2016年9月議会 一般質問(要旨) 2016/9/26 |
私は、日本共産党県議団として、一般質問を行います冒頭に、三反園知事に、知事ご就任のお祝いを申し上げます。 今回の県知事選挙において、有権者は、3期つづいた現職伊藤氏ではなく、新人の三反園氏を選択しました。わが党は、今回の県知事選挙において、「原発ノー」、「TPPノー」、「安保法制ノー」、「知事退職金ノー」の“4つのノー”と、県民のいのちとくらしをまもる“8つのYES”の政策を掲げて、立候補表明を行った平良行雄氏を推薦しておりましたが、三反園氏と平良氏の間で候補者「一本化」に向けて、川内原発に関する政策合意がなされたことから、これを評価していたものです。 三反園知事のマニフェストの中には、県民の願いにかなったものもあれば、そうでないと思われるものもあります。また、知事としての立場がわからない課題もあります。わが党は、伊藤県政時代もそうでありましたが、県民にとって、プラスになるものについては大いに賛成し、マイナスになると思われるものには、きっぱり反対するという立場であることを申し述べておきます。 今回は、三反園知事への初めての質問として、まず、県政のいくつかの課題について、基本的な政治姿勢をお尋ねします。 1.知事の政治姿勢について ①川内原発について はじめに、川内原発についてであります。 今回知事は、県民との約束通り、九州電力に対して、川内原発の運転停止の要請をされました。熊本地震を受けて、県民が不安を抱いているその思いをしっかりと受け止めて、行動されたことを評価するものです。この県民の不安の思いは、2011年3月11日の福島第1原発の事故によって、原発の事故がどれだけ甚大な被害を及ぼすのかを体験したことによるものです。福島では、未だに10万人の住民が避難生活を余儀なくされ、原発は収束の見通しもたっていません。このような福島の現状について、知事は、どういう認識をお持ちでしょうか、お聞かせください。 そして、このように、一旦過酷事故が発生すれば、放射能の被害を人の手で食い止めることができない、人々のくらしが根こそぎ、将来にまでわたって破壊されてしまう、原発そのものが持つ危険性について、どう認識されておられるかお聞かせください。 今回の知事の2度にわたる川内原発の停止要請を、九州電力は、拒否しました。現在、法の定めには、知事には、原発を停止させる権限はありません。 全国の原発立地の13の道県が、電力事業者と結んでいる「安全協定」には、必要に応じて「適切な措置」を求める条項が定められており、伊方、島根、高浜、柏崎・刈羽、泊原発などは、「措置」の内容に、はっきりと、「原子炉の運転停止」が含まれています。しかしながら、九州電力と本県との「協定書」には、「停止」は書かれていません。 また、原発にかかわる施設等の増設や変更について、県の「了解」が必要となっている「協定書」がほとんどですが、本県と九州電力の「協定書」には、「事前に協議する」となっているだけです。 川内原発に対する県民の安心・安全を確保するために、川内原発にかかわる施設等の増設や変更については、「事前了解」を明記し、九州電力に求める「適切な措置」に、原子炉の運転停止も含むことなど、九州電力と「安全協定」の見直しについての協議を行っていただきたいと考えますが、見解を伺います。 知事は、定期点検の後の川内原発のあり方について、マニフェストに掲げた「検討委員会」を立ち上げ、専門家の意見を聞き、その上で、自身で判断するとされています。できるだけ早く設置すると答弁されていますが、知事の判断に大きく影響を与えることになる「検討委員会」の議論の鍵を握っているのは、その人選です。県民の安全確保のために、公平、公正な立場で、科学者・専門家としての知見を発揮できる人選を要望します。 また、新潟県においては、「原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」について、東京電力との安全協定の中で、設置について明記し、技術委員会への協力を求めることができる仕組みが作られています。 本県の「検討委員会」についても、十分にその機能が果たされるよう、「安全協定書」にその設置を定めることも検討いただきたいと考えますが、見解をお聞かせください。 川内原発については、3号機の増設問題が、決着がついていません 前任の伊藤知事は、2010年11月19日付で、3号機増設を「了承」しましたが、その後発生した、福島の原発事故後、3号機増設にかかわる県の手続きを「任期中は凍結」としてきました。