2016年12月議会 反対討論(要旨)
2016/12/16
   私は、日本共産党県議団として、今議会に提案されました25件の議案のうちの、賛成する19件のうちの1件と、反対する議案6件、及び請願・陳情の委員会審査結果に反対する主なものについて、その理由を述べ、討論いたします。

 まず、議案第71号、第80号、第84号につきましては、合わせて反対理由を申し述べます。
 これらは、平成27年度県歳入歳出決算、県工業用水道事業特別会計及び県病院事業特別会計決算の認定についてでありますが、3件に共通する理由として、一昨年10月の人事委員会勧告に基づいて「給与制度の総合的見直し」として実施された、平均2%、高齢層職員で最大4%の給料の引き下げ改定によって、現給保障はなされたものの、昇給がストップした点を指摘いたします。アベノミクスによる景気回復の効果は地方には及んでいないとされていますが、給料の昇給ストップは景気回復に逆行するものであります。
 また、県歳入歳出決算の問題としては、相変わらず、島原・天草・長島架橋の建設促進事業と基礎調査に366万2千円、錦江湾横断交通ネットワーク可能性検討事業に、16万5千円。スーパーアリーナ調査検討事業に62万5千円という大型開発促進のための事業費が執行されている点があります。
 さらに、ここで問題とするのは、昨年8月に再稼働された川内原発に関わって、原子力発電施設立地地域基盤整備支援事業交付金事業として、4億7千万円が薩摩川内市に交付された件であります。これは、“再稼働さえすればお金を出す”という極めて露骨な再稼働押し付け策でありました。川内原発の立地自治体である、薩摩川内市に対しては、この40年間、電源立地地域対策交付金等が、総額4百億円を超えて落とされてきましたが、その結果、交付金頼みの地域経済が作られ、川内原発3号機の増設計画まで進んできました。他の立地自治体においても、柏崎刈羽原発は7号機、福島第1原発は6号機というように、交付金に誘導される形で増設が続いてきました。交付金と引き換えに住民に危険と隣り合わせの生活を強いることになる、この事業費の執行に反対するものです。
 以上の理由から、これら3件の決算は認定できないものであります。

 次に、議案第92号「鹿児島県職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例制定の件」についてであります。
 本条例案のうち、県職員の給料と勤勉手当の引上げ、これは不十分ながら当然です。
 反対理由の第1は、本条例案の中には、扶養手当の見直しとして、配偶者に係る手当を13,000円から6,500円へ減額、子どもに係る手当を6,500円から10,000円に増額するものが含まれている点です。子どもの扶養手当を増額するのは当然ですが、配偶者手当を削減することでその財源に当てようというもので、配偶者の手当が減るだけでなく、子どもがいる世帯でも一人の場合には減額になってしまうことは問題です。また、これは、民間の配偶者手当の引下げを誘導しかねません。
 第2には、この条例案の中には、人事委員会勧告に基づき、職員の期末・勤勉手当の支給割合を改定し、勤勉手当を0.1ヶ月分増額することと合わせて、知事と副知事の期末手当を0.1ヶ月分増額することが含まれている点です。これによって、知事、副知事の例によるとされている県議会議員の期末手当も0.1ヶ月分増額となります。県職員の勤勉手当の引き上げは当然と考えますが、知事と副知事の給与、県議会議員の報酬については、人事委員会勧告の対象となっていません。これらの給与や報酬の額は、県職員と比較してはるかに高額であり、よって、知事、副知事及び県議会議員の期末手当の増額には根拠がありません。
 以上の理由により、本議案に賛成できません。

 次に、議案第97号「鹿児島県税条例等の一部を改正する条例制定の件」であります。
 これは、消費税率の10%の引き上げ時期の変更等に伴い、鹿児島県税条例等を改正するものであります。
 政府が、消費税の10%への引き上げ時期について、2017年4月へと延期していたものを、さらに2019年10月に再延期することから、条例の改正が必要となったものです。これらの県税の税率の変更の問題点については、本年第2回定例会における反対討論の中で、明らかにしておりますので、詳細には述べませんが、これらの変更は、消費税を地方税制の主財源に据えていく政府の狙いを背景にしたものです。本来、自治体間の税収格差の是正は、地方交付税の財源保障と財政調整の両機能を強化することでなされるべきです。
 また、自動車取得税を廃止し、自動車税環境性能割を創設することは、燃費のいい車は税負担が軽くなり、燃費の悪い車は税負担が重くなるもので、金持ち優遇ともいえるものであり、反対です。本議案は、施行期日の変更でありますが、県税の変更内容に反対する立場から、本議案に反対するものであります。

