてきたように、七十一億円の経済効果を理由に起債に頼りながら強引に進められてきたものであります。知事の答弁には必要性というのを感じることができませんでした。埋め立て土砂の不足からしても、必要性からしても、安全性からしても、進めれば進めるほど矛盾が大きくなるばかりです。一刻も早い中止こそ多くの県民が望んでいる道であります。知事の意思として即刻中止されることを強く要望いたします。
2005/03/02 2005年3月議会 一般質問
★まつざき真琴
 その一つは、むだな大型開発が温存されているという点です。その顕著な例として、人工島建設と志布志港の整備事業を取り上げます。人工島建設のこれまでの事業費は、今年度までで百六十八億二千七百万円、うち県の負担は百六億五千八百万円、このうち県債が百一億四千二百万円、実に九五%が借金に頼りながらの事業です。
 このような指摘をすると、後に交付税措置される有利な起債であると土木部長は答弁されてきましたが、交付税そのものが二〇〇二年六月閣議決定された骨太の方針第二弾で地方交付税の削減が打ち出されているではありませんか。
 知事は、九月議会での私の人工島の必要性という質問に対して「全体計画を作成した当時からいたしますと、社会経済情勢が大幅に変化し、見直しの時期に来ていると考えております」と答弁されました。そのとおり、経済情勢も変化し、その上、本県の財政状況も非常事態宣言を出すほどに悪化しています。どう考えても一工区云々、二工区云々と言っている場合ではないでしょう。これ以上借金を重ねて進めるべき事業でしょうか、即刻中止すべきです。
 知事は、二工区の埋め立てについては、マリンポート在り方検討委員会で検討していただくとされております。私は、この検討員会を傍聴いたしましたが、この中でいまだ七十一億円の経済効果を用いた説明がなされておりました。これに対して、委員から「六年前の試算では不十分ではないか。どこからそんなに人が来るのか」という意見が出されておりましたし、また「現状認識は一致していない、ここで決めていいのだろうか。県民に対して自分が加害者になりたくない」このような率直な意見が出されています。
 知事にお尋ねします。
 在り方検討委員会での論議をどのように受けとめ、委員会でまとめられるであろう提言をどのように生かしていかれるおつもりでしょうか。県民の意見を聞きたいと言われるのなら、直接住民に人工島建設の是非を問う住民投票を実施すべきと考えますがいかがですか。

○伊藤知事
 マリンポートかごしまにつきましては、一期二十四ヘクタールのうち、既に着工済みの大型観光船が接岸可能な貨客兼用岸壁などの予定されております一期一工区の整備は進めることといたしておりますが、二工区につきましては、特に上物計画につきまして大胆な見直しが必要と考えられますので、学識経験者や専門家さらに公募による委員等の幅広い意見を踏まえ、そのあり方を検討するため、マリンポートかごしまの在り方検討委員会を設置したところであります。
 これまで二回の検討委員会を開催したところでありますが、本年十月末を目途に、二工区の埋め立て及びその利用について取りまとめていただきたいと考えております。県といたしましては、この検討委員会の結論を踏まえ、マリンポートかごしまの一期二工区の今後の方針を決めていくことといたしておりまして、今後の在り方検討委員会での活発な議論などを通じて、県民の意見を十分反映できるものと考えております。

2004/09/22 2004年9月議会 一般質問
★まつざき真琴
 知事は、今回の知事選挙において、人工島についても凍結という言葉を用いてアピールされました。候補者の四人すべてが、その程度はともかく、見直しや凍結という言葉を使わなければ有権者の支持は得られないという判断のことからであります。それほど「人工島はむだ」この県民の声は大きいのです。知事もそう認識しておられるはずです。県民が要らないと言っているものをまだつくり続ける気ですか。今、終わっている事業は埋め立ての枠だけで、これから岸壁、橋梁、道路や整地など、まだまだ多額の費用を要するものです。埋め立ては国の事業だと言っても、それも私たちの税金であります。破綻した県財政を考えると即刻中止、これしかないのではないでしょうか。人工島がなぜ必要か、当初は南の玄関口として大型観光船の専用の港をつくるという目的でした。それが、国で通らないとなると、桜島の土石流の処分場が必要だという理由を見つけてきた。
 次は、県民の反対の声が強く、一工区までであとは凍結するという、二工区の埋め立ても行わないとすれば桜島の土石流の処分場もやっぱり必要なかったということです。人工島の目的は破綻していることは明らかです。では知事、何のためにまだ人工島の工事を続けると言われるのですか。知事が考えておられる人工島建設の必要性について明らかにしてください。また、あとの四十二・三ヘクタール、つまり二期工事については、知事の意志として中止することを明らかにすべきだと考えますがいかがですか。
 以上、二回目の質問といたします。

○伊藤知事
 マリンポートかごしまについてお答えいたします。
 マリンポートかごしまにつきましては、平成二年に鹿児島県総合基本計画に位置づけまして、各種団体等の要望を受けて、県開発促進協議会を中心に国に対しまして要望活動を行うなどの積み重ねを踏まえ、現在、貨客兼用岸壁の整備を進めていることは承知いたしておりますが、マリンポートかごしまの全体計画を作成した当時からいたしますと、社会経済情勢が大幅に変化し、見直しの時期にきていると考えております。このためマニフェストにおいて示したとおりでありますが、着工済み以外の部分につきましては、上屋を含め県民の合意形成が図られていないと考えておりますので、県民の意見を幅広く伺い、社会ニーズも踏まえた大幅な見直しを行うこととしているところでもあります。
 また、二期計画四十二・三ヘクタールの埋め立てにつきましては、計画されました当時からいたしますと、社会経済情勢が大幅に変化し見直しの時期にきていることから凍結をいたしまして、今後の社会経済情勢を見きわめながら、広く県民の意見を伺いながら検討していきたいと考えております。