知事が交代した現在、「凍結」が継続されるのか、増設の「了承」が「白紙撤回」されるのか、それとも「凍結」が解凍され、増設が動き出すのか、多くの県民が心配しています。3号機増設に対する知事の見解をお聞かせください。 まもなく、定期点検で、1号機・2号機が止まりますが、その再稼働と避難計画は、リンクしないと答弁されました。しかしながら、IAEA(国際原子力機関)は原発の安全性を保つため「5層の防護」という考え方をとており、第5層は「放射性物質が放出したとしても、公衆被爆を抑制するように備えること」つまり、避難計画の策定です。しかし、わが国の規制基準には、これが入っておらず、それぞれの自治体任せになっています。一旦過酷事故が発生すれば、放射能によって命が危険にさらされる恐れのある原発を稼働させるにあったって、住民が確実に安全に避難できる計画を作ることは不可欠です。わが党は、住民が確実に避難できる実効性のある避難計画が策定されるまでは、原発は動かすべきでない、という立場にたつものです。 ぜひとも、知事には、全国の1番手で再稼働がなされた立地県の長として、規制基準に避難計画を入れることを国に要請していただきたいと考えますが、見解をお聞かせください。 国の「エネルギー基本計画」「長期エネルギー需給見通し」で定める2030年度の原発依存度20~22%の達成のためには、規制基準に適合した原発はすべて動かし、運転期間も40年を超えて60年間とし、さらに原発の新増設が必要となる計算です。川内原発を40年超えて使用することや、3号機を増設することなど、ありえません。 県民の安心・安全の確保のためにも、「エネルギー基本計画」や「長期エネルギー受給見通し」の見直しを、国に迫るべきと考えますが、見解をお聞かせください。 ②TPPについて 次に、TPPの問題について、お尋ねいたします。 安倍首相は、今日から始まった臨時国会で、TPPの批准を強行しようとしています。TPPの本質は、巨大多国籍企業の利潤追求のために、関税を撤廃し、食の安全、医療、雇用、保険・共済、国・自治体の調達など、あらゆる分野の「非関税障壁」を撤廃することにあります。これは、経済を活性化するどころか国民のくらしを悪化させ、貧困と格差を拡大することにしかならないのは、明らかです。 TPPが県民の暮らしや農業、その他の産業ひいては地域経済に与える影響について、どのように認識されているのか、お聞かせください。 安倍内閣は、TPPの経済効果について、GDPを14兆円に押し上げる一方、農業への影響は、牛肉、豚肉、乳製品等33品目が1300億円~2000億円の生産減となるだけだと、きわめて過小に評価しています。青森、福井、滋賀、和歌山、熊本の5県は、政府の試算によらずに独自に試算し、政府が影響額ゼロとしているコメだけでも、生産減少額は合計で92.2億円にものぼっています。現在32の道県で、影響額の試算を行っています。農業県である本県がどれだけの影響を受けるのか、まずは、TPPについて、県独自の試算を行うべきではありませんか。見解をお聞かせください。 国の形を変えてしまうTPPを、異常な秘密主義で真相を隠したまま今国会で批准することは、絶対に認められません。本県として、TPPの批准を行わないよう、国に対して、要請すべきと考えますが、見解をお聞かせください。 ③平和と基地をめぐる状況について 安保関連法が制定され、丸1年が経過しました。集団的自衛権の行使が可能になるとともに、北東アジアにおける国際情勢の緊張状態を受け、わが国の防衛予算は、5兆円を超えて、増額されています。 そのような中で、馬毛島への米軍のFCLP訓練の移転計画や、鹿屋自衛隊基地において米軍の空中給油機やオスプレイの訓練受け入れのほか、奄美市と瀬戸内町には、事態発生時に初動を担当する陸上自衛隊の警備部隊を配備し、地対空、地対艦ミサイル、弾薬庫、燃料施設、訓練場も整備する計画です。南西地域における防衛体制を強化するという政府の方針のもと、わが国の防衛における本県の役割が増大させられることにともない、県土、県民が危険にさらされる可能性が高まっている状況について、知事は、どのように考えられますか、見解をお聞かせください。 伊藤前知事は、馬毛島への米軍のFCLP訓練の移転や鹿屋の自衛隊基地での空中給油機やオスプレイの訓練の受け入れについて、地元の意向を尊重するとし、鹿屋市長は防衛省と安全協定を締結して、訓練を受け入れるとしています。