 次に、議案第100号「鹿児島県国民健康保険運営協議会条例制定の件」についてであります。
 本議案は、国民健康保険法の改正に伴い、鹿児島県国民健康保険運営協議会を設置するための条例を制定するというものであります。
 我が党は、新たな国民健康保険法に反対するものであります。これは、高すぎる国民健康保険税の更なる負担増を招き、医療費削減の新たな仕組みを導入するものであるからです。
 2018年度から国保が県単位化されることになりますが、それによって進められる、県による国保財政の管理、標準保険料率の提示、保険料平準化の推進などは、市町村を保険税引き上げに駆り立て、無慈悲な取立ての強化に繋がりかねません。さらに、県が策定する医療費適正化計画に医療給付費の目標総額を明記し、それを地域医療構想による病床削減とリンクさせ、県国保運営方針も適正化計画と整合させるように義務付けられています。まさしく、県を司令塔にした強力な医療費削減の仕組みづくりにほかならないものであります。
 以上のことから、国民健康保険の県単位化に反対する立場で、本議案に反対するものであります。

 次に、議案第88号「鹿児島県一般会計補正予算」についてであります。
 提案されている補正予算のうち、ここでは、原子力安全対策費として、原子力問題検討委員会の設置に関わる予算として298万7千円が計上されている点について言及いたします。
 川内原発は、全国で一番手に再稼働がなされましたが、それ以前、全国の全ての原発が止まり、1年11ヶ月にわたって原発ゼロとなったのは、2011年3月11日の福島第1原発の過酷事故が発生したからであります。あれから5年9ヶ月経過した現在でも8万人を超える人たちが避難生活を余儀なくされ、あふれる汚染水のために敷地内にタンクが立ち並び、除染作業によって山積みされたフレコンバッグは、行き先もなく、野ざらし状態です。この廃炉費用、賠償費用は20兆円を超えることが明らかになり、これが電気代として国民に負担が押し付けられることに、多くの国民は怒りの思いを抱いています。
 本県に設置される検討委員会は、この福島の原発事故の現実から出発すべきです。規制委員会の委員長も「100%安全と言えない」と明言し、新規制基準は過酷事故を想定し、放射性物質の放出を前提としたものになっているという現実を踏まえ、地震大国日本において、県民の安全と安心のために、未来の鹿児島のために、今、川内原発はどうあるべきか、それぞれの専門家が科学者としての良心に従って、議論を行う場であるべきです。そのことを強く期待し、本議案に賛成するものであります。

 次に、陳情第1035号「鹿児島県議会議員の政務活動費の領収書等の議会ホームページでの公開等を求める陳情」について、委員会審査結果では継続でありますが、これは採択すべきであることを主張いたします。
 本県議会では、県民に開かれた県議会を目指し、議会改革を積極的に推進するとして「議会基本条例」を制定しておりますが、その第20条には「議会の活動に関する情報の公開及び提供に努めるものとする。」とし、第21条には「県民に開かれた議会を実現するため、多様な手段を活用して、積極的な広報及び広聴に務めるものとする。」と定めています。現在、県議会では領収書も含めて誰でも閲覧が可能となっていますが、開庁日、開庁時間に県議会に訪れることが必要です。南北600キロという広大な本県において、「議会基本条例」の理念に基づいて、誰もが、いつでも必要な情報を入手できる県民に開かれた県議会とするためには、本陳情は、採択し、直ちにしかるべき対応をすべきであります。

 次に、陳情第1037号「川内原発1,2号機の原子炉圧力容器などの部品強度の健全性が確認されるまでは、再稼働しないよう求める陳情書」について、委員会審査結果では不採択でありますが、これは採択すべきであることを主張いたします。
 一旦過酷事故が発生すれば、甚大が被害を及ぼす原発の立地県、鹿児島としては、その安全性に関わる事象については、県民の安全、安心のために、どんな些細な情報でも機敏かつ丁寧に対応することが求められています。
 フランス原子力安全局は、日本鋳だん鋼が製造した蒸気発生器の鋼材が基準を上回る炭素濃度であることを確認し、フランス放射線防護原子力安全研究所は、調査の結果、強度不足により、破壊、炉心むき出しから溶融にまで繋がる可能性リスクを警告しました。フランス原子力安全局の調査の対象になっているのは、日本鋳だん鋼に加え、日本製鋼所の部品です。川内原発においては、この両方の部品が使われているにもかかわらず、実際の部品での非破壊検査等は行わず、製造記録のみで、九州電力も、規制委員会も問題なしとしているものです。
 県議会としては、県民の安全を守るため、県当局や九州電力に対して、実際の部品での非破壊検査・検証を行うことを求めるのは、当然であると考えます。以上の理由から、本陳情は、採択すべきです。