★まつざき真琴
 また、国保の補助につきましても答弁いただきました。県の厳しい財政状況は理解いたしますが、だからこそ税金をどこにどう使っていくのか、これが問われてきます。きょう、私が質問の中で紹介した県民の苦しみの声は、まだまだ一部であります。このような県民の苦しみの声、また願いにこたえていく県政を実現させるためにも、人工島に象徴されるむだな大型開発をやめ、税金の使い方を、県民の暮らしを守り、福祉や教育を充実させる方向に切りかえていくべきであります。
 知事は、人工島についても「着工済み以外の部分については合意形成が得られていないから検討する」と言われましたが、着工済みの部分についても、これまで多くの県民の反対があったことは明らかであります。知事は、「検討委員会で今後の動向については検討する」と言われましたが、人工島のあり方についてそのような会に丸投げするのではなく、知事の意志としてむだな大型開発、この人工島建設をやめていく、このことを表明すべきであると考えます。
 税金の使い方をこのようなむだな大型開発から県民の暮らしを守っていく方向に変えていく、これこそ真の改革であります。県民の一人一人に暮らしを営んでいく力が十分にみなぎり、鹿児島に生まれ、鹿児島に育ち、鹿児島に暮らしてよかったと言える県政実現のため、我が党は全力を尽くしていくことを表明し、私の一般質問を終わります。

2004/03/18 2004年3月議会 予算特別委員会
★まつざき真琴
 私は、この予算特別委員会に付託された議案のうち、第一三号平成十六年度鹿児島県一般会計予算と第一七号鹿児島県港湾整備事業特別会計予算について、特に人工島建設にかかわって質問いたします。
 まず人工島の経済効果についてですが、午前中の質問にもありましたが、さらに具体的にお尋ねします。
 知事は、人工島の経済効果について、九月議会の私の質問に対して七十一億円という数字を示されました。まずこの七十一億円の根拠ですが、この数字には観光船の寄港による観光消費や国際会議場での各種会議による効果、多目的広場でのイベント開催による経済効果などが盛り込まれています。しかし、本当に観光船は来るのか、また国際会議場や多目的広場などで、この試算に見られるような経済効果が果たして得られるのかという観点でお尋ねします。
 鹿児島港に入港している観光船の最近五年間での年平均入港隻数、また最近五年間での複数国の参加で百名以上の参加者で開かれた国際会議の数を年度別に、そして鹿児島本港区でのイベントや見本市等の最近五年間の開催状況についてお示しください。

◯土木部長
 鹿児島港に寄港いたしました観光船の過去五年間の平均の隻数のお尋ねでございますが、五年間の平均は約十八隻でございまして、平成十五年度は三十一隻が寄港をいたしております。このうち三十一隻のうち二十八隻は外国籍となっておりますなど多くの観光船が訪れておりまして、今後さらに増加するものと我々期待をいたしているところでございます。
 それから、国際会議の百人以上の五年間の年度別の回数でございますが、県内での国際会議の開催状況の全体をまとめた統計データはございませんけれども、独立行政法人国際観光振興機構のコンベンション統計によりますと、本県では、過去五年間に開催されました国際会議の回数は、平成十年度が七回、平成十一年度が九回、平成十二年度が七回、平成十三年度が三回、平成十四年度が八回で、合わせて三十四回となっております。
 イベント見本市の開催状況でございますが、鹿児島港本港区で過去五年間で開催をされましたイベントの回数及び来場者数でございますが、平成十年度が十五回で八十二万人、平成十一年度が十五回で八十四万人、平成十二年度が十七回で百四万人、平成十三年度が二十二回で百十一万人、平成十四年度が二十四回で八十八万と、多くの利用が図られているところでございます。

★まつざき真琴
 それぞれ数字をお答えいただきました。観光船は平均で十八隻ということでしたが、この平均値を上げている平成十三年に二十八回寄港しているというスーパースタートーラス、これは現在船自体が売却されております。また、平成十五年に二十二回寄港しているスーパースターカプリコーンは、これは運航自体をやめております。これらを除きまして計算すると、この五年間では年平均八・二隻の入港実績となります。もともと人工島の目玉として予定していたクィーンエリザベス二世号も岸壁の水深の変更で入港できなくなりました。
 知事が示された経済効果の試算では年平均三十二隻入港する、この数字で計算されたものであります。実際は、試算の四分の一しか実績はないということです。どうやってこの現在の八隻から三十二隻までふやすというのでしょうか。また、国際会議も数えるほどしかなく、この試算の根拠となっている各種会議の回数は年間稼働率五〇%という数字から出されているもので、建物を建てれば自動的に会議が行われるということではないくらい、だれが考えても明らかではないでしょうか。
 イベントについては、現在本港区を利用してたくさんのイベントが開催されていることがわかります。年間平均でも百万人以上の利用があるようでありますが、私はこれを平成十五年度利用日をカレンダーに埋め込んでいきました。イベントとか駐車場に使われている日をカレンダーで消していきましたところ、一年三百六十五日のうち半分の日数はイベントにも駐車場としての利用もされていない空白であります。人工島をつくらなくてもイベントを開催する場所は十分にあるということです。
 これらのことからわかることは、この七十一億円という経済効果の数字が実態にそぐわない、希望的観測のもとに計算された数字だと思いますが、知事にお尋ねします。まだ七十一億円の経済効果についてあるとお思いですか、自信がおありか。多少なりとも不安をお持ちかどうか、簡潔にお答えください。