しかし、オスプレイは、鹿屋市の上空に突然出現するわけではなく、県土の上空を通って、鹿屋基地に至ります。鹿屋市長が了解すれば済むという問題ではありません。 県知事として、県内での米軍機の訓練や、攻撃の対象になり得る奄美への陸上自衛隊のミサイル部隊の配備について、県民の安全を守る立場から、反対すべきと考えますが、見解をお聞かせください。 ④水俣病について 水俣病が公式に確認されてから60年がたちました。未だに、多くの住民が、水俣病の症状があるにもかかわらず、水俣病、水俣病被害者と認められず、苦しんでいます。 2009年7月8日に議員立法で成立した水俣病被害者救済特別措置法は、「多くの未救済被害者がいる」という国民世論が後押しして、「あたう限りの救済を行う」として作られたものでしたが、結果として「あたう限りの救済」にはなりませんでした。 いまだに、公害健康被害補償法にもとづく認定申請や認定を求めて裁判に訴える人たちが後を立ちません。このような状況を知事は、どのように感じられますか、お聞かせください。 水俣病の直接の発生原因は、チッソが排出したメチル水銀にあり、それを放置し拡大させた責任が国と熊本県にあると確定しています。 本県における、公健法に基づく水俣病の認定者は、延5,171名の申請者のうちの493名にとどまり、棄却が3,784名にものぼっています。 加害者である国が定めた認定基準について、2013年4月の最高裁判決は、症状の組み合わせがなくても認定する余地があるとして、基準の運用見直しを求め、環境省から新指針が出されました。しかし、新指針の通知後、水俣病と新たに認定されたのは、本県ではわずか2名だけです。なぜ少ないのか、それは、一つの症状で認定する場合の条件に、客観的資料を求めているからです。半世も前に、水銀に汚染された魚介類を多食したという証明や発症当時の毛髪やへその緒など、提出できるでしょうか。結局、「新指針」は、認定のハードルを上げて、認定患者を相変わらず狭めただけでした。 認定基準を抜本的に見直し、症状がある人は、水俣病患者と認める、でなければ全面的な救済はできません。 知事は、「ふらっと政治」を目指し、現場に足を運び、いろいろな人の意見に耳を傾けると言われています。ぜひ、水俣病患者や水俣病被害者の元に行き、生活を見て、症状を見て、話を聞いていただきたい。患者会等からの要請があれば、懇談の機会を持っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。 また、水俣病への偏見や差別がある中で、手をあげたくてもあげられなかった人や、自分の症状が水俣病だと気づかない人もいます。全面的な救済のためには、不知火海沿岸の環境調査や住民の健康調査が必要です。ぜひ、実施を検討していただきたい。見解を伺います。 【答弁】 (1)川内原発について ①福島の現状に対する認識について(知事) 福島の現状に対する認識についてであります。 私も福島を訪れました。 県民とも接触しております。 私としては,原発は絶対に事故を起こしてはならないと考えております。 福島第一原子力発電所の事故から5年半を経過した現在においても,およそ9万人の方々が避難生活を送られております。 また,汚染水問題をはじめ,廃炉作業や除染作業,補償問題などの課題が山積しており,その解決のためには,今なお,相当の時間が必要であると考えております。 国においては,これまでも,避難者向けの公営住宅の建設支援,中間貯蔵施設の建設や除染作業など,被災者の早期帰還への取組を強化しているところでありますが,今後とも,東京電力はもとより,国が前面に立って福島の復興再生を更に加速していただきたいと考えております。 ②原子力発電所の危険性について(知事) 原子力発電所の危険性についてであります。 原子力発電所については,福島第一原発事故を受けて,何よりも安全性が最優先されるべきと再認識したところであります。 国は,福島第一原発事故を教訓として,原発の安全性を審査する機関を,原子力政策を推進する経済産業省から独立させ,内閣から独立性の高い3条委員会である原子力規制委員会を設置いたしました。 また,同委員会は,IAEA等の国際基準を踏まえ,世界最高レベルといわれる新規制基準を制定したとしています。 