 次に、陳情第3026号「沖縄県議会の〈米軍北部訓練場ヘリパッド建設に関する意見書〉を支持する意見書提出に関する陳情」について、委員会審査結果では不採択でありますが、これは採択すべきであることを主張いたします。
 ついに恐れていた事態が発生しました。13日午後9時半頃、集落から数百メートルしか離れていない沖縄の名護市安部(あぶ)の沿岸の浅瀬に、“未亡人製造機”と称されるオスプレイが墜落しました。オスプレイは2012年10月、地元の反対にもかかわらず配備されていたもので、翁長知事はオスプレイの配備撤回を求めていたものです。
 沖縄県議会は、本年7月21日に、米軍北部訓練場ヘリパッド建設の中止を政府に求める意見書を提出していますが、本陳情は、これを支持し、政府に対して意見書を尊重するよう要請することを求めるものです。
 そもそも、高江ヘリパッド建設の背景は、1995年に発生した、3人の米兵による12歳の少女への拉致、集団暴行事件。これに対する抗議と怒りの広がりを受けて、日米両政府は、翌96年、SACO最終報告に合意し、普天間基地の返還などと並んで米軍北部訓練場の部分返還を盛り込みました。東京ドーム2500倍の広さの北部訓練場は、1957年、米軍によって強制的に接収されて作られたものであることは、稲田朋美防衛大臣も、国会答弁で認めています。そうであれば無条件返還が当然であります。
 高江ヘリパッド建設の問題点は、第1に、民意に反していることです。県知事や地元村長などが反対を表明し、陳情書にあるとおり、この間の国政選挙、地方の首長選挙で、沖縄県民は、明確に基地の移転、建設に反対しています。
 第2には、すさまじい騒音被害の問題です。沖縄防衛局の騒音測定調査では、うるさいとされる60デシベル以上の騒音発生回数は2012年度は昼間461回であったのが、2015年度は2988回、夜間も、552回です。今年は6月にオスプレイが3機やってきて、激しい飛行訓練を繰り返し、6月のひと月だけで、昼間600回、夜間383回の騒音が発生しています。住宅密集地や学校上空の飛行を回避すると言う約束が守られていないことも、国会での答弁の中で、安倍首相も認めています。
 第3には、自然破壊である点です。「東洋のガラパゴス」と称される高江地区、やんばる地域には、絶滅危惧種のヤンバルクイナ、ノグチゲラ、リュウキュウヤマガメ、リュウキュウハグロトンボなどの貴重な動植物が生息しています。
 日本環境会議は、11月24日に環境省に対して、沖縄の「辺野古・大浦湾・高江やんばるの森の環境保全」を要請しました。
 本県議会では、平成16年第3回定例会において、沖縄国際大学構内に米軍のヘリコプターが墜落するという事故を受け、「隣県として沖縄の苦悩と怒りを共有するとともに、基地の存在に起因するこれらの問題から国民の生命と財産を守るため」として、事故原因の究明と安全性が確保されるまでの飛行停止、日米地位協定の見直しを求める「意見書」を全会一致で上げました。今回も、同様に、沖縄県民の苦悩と怒りを共有し、沖縄県議会の意見書を支持する意見書を提出すべきであります。

 次に、陳情第3027号「南スーダンへのPKO自衛隊派遣中止と駆けつけ警護任務付与の閣議決定撤回の意見書採択についての陳情」について、委員会審査結果では不採択でありますが、これは採択すべきであることを主張いたします。
 南スーダンに関する専門委員会の国連安保理議長への書簡によると「7月11日、ジュバで多数の政府軍が、広範な略奪行為を行った。80人から100人の制服兵士の軍が、国際職員やNGO職員が宿泊するテレイン・ホテルを襲撃し、殺人、暴行、略奪、レイプなどを行った。政府軍による国連への攻撃という事態が続発している。」とあり、11月15日の書簡でも「政府軍は、恒常的に国連派遣団の任務遂行を妨害している。」と述べています。
 こうした事態のもとで、「駆けつけ警護」を行えば、自衛隊が南スーダン政府に対して武器を使用することになります。これは憲法が禁止した海外での武力行使そのものであり、明確な憲法9条違反です。
 これらの新任務付与の閣議決定は撤回し、南スーダンへのPKO自衛隊派遣は中止すべきであり、本陳情は、採択すべきであります。