◯須賀知事
 経済効果の問題ですけれども、一定の目標年次をつくって、その経済効果を上げる。それはそのときの社会経済情勢によって、その目的よりも上回ることもあれば下回ることもあるわけです。午前中、福山委員のお話のときに、国・県・鹿児島市で調査をしたその結果の経済効果というのは百三十億円程度と私申し上げましたけれども、資料を持ち合わせしておりませんでしたので、お昼の時間に帰りまして土木部に行って資料を探してもらいましたところ、出てまいりました。これによりますと、百二十七億八千万円の経済効果があるという結果が出ております。このときのデータももとにしながらいろいろと検討した結果、七十一億三千万円という数値が出てきたわけです。
 ですから、私はこの経済効果というものも、やはりマリンポートが完成をした暁に相当な効果が上がってくると私は考えております。ですから、このやはり経済効果というものの数値をやっぱり基礎にしながら、このマリンポートの建設はさらに積極的に取り組んでいきたいと。先ほど申し上げましたとおり、一定の目標を掲げての経済効果というのは、何年か先の話ですから、そのときにその目標を上回ることもありますし、下回ることもある。経済は、生き物であります。
 以上であります。

★まつざき真琴
 今知事が示されたその資料は、九七年、平成九年ですね、の鹿児島港人工島地域活性化促進計画策定調査で取りまとめたものだと思うんですけれども、今から七年前の資料ですよね。もちろんこれから先、経済がどのように、まあ生き物だとおっしゃいました、変わっていくかわかりませんけれども、七年たってまたその新たな検証がされないままに、その数字でもって進められていく。知事は、残念ながらこの夏には御勇退が決まっているようであります。このまま本当に七十一億円の効果を見込んで建設を進めていくかどうか、この七十一億円の効果が果たしてあるものかどうか。私としましては、ぜひ知事に最後の最後まで見届けていただきたいと思うものであります。
 ここで、これらの経済効果を生み出すために必要な上物についてお尋ねします。
 マリンポートかごしまと書いてあるこのパンフレットには、さまざまな施設の絵がかかれています。国際会議場、交流施設、見本市展示場など、これらには当然建設費がかかるものですが、その費用をどのように考えていらっしゃるのかお尋ねします。

◯土木部長
 この件につきましては、これまでも本会議でもいろいろ御答弁差し上げたところでございますけれども、今、マリンポートにつきましては事業を一生懸命進めているところでございまして、今年度後半から桜島の土石流土砂を埋め立てに使うという状況でございまして、上物整備の内容や事業費、事業主体など、具体的な点につきましては、現在進めている事業の進捗状況を見たり、社会経済情勢などを総合的に勘案して、その時点で検討するわけでございますが、それを行うときには県議会及び県民の皆様の御意見も聞きながら検討していくということでございます。

★まつざき真琴
 まだ検討がなされていない、いつ検討がされるかもまだ定かでない。財政改革プログラムでは、峻別と重点化と言われています。上物の費用について、費用対効果という点で検討がされないまま、どうして重点化がされるものなのか。どうしても納得いきません。
 人工島の必要性について、桜島の土石流土砂の処分のためだとおっしゃいましたが、その点についてお尋ねします。
 土石流土砂の発生状況について、人工島は平成十一年に着工されましたが、それ以前とそれ以降に分けて、桜島の土石流土砂の年平均の除去量についてお示しください。

◯土木部長
 桜島の平均土石流除去量でございますけれども、平成十年度までの約二十年間の平均は二十八万立方メートルでございまして、平成十一年度以降の五年間の平均は九万立方メートルとなっておりますけれども、野尻川上流部など山腹には降雨時などにより土石流となる土砂が相当量堆積しており、火山活動や降雨によって突発的な大規模な土石流が発生するおそれがあるわけでございます。このようなことから、桜島の住民の方々の安全確保の観点からも土石流土砂の除去につきましては、早急に対応を図る必要がありまして、現在国と連携を図りながらマリンポートの整備を着実に進めているところでございます。

★まつざき真琴
 桜島の土石流土砂の発生量が減っているということは今の答弁で明らかでした。二十四ヘクタールの全体の投入量に対して桜島の土石流土砂は三百六十七万八千立方メートルを投入される計画になっています。今お話にありました最近の発生量、平均で九万立方メートルをことしの後半から入れていかれる、完成の平成二十一年まで六年間しかありません。九万立方メートルを六年間で入れていくと、五十四万立方メートルしかないわけですね。今おっしゃいました野尻川右岸仮置き土砂、これが八十万立方メートルというふうに言われています。あと三百万立方メートル近くも土砂が足らない。もちろん、今桜島の土石流が火口から流れて海に沈んでいる、海に沈んでいる分もしゅんせつして入れられるという計画になっておりますが、この埋め立て土砂の確保についてどうしても納得いかないものであります。まださらに質問したいのですが、時間がありませんので、次にいきます。
 人工島は本当に必要なのかという点で今お尋ねしましたが、この九州でも北九州市と長崎市で人工島の計画がありました。それぞれの現時点でどのような状況になっているのか、わかればお示しください。