新規制基準においては,重大事故の発生確率を1原子炉当たり100万年に1回以下,かつ,その際,放出される放射性物質を福島第一原発事故の10,000テラベクレルの100分の1の100テラベクレル以下と規定されております。 しかしながら,私としては,原子力発電所の安全性に絶対はないことから,また,稼働していても,稼働していなくても,そこに放射性物質があり続けるわけですから,万一の原子力災害に備えまして,防災訓練を実施するとともに,避難計画など防災対策の不断の見直しを行ってまいりたいと考えております。 ③事前脇議等に係る安全協定の見直しについて(局長) 事前協議等に係る安全協定の見直しについてであります 九州電力との安全協定におきましては,原子炉施設に重要な変更をしようとする場合などは事前協議を行うこととされており,事前協議に係る計画につきましては,これまでも県の了承が必要とされてきたところであります。 また,原子炉設備の故障等により原子炉が停止したときなどにおきまして,立入調査の結果,発電所周辺住民の安全確保等のために必要と認めた場合には,九州電力に対し「適切な措置」を要請できることとされております。 この措置の要請には,特段の制限は設けられていないことから,県といたしましては,原子力発電所の停止も含まれると考えております。 ④原子力問題検討委員会の設置に係る安全協定の見直しについて(局長) 原子力問題検討委員会の設置に係る安全協定の見直しについてでございます。 安全協定におきましては,九州電力は,県が実施する安全確保対策につきまして諸調査や資料の提出要請に積極的に協力することが規定をされております。 原子力問題検討委員会は県が設置いたしますことから,同委員会が行う調査等につきましても,当然のことながら,現在の安全協定において,協力を求めることができると考えております。 ⑤川内原発3号機増設に対する見解について(知事) 川内原発の3号機増設に対する見解についてであります。 私としては,東京電力福島第一原発事故後の状況や,今の県民の安全・安心に対する思いを考えると,3号機の増設を進める状況にはないと考えています。 【再質問】 3号機増設について,知事は,進める状況にないというふうなを答弁した。 前伊藤知事は,文書で,国に対しても,九州電力に対しても,増設を了承する旨の回答を行っている。 この文書の回答も,今後どうするかとういうのは,今後,検討するとしても,知事の意思として,3号機増設は,認めないというふうに理解してよろしいかどうか再答弁を求める。 【答弁】(知事) 3号機については,認めないというか,それ以前に福島第一原発の事故を受けて,県民の思いを考えれば,進める状況にはないということであります。 ⑥避難計画に係る原子力規翻委員会への要望について(知事) 避難計画に係る原子力規制委員会への要望についてであります。 原子力規制委員会は,原子力発電所そのものの安全姓を確保する観点から規制基準を定めております。 一方,避難計画を含む地域防災計画は,災害対策基本法によりまして県や市町村が策定する義務を負っております。 私としては,避難計画など防災対策に,「完壁」や「終わり」はないことから,国や関係自治体と連携しながら,防災対策の不断の見直しを行ってまいりたいと考えております。 ⑦国のエネルギー政策の見直しについて(知事) 国のエネルギー政策の見直しについてであります。 国においては,平成26年に閣議決定された「エネルギー基本計画」で,原発依存度について,再生可能エネルギーの導入などにより可能な限り低減させることとし,昨年7月に取りまとめた「長期エネルギー需給見通し」の中で,安全性の確保を大前提としつつ,①震災前を更に上回る自給率の確保,②電力コストの引下げ,③欧米に遜色ない温室効果ガスの削減等を政策目標として定めております。これらを同時に達成する中で,2030年度時点のエネルギーミックスのあるべき姿を示したものと認識しています。 さらに,同計画では,原子力政策の方向性として,いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ,国民の懸念の解消に全力を挙げることを前提とされています。 このような中で,私としては,先ず県民の安全確保や不安解消に取り組み,将来ではなく,今から原発に頼らない社会を目指していくこととしております。 (2)TPP協定が本県に及ぼす影響等について(知事) TPP協定が本県に及ぼす影響等についてでございます。 