 次に、陳情4020号「すべての子どもたちにゆきとどいた教育をもとめるための陳情書」について、委員会審査結果では不採択ではありますが、これは採択すべきであることを主張いたします。
 本陳情に盛り込まれた項目は、いずれも、本県のすべての子どもたちが、大切にされ、ひとりひとりにゆきとどいた教育を可能とするための環境整備として必要な項目であります。特に、6項目目は、特別支援教育について、当事者やその家族などの願いが生かされた施策が求められています。よって、本陳情は、採択すべきであります。

 次に、陳情第4021号「中学校歴史教科書に於ける『南京事件』の取り扱いについて、日中間の大きな問題になって来つつある現況を踏まえて、生徒に適切な指導をすることをもとめる陳情」について、委員会審査結果では継続でありますが、これは不採択とすべきであることを主張いたします。
 本陳情は「南京事件」について、実際に日本軍による虐殺はなかったという認識にたったものでありますが、南京大虐殺は、学問上も国際的に認められた歴史上の事実です。
 旧日本軍において、1932年に上海派遣軍参謀副長に着任後、支那派遣軍総司令官として終戦を迎えるまで、中国戦線を指揮した中心的な軍人である岡村寧次(やすじ)氏は、戦後、当時の防衛庁の戦史室に依頼されて「戦場体験記録」をまとめています。岡村氏は南京事件の直後に、漢口攻略戦の司令官として着任しましたが、そこで、南京攻略戦で大暴行が行われたとの噂を聞き、それを行った部隊を率いることになったために、事実を確認する必要性から、将校らに聞き取りを行いました。その結果について「南京攻略時、数万の市民に対する掠奪(りゃくだつ)強姦等の大暴行があったことは事実である」とまとめています。
 また、旧陸軍将校と元自衛隊幹部の親睦団体「偕行社」は、機関誌『偕行』の1984年4月号から翌年3月号において、「証言による『南京戦史』」を募集しました。目的は、「南京大虐殺」を否定するためでありました。しかし、集められた証言は、「大虐殺」を認めるものが少なくありませんでした。連載の最終回で『偕行』編集部の執筆責任者の加登川幸太郎氏は、「死者数の膨大な数字を前にして暗然たらざるを得ない。この大量の不法処理には弁解の言葉はない」と虐殺の事実を認めざるをえませんでした。加登川氏は「中国人民に深く詫びるしかない。まことに相すまぬ、むごいことであった」「特に被害者である中国の人々が、日本軍の非行を何と告発、非難されようが、非はわれわれの側にある。これは何とも致し方ない」と述べています。
 さらに、かつて小泉政権時代に町村信孝外務大臣が提唱した日中歴史共同研究でも、南京大虐殺がなされたことは、日本側の論文で記述されています。
 以上のように、「南京事件」については、どの程度の規模であったかは議論があるとは言え、大虐殺が行われたことは、動かしがたい歴史的事実であります。
 その事実を認めず、誤った歴史認識で、教育現場に介入する本陳情は、継続審査ではなく、きっぱりと不採択とすべきであります。

 最後に、陳情第5031号「児童および障害のある人の福祉施策に関する陳情書」について、委員会審査結果では一部継続、一部採択でありますが、これはすべて採択すべきであることを主張いたします。
 本陳情は、障害を持つ人が、地域や学校、職場で生活するにあたって、現実に体験している困難や矛盾にもとづくものであります。障害者総合支援法や介護保険法、障害者差別解消法及び障害のある人もない人も共に生きる鹿児島づくり条例など、法や条例の整備は進められてきましたが、政府は、社会保障を「お荷物」扱いし、国民に「自助」「自立」を迫る社会保障解体が進行しています。社会全体に、格差と貧困が広がっていく中で、障害があってもなくても誰もが憲法13条に規定された幸福追求権が守られ、自由で幸福のもとで安心して暮らしていける地域や社会をつくるために、本県議会は、当事者である人たちの声に耳を傾け、それに応える施策を県や国に求めるべきであります。
 よって、本陳情は、すべての項目を採択すべきであることを申し述べ、討論を終わります。