◯土木部長
 把握いたしておりません。

★まつざき真琴
 北九州市の人工島は総面積二百六十四ヘクタールの埋め立て計画で、人工島に通じる道路やトンネルも七十三億円かけて完成しています。しかし、将来展望がないということで平成十一年に中止になっております。また、長崎市の人工島も総事業費二百八十九億円費やしてこれは埋め立てが完了いたしました。しかし、いまだ企業の立地が望めず、土地利用計画の見直しがされているところであります。
 このように他県の実態を見ても、人工島計画が破綻している。それでもどうしても県民のために用地が必要であるというなら石播の用地があるではないですか。港湾道路を初め鹿児島市の飲料水と工業用水の万之瀬川からの導水、川辺ダムの建設など、関連事業に一千億円を超える多額の税金をつぎ込んで進めてきた石川島播磨重工業の谷山一号用地への誘致。しかし、立地協定、ここに立地協定がございますが、ここで約束された従業員数約三千名、この雇用ができる工船修理工場どころか、従業員百三十名ほどの子会社も二年前に閉鎖し、完全に撤退いたしました。これだから、莫大な税金を費やして人工島をつくるよりもこの石播用地を活用すべきではないか。この石播用地の広さをお答えください。

◯商工観光労働部長
 石播用地の面積は、約百三十二ヘクタールでございます。

★まつざき真琴
 百三十二ヘクタール、私はこの広大な土地を見て驚きました。IHIの建物を除いて、もうずっと先まで先が見えないほど長い道が続いておりますし、また草原も広がっています。立地協定で結んだ約束を果たさず撤退した石川島播磨重工業にこの土地の返還を強く要請すべきだと考えます。このような経済効果や必要性があるかわからない人工島建設を進めている本県の県財政の状況についてお尋ねします。
 十六年度末見込みで県債残高は幾らとなるのか。財政改革推進本部による財政改革の実現に向けて、この十六ページには公債費は中長期的に減少傾向に向かう見込みとありますが、その保障はあるかお答えください。

◯保健福祉部長
 平成十五年度に被保護世帯高等学校等就学促進事業で二百六人に一千二十二万六千円を、施設児童等高校入学支度金助成事業で十一人に五十二万八千円を支給しております。看護職員等修学資金貸与事業のうち今回廃止をする保健師、歯科衛生士への貸与分及び介護福祉士等修学資金貸与事業、理学作業療法士修学資金貸与事業につきましては、事業創設以来これまでに合計で五百八十六人、二億六千二百四十万一千円を貸与しております。平成十五年度の赤ちゃんとお母さんのダイヤル相談事業につきましては、平成十六年二月末現在千三百件の相談実績で、委託費は二百七十六万四千円でございます。

★まつざき真琴
 続けて、お聞きします。
 林務水産部長。県民の森運動広場、フィールドアスレチックの使用料が値上げされる予定になっておりますが、これで幾らの増収が見込まれるのか。
 また、総務部長。県立短大授業料、受講料の値上げで幾らの増収が見込まれるのか。
 それぞれお答えください。

◯林務水産部長
 県民の森の使用料の見直しについてでございますけれども、平成十四年度の利用実績をもとに算定しますと、六万円余りの増収が見込まれます。

◯総務部長
 今回の県立短大授業料、受講料の改定によりまして約八百四十四万円の収入増を見込んでおります。

★まつざき真琴
 お答えいただきましたが、廃止された事業はいずれも実績が十分にあり、それぞれ地方自治法第二条に定められた地方公共団体の役割としての住民の福祉の増進を図るという意味で非常に有効な事業であります。それも額として、高校生の入学支度金は一千三百万円ほどです。県民の森の使用料に至っては、子供たちから五十円多く取ることでどれだけの県財政が潤うというのでしょうか。この不況の中、人件費も削減し、より一層景気を冷え込ませる、県庁のエレベーターの一部やエスカレーターまでとめなければならない。この県財政の状況でこれから先、何百億円、いえ、一千億円以上かかるとも思われるような人工島をなぜつくらなければならないのでしょうか。
 最後に、人工島よりも県民の福祉教育の充実のために予算は使うべきだという立場でお尋ねします。
 その一つが、乳幼児医療費助成制度です。これについては、私は議会のたびごとに質問や討論の中で窓口での無料化の実施を主張してきました。乳幼児にとって早期発見、早期治療というのが大切なことは明らかです。県民の暮らし向きが厳しくなっている中でこのような施策こそ県民の命と暮らしを守るという立場で有効な施策であり、少子化対策の上からも求められています。
 そしてもう一つ、少人数学級の実現のために力を尽くすべきであるということを主張いたします。これについては、すくすくプランに次いで、国の制度の緩和により十六年度から小学校二年生についても三十五人以下学級を実施するものですが、国が今回緩和するというのは指導方法工夫改善の加配教員を少人数学級に回しても構わないというものです。この制度化を最大限利用して、小学校のすべての学年で三十人以下学級、中学校のすべての学年で三十五人以下学級を実現するとすれば費用が幾らかかるものかお示しください。

◯教育長
 小・中学校におきます指導方法の工夫改善の加配定数は、基本的には学年や教科の特性に応じた少人数による学習集団を設定しまして、学習指導上のきめ細かな取り組みを支援するために措置しているものでございます。今回国におきまして定数活用の弾力化が図られまして、指導方法、工夫改善定数を少人数学級編制にも活用できるようになりましたが、生活集団としての機能の必要性や少人数指導が定着しつつある現状から、加配定数すべてを少人数学級編制に当てることは考えておりません。仮に、小学校で三十人学級、中学校で三十五人学級の編制を実施するとしますと、小・中学校合わせて現在の教員数より約千人の増員となりまして、人件費は地方交付税単価で試算いたしますと、年間で約八十七億円の増額で、全額が県費負担となります。