TPP協定におきましては,牛肉,豚肉などの関税を一定の期間をかけて削減していくことなどとされていることから,国産品の価格低下による生産額の減少など,本県の基幹産業であります農畜産業への影響が懸念されております。 県では,これまで,農家の皆さんが安心して経営を継続できますよう,畜産業などの経営安定対策の充実や中長期的な視点に立った具体的かつ万全な対策を講じること,また,雇用,医療など県民生活への具体的な影響等につきましても,十分な情報提供と丁寧な説明を行うことなどを,国に対して要請してきたところであります。 国におきましても,昨年10月の大筋合意後,「総合的なTPP関連政策大綱」を策定し,体質強化対策のための27年度補正予算措置などが講じられたところであります。また,今の臨時国会でも,経営安定対策を柱とする関連法案と28年度補正予算案が審議されることとなっております。 国会の場においては,県民の皆さんの不安や懸念が払拭されるように,引き続き,十分な審議を尽くしていただきたいと考えております。 県といたしましては,これまでも政府の動きに応じ,関係団体の皆様とも連携し,国に対して必要な働きかけを行ってきたところであり,今後とも,情勢を注視してまいります。 また,TPP協定が我が国の経済全体に与える影響につきましては,政府が昨年末に公表した「TPP協定の経済効果分析」におきまして,実質GDPが2.6パーセント増加するとの分析が示されたところであります。 国からは,具体的な算出方法は説明されておらず,また,貿易や投資等につきまして,県レベルで把握することは困難でありますことから,本県におけるTPP協定全体の影響額を試算することは難しいものと考えております。 いずれにしましても,TPP協定の発効いかんに関わらず,鹿児島の農畜産物のブランドカを高め,世界に挑戦する競争力のある農畜産業の実現に向けた取組を強力に進めてまいります。 【再質問】 TPPの試算について,本県として行わないという御答弁でした。 計算の方法も示されていないということでしたが,私が調べただけでも32の道県で試算をしています。国の方法に基づく試算の方法ということで示している県もあります。政府がとるといっている対応が,本県の農業の実態に即して有効であるかどうかというのも試算を行わなければ検証もできない,試算はどうしても必要だと思います。是非やっている県に聞いて,どういうふうに試算をすればいいのかと確認をしてでも是非本県に与える影響について試算をしていただきたいと考えますが,再答弁をお願いいたします。 【答弁】(知事) TPPに関してはですね,今,国会の方で審議されることになっておりますが,私としてはですね,本当に農畜産物,鹿児島県にはいいものがたくさんあります。そのいいものをですねブランドカを高めて,世界に輸出するそういった底力をつけるそのために全力を尽くそうと思っております。試算に関しては農政部長の方からお答えすると思います。 【答弁】(部長) TPPの本県に対する影響試算についてのご質問につきまして,補足して御答弁させていただきます。TPP協定は,関税以外にもですね,医療,福祉,あるいは公的調達,非常に広い分野でございまして,それにつきまして,その全体の分野につきましての影響につきましてはですね,先ほど知事から御答弁させていただきましたように,貿易ですとか投資ですとかそういったものを県レベルで把握することは非常に困難であると思っておりまして,先ほど御答弁させていただいたとおりでございます。 他の県でやっている例があるのではないかという御指摘でございます。 ほとんどの県では国の試算に準じてやっておりますのは,農産物の影響の部分のことのご指摘だと思います。農産物への影響額につきましては,私どもといたしましては,現在,肉用牛,養豚の経営安定対策等の見直しがなされている途中でございます。また、国での検討の継続項目,12項目ございますけれども,これにつきましても,秋までにまとめるというようなことで,国内対策の全体像が明らかになっていないということで,協定発効後の市場動向等も見通せない状況にあるということで,確たる数字として影響額を出すまでには,もう少し時間がかかるというふうに考えております。 県といたしましては,現在,国の補正予算等で措置されております,産地パワーアップ事業,あるいは,畜産クラスター事業等を活用して,農畜産業の生産基盤の強化,あるいは規模拡大ということを図っていくというのが,当面県として最も重要なことだという風に考えております。 (3)平和と墓地をめぐる状況について ①県内の防衛施策の展開と米軍訓練への県の対応について(知事) 県内の防衛施策の展開と米軍訓練への県の対応についてであります。 防衛・安全保障政策につきましては,国の専管事項でありますが,国が米軍再編など安全保障上の施策を進めるに当たっては,地域住民の間に,事故の危険性の増大や騒音,治安に対する不安や懸念が生じることに対しまして,説明責任を果たすとともに,地域の方々の意向を十分に踏まえて対応する必要があるものと考えております。 ②奄美への自衛隊部隊の配備ついて(知事) 奄美への自衛隊部隊の配備についてであります。 自衛隊には本県における大規模な災害時の救助活動や離島急患搬送などに協力をいただいております。県民の安心・安全確保に大きく貢献していただいております。 自衛隊の部隊の新たな配備は,国の判断により行われたものでありますが,部隊配備に当たっては,地元自治体の理解を得ることが必要であると考えております。 奄美への部隊配備については,奄美市長及び瀬戸内町長は受入を表明し,また,防衛省が地元住民に対し説明会を実施しているところであります。 私としましても,地元自治体の意向を踏まえて対応してまいりたいと考えております。 (4)水俣病について ①水俣病に関する現状認識について(知事) 水俣病に関する現状認識についてでございます。 昭和31年に公式確認された水俣病は,我が国の公害,環境問題の原点となる問題であり,現在でも多くの方々が心身の苦労に耐えられているところであります。 水俣病対策については,国においてこれまで公害健康被害補償法による水俣病認定制度や2回の政治解決などに基づいて様々な取組を行ってきておりますが,公式確認から60年目に当たる今日でも,多くの方々が認定申請を行ったり,損害賠償請求訴訟を起こされたりするなど,今なお十分な解決には至っていない状況にあると認識しております。 私は,水俣病については,重要な解決しなければならない問題であると考えており,県としては,公害健康被害補償法に基づく水俣病認定申請の審査や,水俣病総合対策事業による療養費の支給健康不安者に対する健診などの取組を,今後とも着実に進めてまいりたいと考えております。 ②水俣病被害者との懇談について(知事) 水俣病被害者との懇談についてでございます。 公害健康被害補償法に基づく認定業務は,県公害健康被害認定審査会の答申を踏まえて知事が行うこととされております。 これまでも処分庁である知事自身が,あらかじめ関係の方々に直接お会いすることは,審査に予断を与えることにもなりかねないこと等から,慎重に対応してきております。 ③水俣病に孫る住民健康講査等について(知事) 水俣病に係る住民健康調査等についてでございます。 水俣病被害者救済特別措置法におきましては,国が「指定地域及びその周辺の地域に居住していた方々の健康に係る調査研究」等を行うこととされております。 また,国は,平成24年に公表した「水俣病問題の解決に向けた当面の取組」の中で,メチル水銀の健康への影響や治療に関する調査研究を推進することとしております。 県としても,国のこうした調査研究に必要な協力を行ってまいりたいと考えております。 2.知事のマニフェストの実現について ①子ども医療費の「一時払いの完全ゼロ」について 次に、知事がマニフェストに掲げておられる政策のなかで、2つの課題について取り上げます。 一つ目は、子ども医療費の「一時払いの完全ゼロ」についてです。先日の施政方針の中で、「市町村や関係機関と協議しながら検討を進める」と述べられました。私は、ぜひとも早急に実現していただきたいと願う立場から、質問いたします。 本県の乳幼児医療費助成制度は、対象年齢は小学校入学前までで、3000円という自己負担があります。所得制限もあります。県内市町村では、県の制度に上乗せをして、18歳の年度末まで、自己負担なしの全額無料にしているところが3市4町1村の計8自治体あります。他に19自治体が、中学校卒業まで、全額無料、としています。その一方で、県の制度に上乗せできず、全く同様の制度となっているのが、奄美を中心に5自治体です。 このように、同じ鹿児島県に生まれながら、これだけの差が生じていることを、知事は、どのように評価されますか。 また、本県の制度は、自動償還払い方式となっており、いくら無料であっても、一旦医療機関の窓口で支払ったあと、2~3ヶ月たってから戻ってくる仕組みです。 