★まつざき真琴
 国の緩和で六百六十八人、指導工夫改善教員がおりまして、それを少人数学級に生かす。そうした場合は、もっと少ない予算でできるというふうに思われます。県内どこに住んでいてもどの子にも行き届いた教育を実現し、健やかな成長を図るためにも、少人数学級の実現はその基本となります。そして、これによって教職員の雇用をふやすという点でも地域経済の活性化に役立つものです。
 最後に、きょうの質問で私は人工島の七十一億円という経済効果が根拠のない希望的観測によるものであること、上物についての検討もなされないままに、県財政が破綻している中でさらに借金に頼りながら強引に進められているものであることを指摘しました。
 むだな大型公共事業という点で人工島をきょうは例に挙げましたけれども、高規格の道路にしてもトンネルにしても港湾にしても、本当に地域の経済や産業の発展にとって必要なのかどうかの検証が必要です。今この鹿児島にとって必要なのは、物を運ぶための道路や港よりもその運ぶものを育てること、農林漁業の振興や中小零細企業への支援こそ求められています。そして県民の暮らしや福祉にかかわる予算を増額し、県民の安心をかち取っていくことが大切ではないでしょうか。
 そのためにも、経済効果も必要性も定かでない人工島建設は一日も早く見直し、中止するべきであることを再度強く主張し、私の質問を終わります。(拍手)
2004/03/02 2004年3月議会 一般質問
★まつざき真琴
 平成十六年度予算案は、借金返済に回される公債費を除くと、前年度比九二・七%という実に縮減された予算になっています。ところが驚くことに、人工島建設にかかわる予算は前年度比二一二・二%の事業費が計上されています。予算特別委員会基本調査で知事は、「一層の峻別と重点化をした結果だ」と言われました。人工島予算に比べ県単独の公共事業費は前年度比八〇・〇%です。これらの事業は通学路の安全対策やバリアフリーの道づくり、防災事業など県民の暮らしに直接結びつく事業であり、地元業者の仕事や雇用をふやし、県民からも喜ばれるものであります。これに対し、人工島はケーソンの製作や運搬や捨て石、基礎石の運搬・投入に当たっても、海の上での特別な技術や施設・設備を要する業者に限られ、しかもその必要性についても、上物についていまだ検討がなされていません。公共事業についてどういう基準で峻別するとこういう結果になるのか、知事が常々言っておられる、県民が主人公という立場と正反対の立場ではないかと思われますが、いかがでしょうか。
 以上、知事にお尋ねいたします。

◯須賀知事
 マリンポートかごしまの整備につきましては、桜島や錦江湾など鹿児島が持っております観光資源や地域特性を生かした魅力ある交流拠点の形成を目指すものでありまして、国におきましても国際観光振興拠点となるターミナルの整備と位置づけておりまして、本県の施策に対しまして深い御理解と御協力をいただいているところであります。この事業の目的や必要性につきましては、これまでも県議会等におきまして十分御論議をいただいてきたところでありまして、また財政改革プログラムの改訂や今回の予算編成の中におきましても十分検討を行い、所要の事業費を計上したところであります。
2003/12/11 2003年12月議会 行財政改革特別委員会
★まつざき真琴
 十四年度からということなんですね。はい、わかりました。
 じゃ、あと一点。二十一ページの投資的経費の見直しと重点化についてお尋ねします。
 この間非常に、この委員会でも財政改革についての厳しい論議が進んでいますし、こういうふうにまた厳しい中身の削減についての改訂案が出されています。私はどうしても言わずにおられないのが人工島についてでありますが、マリンポートかごしまと言われるものでありますが、これについて、1)に事業の重点化の促進と縮減とあって、「優先度による一層の峻別と重点化を図ることにより抑制を図る」とあります。で、この中には人工島については全く入っておりません。何を根拠に優先すべきだと、峻別した結果重点化すべきだということで財革の対象とならないのか、「二十一世紀の鹿児島の県政の浮揚発展にとって必要不可欠」という言葉以外でその根拠を示していただきたいと思うんです。
 この前の一般質問の中でも、今あるものを撤去すればどのくらいかかるのかという議論もありました。しかし、これから先のことを考えれば、例えばこれから先の埋め立ての費用、そして上物について経済効果が試算されていないというのも事実であります。そういう中で、何を根拠として峻別して財革の対象となっていないのか。お願いします。

◯総務部長
 マリンポートかごしまにつきましては、公共事業の枠の中で実際執行されていくということになるわけでございまして、その意味では、公共事業全体はこの枠の中でやるわけで、マリンポートが別枠になっているわけでもございませんで、その意味で申し上げれば、この財政改革プログラムの改訂の全体のフレームの中には、「公共事業の見直しと重点化」の中にマリンポートも入っているということでございます。
 その中で、実際にこの公共事業の枠の中で何を執行するのかというのは、これはまさに県議会でさまざま、それぞれの委員会でございますとか、本会議でございますとか、こういう中で必要性についてさまざま御論議いただきまして、最終的には予算で議決をいただいて執行すると、この過程の中で議論がなされるものであると、こういうふうに承知しているところでございます。

2003/09/25 2003年9月議会 一般質問
★まつざき真琴
 次に、財政改革プログラム策定に当たって、その視点として、聖域を設けない徹底した財政構造の改革を挙げています。この聖域を設けないという点では、今、財政改革プログラム改訂と並行して、二十一世紀新かごしま総合計画第二期実施計画策定が行われておりますが、県総合開発審議会計画部会において、総合計画のプロジェクトの見直しを含めて論議がされています。であるとすれば、当然総合計画のプロジェクトの一つである人工島建設についても見直しの対象となるのではないか。ならないとすれば、それこそ聖域ではないかと考えますが、知事の答弁を求めます。
 知事は常々、人工島の必要性について「県勢の浮揚発展にとって必要不可欠」という表現をされておりますが、改めてお尋ねします。
 人工島が生み出す県勢の浮揚発展の具体的内容は何でしょうか。知事は、過去の答弁で、「この整備によりまして、人・物・情報が活発に行き交う海の玄関口が形成され、その効果は地域産業の活性化、ひいては県民の暮らしの向上につながる」と答えておられますが、では、知事が言われる効果とは、何年ごろから具体的にどういうもので、幾らぐらいあると考えておられるのか。
 また、その効果を生み出すためには、当然上物が必要で、それにかかわる経費についても当然検討されるべきでありますが、幾らと見ているのかお答えください。

○須賀知事
 次は、マリンポートかごしまでありますが、第二期実施計画の策定に当たりましては、第一期実施計画の実施状況や財政改革プログラムの改訂作業も踏まえながら、緊急性・優先度などを総合的に勘案し、第二期実施計画期間中に実施すべき具体的内容を明らかにすることといたしております。
 マリンポートかごしまの整備につきましては、二十一世紀の県勢の浮揚発展を図りますために、桜島や錦江湾など鹿児島が持っております観光資源や地域特性を生かした魅力ある交流拠点の形成を目指すものでありまして、事業の目的や必要性につきましては、聖域なき県財政改革プログラム改訂の見直しの中においても十分検討を進めてきたところであります。
 さらに、国におきましても、現在、観光立国を目指して、国を挙げて観光振興に取り組んでいるところでありますが、マリンポートかごしまを国際観光振興拠点となるターミナルの整備と位置づけておりまして、本県の施策に対しましては、御理解と御協力をいただいているところであります。
 マリンポートかごしまは、厳しい財政環境の中ではございますが、着実に整備を図ってまいりたいと考えております。
 次は、マリンポートかごしまの経済効果でありますが、二十一世紀の県勢の浮揚発展を図りますためには、自然や産業などの分野で本県が持っております地域特性を生かした魅力ある交流拠点を形成することは、極めて大事なことであると考えております。
 マリンポートかごしまの整備によりまして、大型観光船の寄港を初め、幅広い各種会議や見本市・展示会等さまざまなイベントが開催されてくるものと期待しておりますし、その結果、みなと町鹿児島に国内外から多くの人々が訪れ、人・物・情報等が活発に行き交う海の玄関口が形成され、その効果は、交通・観光産業を初めといたします県内各種産業にも大きく波及し、県勢の浮揚発展につながってくるものと考えております。
 さらに、離島急患搬送用ヘリポートなどを含む広域防災拠点の形成は、離島を含めた県民の暮らしの安全・安心の確保にも大きく寄与するものと考えております。
 経済効果につきましては、平成十一年に観光船の寄港等一定の前提条件をもとに試算をいたしました結果、年間七十一億円程度の効果を見込んでいるところでありまして、その効果が早期に発揮できるようマリンポートかごしまの着実な整備に向けまして、さらに努力をしてまいりたいと考えております。
 なお、国際会議場や見本市・展示場等の上物施設につきましては、今後の工事の進捗状況や社会経済情勢も見きわめながら、県議会などの御意見もお伺いし、さらに検討を加えてまいりたいと考えております。


★まつざき真琴
 知事と土木部長にお尋ねいたします。
 先ほど知事が答弁されまして、七十一億円、この数字は、九七年の鹿児島港人工島地域活性化促進計画策定調査で取りまとめたものがベースになっている数字です。現在とは経済状況も違い、また人工島計画そのものが事業名から、その面積、土地利用計画など大幅に変わってきています。この数字をこのまま今回も使われるということは、この県財政の危機的な状況の中で、本当にこの人工島が本県にとって必要不可欠であるかという検証がなされていないと考えますが、いかがでしょうか。

◯須賀知事
 それでは、お答えいたします。
 御案内のとおり経済は生き物でございます。したがいまして、私どもが今、計算をしておりますのは、平成十一年に観光船の寄港隻数等も根拠にしながら、一応計算したものでございまして、それから後の経済効果の計算は、現段階までいたしておりません。
 ですから、これがだんだん整備が整ってまいりますと、上物の問題、いろいろございますので、先ほどお答え申し上げましたとおり、県議会等の御意見等も承りながら検討させていただきたいと、こう申し上げているところでございます。