全国では、本県のように、償還払いとなっているところは、9つの道府県となってしまいました。また、3000円もの自己負担も、全国では最高の額です。このように、全国の中でも遅れている本県の助成制度についての認識を伺います。 これは、先日、県議会のすべての会派を回って、要望に来られた方たちが持ってこられたものです。お借りしました。子ども医療費助成、ひとり親家庭医療費助成、重度心身障害者医療費助成の窓口無料を求める署名に書かれていたママたちの声です。この中には、「1才2ヶ月の子どもを持つ母親です。子どもが病気の時、お金の心配もしなければならないのは辛いです。」、「前知事は、窓口負担について、子育て世代にコスト意識を持てとあまりに冷たい態度でした。三反園新知事の公約実現で、子育てしやすい県政へと期待しています。」との声があります。 また、鹿児島県内の市長さんたちの集まりである鹿児島県市長会から、今年の8月に三反園知事宛に、要望書が出され、中学校3年生までの児童・生徒すべてを対象に、所得制限を設けることなく、現物給付で医療費の負担軽減を図ることを求めています。知事は、市民・県民の声、そして県内市長さんの声をどのように受け止めておられますか。 三反園知事のマニフェストは、選挙戦の中で、各地を回り、いろいろな方たちと語られてきた、その県民の声や思いが盛り込まれていると思われますが、子どもの医療費の窓口負担ゼロを掲げられた知事の思いと実現への決意をお聞かせください。 ②「県立短大のあり方」について 知事は、マニフェストにおいて、「鹿児島を支える人材育成の場として県立短大のあり方」について検討するとされています。私は、ぜひ、県立短大の4年制化を進めていただきたいと願う立場で、質問いたします。 県内には、国立大学は、鹿児島大学と鹿屋体育大学の2校がありますが、県立の大学は、なく、あとは私立の大学です。 私が、県立四年制大学の設置を願う理由は、第1には、知事が言われる「かごしまの将来を担う有為な人材の育成・確保」です。先を見据えながら、地方自治体として今、高等教育を充実させ、人材を育成することは、かごしまの未来づくりに欠かせないのではないでしょうか。 第2に、2015年度の文部科学省の統計によると、鹿児島県は、大学進学率が全国で最も低く、特に女子の進学率は、全国平均が47.4%であるのに対して、29.2%と全国最低となっています。女子を県外に進学させることに抵抗があるのでしょうか。男子も女子も、持てる力を十分に発揮できる環境を作ることが求められています。 第3には、県立大学であれば、私立大学と比較して授業料を低額に抑え、県が直接授業料の減免制度を設けることができ、学費の面でも学びやすい環境を作ることができます。 以上のことから、ぜひ、県立短大の資源を活用した県立4年制大学の設立について、検討する機関を設置して、具体的検討をしていただきたいと考えますが、見解をお聞かせください。 3.出水のいじめ問題について 夏休み明けに増える子どもの自殺を防ごうという呼びかけが、様々な団体や個人などから発信されました。菅官房長官も、定例記者会見で、9月1日に児童生徒の自殺が多いことから、「悩みを相談してほしい」と呼びかけました。 ちょうど、5年前の9月1日未明、出水市の中学2年の女子生徒が、4メートルもの高さの金網をよじ登って、新幹線の線路に飛び降りて、自殺しました。当時、遺族の要望に応え、1週間後に、アンケートが取られましたが、アンケートは開示されることなく、市教育委員会と学校長をはじめとする学校関係者を中心とする事故調査委員会で、アンケート内容の分析や聞き取り調査が行われ、報告書案が作成されました。そして、学識経験者や臨床心理士、民生委員などのメンバーで構成する事故調査専門委員会が、その報告書の内容を分析評価するという形で、11月に報告書がまとめられました。その結論は、「今回の事故の直接のきっかけとなる出来事は確認できなかった。」というものでありました。 女子生徒が亡くなった直後から、遺族の元へ、生徒や保護者からいろいろな情報が寄せられました。また、遺族も独自に調査を行い、女子生徒が自殺をしたのは、学校でいじめがあったからではないか、という思いを強くしました。 わが子が、孫が、なぜ、自らいのちを絶たなければならなかったのか、それを明らかにするためにも、アンケートを開示してほしいと学校や市教育委員会に要請したきましたが、受け入れられませんでした。 今年になって、1月8日に、アンケート結果の一部が遺族に開示されました。