★まつざき真琴
 それぞれに御答弁いただきました。
 財政の建て直しについては、いかにむだを削っていくかになりますが、その判断の基準は、知事がいつも言っておられる「県民こそ主人公」という立場であります。県民にとって何が必要で、何がむだであるかの見きわめが大切であります。
 そういう観点で考えたとき、まず、削るべきは、先の見通しもない人工島建設であります。知事が示された先ほどの七十一億円、その中に含まれている、今、お話のありました観光船による効果、この試算では、沖縄本島に寄港した定期クルーズ船での観光消費の調査結果を鹿児島に当てはめて試算したものであり、地理的条件、風土、経済的な要素などかなり違う中での試算です。埋め立てだけ計画どおり行ったとしてもあと六年、経済効果を生み出す上物の建設はそれからで、その費用については検討もされていない。この破綻した県財政のもとで、どうしてここまで人工島に固執しなければならないのでしょうか。
 知事は、人工島建設が終わり、上物が建設され、確かに県勢の浮揚発展を見届けるまで、知事として責任を取られるつもりでしょうか。県民に新税を押しつけ、県職員の人件費を削る前に、人工島建設こそ聖域なき改革として中止すべきであります。
2003/09/09 2003年9月議会 行財政改革特別委員会
★まつざき真琴
 私も議員になりましてわからない中で、こういう財政改革ということで議論に加わらせていただきながら、勉強しながらやってきました。財政改革というのはやっぱりむだを削って必要な部分にはお金はかけていくということだと思うんですね。そういった場合、何をむだと見て、何が必要なものと見るのかという判断が非常に大事になってくると思うんですけれども、常々知事は「県民こそ主人公」というふうに言われていますけれども、やはり県民の立場に立って、むだは何なのか、そして必要なものは何なのかというふうな判断が必要だと思うんですね。
 そういった場合、きのうテレビを見ておりましたら、鹿児島県選出の国会議員の方が、鹿児島は公共事業が必要だから道をつくれ、港をつくれ、空港をつくって大きいそういう工事をやっていくんだということを盛んに主張していらっしゃったんですけれどもね、やはり公共事業は必要だと思うんです。でも、公共事業もそういう大型の、人工島も含めて公共事業ではなくて、やはり災害に強い県土づくりという点では治山治水だとか、あと生活道路の改善だとか、福祉施設をつくったり補修・改修、学校等の耐震調査を進めてその改修をするだとか、そういう中でこそ鹿児島県で本当に九九・何%という中小業者の仕事がふえていく、そういうことができると思うんですね。そういうふうな必要な部分というところでは、そういう県民、中小業者の営業を守っていくという立場に立った上での視点で切り込んでいただきたいというふうに強く思うわけです。
 人件費の問題も先ほどから出ておりますけれども、例えば論議の中で長野県の例が示されましたけれども、長野県では知事自身が直接労使との交渉の中で、七回、五十時間徹夜の交渉が三日間行われ、その中では単に数字の問題ではなくて、例えば福祉施設をつくっていくことだとか、三十人学級を学年を広げていくことだとか、そういう中身の交渉の中で、それならばということで本当に涙をのんでというか、そういうふうな話し合いがなされて、合意事項が確認され、どうしてそういうふうな財政状況に陥ったのかという原因についても厳しくこれから追及していくと、三年後には必ずもとに戻すだとかそういう、先ほどから意識改革、職員の意識改革と言われていますけれども、やはり県全体がそういうふうにきちんとこういう状況に、財政状況に陥った原因を財政分析という形でやっているわけですから、そこに基づいてやはりむだ、そこでは普通建設費、投資的経費が多くなってという分析がされていますけれども、そこに切り込んだ財政再建をぜひしていただきたいというふうに思います。
 それとあわせて、さっき増留委員からもありましたけれども、やっぱり議会としてどうなのかというところでは、各会派代表者会議の中で議員の海外派遣の問題の検討について提案しましたけれども、歳費等も含めてやっぱりぜひ議員みずからも財政改革のためにどうあるべきかということの論議もぜひ進めていくべきだというのを述べたいと思います。
 以上です。
2003/09/08 2003年9月議会 行財政改革特別委員会
★まつざき真琴
 投資的経費の見直しについて、お尋ねいたします。
 まず、ちょっと確認させていただきたいんですけれども、投資的経費見直しと重点化の大規模施設の整備の見直しで、この平成十三年十二月の財政改革プログラムの二十八ページに、県総合基本計画、二十一世紀新かごしま総合計画があると、この中で箱物について大規模な建築工事関係施設の整備が予定されていると。これらの計画の着実な推進を図るためには、その規模や手法について検証するとともに、計画期間の延長等により単年度の事業費を抑制するなど、事業量調整による平準化を図る必要があるというふうに述べられておりますが、ということは、二十一世紀の新かごしま総合計画の中身自体も財政改革プログラムの検討の計画の見直しになる対象であるというふうに理解していいわけですよね。

◯財政課長
 総合計画と財革プログラムとの関係ということでお答えさせていただきたいと思いますけれども、総合計画の方が時系列的に言うと先に定められております。その総合計画を着実に進めていこうという中で、一方では非常に財政的に厳しい状況が見込まれるということになったと。
 その中で、どういうふうに進行管理をしていくべきかということで、例えばこの大規模施設のところにもそういう趣旨で書かれているということがございまして、基本的には、総合計画自体を、考え方自体をかえるというような性質のものではなくて、今そこにある総合計画の進行管理の側面の中で財政改革というものをどう考えていったらいいかという文脈でとらえているということでございます。

★まつざき真琴
 ということは、もちろんその総合計画自体の論議はこの場ではありませんので、それを進めていくためにということで財政改革プログラム、その見直しについての検討でありますが、ここに、そういう計画の中身についても、例えば単年度の事業費を抑制するなど事業量調整による平準化を図る必要があると、こういうふうに明確に書かれているわけですね。
 であるとすれば、ここに着手済みの事業の見直しとありますけれども、計画の見直しによる段階的な整備施設の規模の縮小等を検討し、単年度の事業費の抑制や総事業費の圧縮を図るというふうにまた具体的に述べられています。
 であれば、この総合計画の中にあります、私がこれ取り上げようと思っているのは、人工島、マリンポートかごしまの整備の問題なんですけれども、これもこの対象であるというふうに考えてもいいわけですよね。

◯財政課長
 とりあえず財政という側面でちょっと総論的なお話をさせていただきたいと思っていますけれども、例えばお手元の先ほど見ていただいた十四年度、十五年度の取り組みの部分で具体的にどういうものを触れているかというのは出ております。
 例えば、十五年度の方を、こちらの方ですけれども見ていただいて、対応する箇所、大規模施設ですね、十一ページから十二ページにかけてということでございます。ここでのその一定の考え方の整理といいますのは、例えば今お話出ましたマリンポートのようなものは公共事業の枠内に、財政的に見ればそういう話になっておりますので、むしろここは、大規模施設というのは公共事業とか、県単公共というものとは若干ダブりもあり得ないことではないんですが、基本的には別の世界で建設を、施設をつくっていこうというものがメーンでございます。
 例えば、ここにありますのは、農業開発総合センターというのがありまして、これは例えば公共事業の事業費の枠の話がありますが、あの中には基本的に含まれていないものであります。ここで事例に挙げているものは、ほとんどがそういうものでございまして、ここは考え方の相違の話ではあるんですが、大規模施設の見直しという部分では、基本的にそういう視点でとらえております。むしろマリンポートの話については、公共事業全体の枠内でどういうふうに考えるかという視点ではないかなと考えておるところです。

★まつざき真琴
 この行財政の改革プログラム、見直しをという、知事もまた手直しをするという話の中で、聖域なきという言葉を何度も使われました。きょう財政課長も二度ほど聖域なきというふうにおっしゃったと思うんですけれども。
 であるとすれば、このマリンポートかごしまのこれにかかわることは聖域なきというのとは矛盾するのではないかと考えるんですけど、そこについてはいかがですか。

◯港湾課長
 今、委員の御質問でございますけれども、このマリンポートかごしまの事業につきましては、これは議会でも何回も知事みずから答弁されていると思うんですが、二十一世紀に向けて鹿児島が有している地域特性を生かして魅力ある交流拠点をつくるということ等を含めまして、二十一世紀の県勢の浮揚発展のために必要不可欠な事業であるというふうに知事みずからおっしゃっているわけでございます。
 私もそれを踏まえまして、執行部といたしましては着実に整備を推進してまいりたいというふうに考えてございます。

★まつざき真琴
 確かに優先度による峻別と重点化というのも掲げられておりますが、これだけ厳しい、きょうは四日目ぐらいですかね、この行財政改革ということで厳しい議論の中で、この部分についてだけはどう考えても聖域としか考えられない、県勢浮揚のために必要不可欠というふうに言われますけれども、どこがそうなんだろうかと。
 ここでは人工島についての是非の議論はしないつもりでおりますので、私は個人としては必要ないと思っておりますが、そこの議論はしませんけれども、今これだけ厳しい中で、ほかの事業についてはいろんな抑制がなされている、いくら重点化といっても、今年度の予算で一・六倍、二十一億円をつける、どうしても理解ができないわけですね。私資料要求で、この間の支出の部分と事業計画、今後どのように予算の見込みがあるのかというのを私したんですけど、届いていませんか。

◯港湾課長
 お答え申し上げてよろしゅうございますか。
 まず、委員からの御質問で、過年度ごとの事業費の支出額はどうなっているのかという話がございました。
 平成十年度着工、マリンポートについてはしてございまして、それで平成十四年度までの漁業補償費を除きまして約九十四億円支出してございます。年度ごとで申し上げますと、平成十年度が約二十億円、十一年度が約十億円、十二年度が約十六億円、十三年度が約二十五億円、十四年度が約二十三億円という状況でございます。それから漁業補償費でございますけれども、これにつきましては、一括先行補償ということで、平成十年度に約十六億円支出してございます。
 それから、委員の方から御質問あった内容で、次に今後の予定でございますけれども、この全体の事業費というのがマリンポートについては二百六十九億円でございますので、あと十五年度以降につきましては、その残事業といたしましては百七十五億円あるということでございます。
 それからもう一つ委員からの御質問でございますが、財源の内訳はどうなっているのかということが三番目にございました。
 これにつきましては、まず、平成十四年度まで約九十四億円の事業費に対しまして国費、これが約二十四億円、県の負担が約五十二億円、それから市の負担が約十九億円というふうになってございます。
 それから十五年度以降でございますが、残事業、今年度を含めた残事業でいきますと、事業費が百七十五億円に対しまして、国の負担が約五十六億円、県の負担が約九十五億円、市の負担が約二十四億円ということでございます。

★まつざき真琴
 今、お示しいたいただきました総額が二百六十九億円、残事業百七十五億円。この中には、第二期工の国際会議所等の整備、結局上物ですね、その分については入っていないんですよね、どうですか。

◯港湾課長
 埋め立ては国際会議場等も含めた埋め立てでございますので、入っております。(発言する者あり)
 埋め立て費でございますので、上物の整備は入ってございません。全部土地を造成する費用ということで入っております。

★まつざき真琴
 どう考えましても、私総合開発審議会の第一回計画部会資料というのもいただきました。第二期実施計画について検討されるという会議で、その場で審議員の中からも、このマリンポートかごしま、人工島については見直すということは考えられないだろうかという意見が出たとも聞いております。
 私、どう考えても、是非の議論はしないとしましても、今年度というか、ほかの事業が凍結縮小している中、今年度一・六倍もの予算をつけられた。今後も、先ほどこの金額が明らかになった部分については、上物についての建設費は入っていないわけで、どう考えても県民が今の県の財政状況の中で人工島の建設について納得いくものではないというふうに思っています。
 今後、この行財政改革特別委員会が、この総合計画についてどういうふうにまた踏み込んでいくのかというのが、またここでの後ほどの議論になると思いますので、その場でまた主張したいと思いますけれども、ぜひ全体のまとめのまた時間もあると前の委員会のときに聞いておりますので、どこを削って、どこはやっていくとか、そこら辺の中でまた少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 以上で終わります。