遺族が起こした裁判によって、開示となったものです。 教育長にお尋ねします。 事件の発生から、5年以上が経過しているにもかかわらず、遺族は、未だに出水市教育委員会の対応に納得しておらず、この問題が解決していないこと、そして、今回のアンケート開示が、市教育委員会の判断ではなく、裁判によって、開示されることになったことについて、どう思われますが、見解を伺います。 県教育委員会としては、5年前の時点で、アンケートの回答は見られていたと思いますが、私は、あらためて、今回開示された113人のアンケートの結果を見て驚きました。 ・部室に置いていたノートがなくなったという事件があった。 ・8月頃から部活で一人でいることがあった。「きもい」と言われている所を見た。 部活の帰りに泣いている所を見た。 ・私が見るときはいつも一人だった。 ・○○の(部活で使う楽器)大事な部分が折られていたと聞いた。 ・亡くなる数日前にスカートや私服を隠される、汚されるなどして友達に「またやられた」と言っていた。 これは、ごく一部です。 それでも、出水市教育委員会は、「事故の直接のきっかけとなる出来事は確認できなかった。」と判断し、もう十分調査は行ったとして、結論は変えないとしています。 出水市教育委員会は、出水市議会の答弁で、「県教委の指導を仰ぎながら」調査を行ってきたと、くりかえし言っていますが、県教育委員会としては、出水市教育委員会が出した結論は、開示されたアンケートの内容に即したものになっていると考えておられますか、見解をお聞かせください。 これだけ、いじめがあったのではと思わせる記述がある中で、あらためて、第三者委員会を設置して調査するよう市教育委員会に指導する必要があると考えますが、見解をお聞かせください。 4.地域医療構想について 先般、県は、地域医療構想案をまとめました。そもそもこれは、安倍政権による一連の社会保障改悪の流れの中で、社会保障と税の一体改革の具体化として動き出したものです。 2012年8月に成立した「社会保障制度改革推進法」に基づいて設置された「社会保障制度改革国民会議」の報告書は、医療を介護と一体的に見直すことを提起しました。そのねらいは医療の転換です。具体的には、「病院完結型」の医療から地域全体で治し、支える「地域完結型」の医療への転換です。その病床削減と再編を進めるために持ち込まれたのが「病床機能報告制度」と「地域医療構想」の策定です。 今回の地域医療構想案において、病床数を現在の総計26,760床から、2,025年には、25.5%削減し、総計19,944床とするというもので、在宅医療に誘導する内容となっています。また、その実現を図るために、県には、医療法上稼働していない病床に係る削減の要請や要請に従わない場合には、勧告をおこない、勧告に従わない医療機関については、その名前を公表できるという権限が与えられています。 一方、介護保険のサービスにおいては、特別養護老人ホームは、原則要介護3以上に限られ、それでも待機者が多く、何年も待たなければならない、有料老人ホームは、負担が高くて入れない、こういう状況です。 今後、団塊の世代が後期高齢者となり、医療・介護の需要はますます増大していくことが見込まれるにも、かかわらず、今回の地域医療構想案では病床数を現状より、大幅に減少することとされていますが、県としては、どのようにして県民が必要とする医療を確保されるのでしょうか、見解をお聞かせください。 5.霧島市における林地開発許可について ①許認可権を持つ県の責任についての認識は。 霧島市牧園町高千穂と、同じく隼人町野久美田の林地において、広大な山林を皆伐して、メガソーラーの開発が行われています。霧島市といえば、永水地区において、ゴルフ場建設のための林地開発許可がなされ、その後大規模養豚場、そして、メガソーラーへと変更されたところが、豪雨によって、大量の土砂の流出が起こり、周辺住民の不安と怒りをかっていることは、先だっての6月議会の同僚議員の質問でも明らかになりました。 このように、開発業者の施工や管理によっては、このような甚大な環境破壊につながることになってしまう林地開発について、許可権を持つ県の責任をどのように認識しておられるかお聞かせください。 過去の事例に照らし合わせて、災害の発生の恐れがある場合には、許可をしないことも選択肢としてあると考えますが、見解をお聞かせください。また、許可した2箇所について、森林法第10条2による「災害の恐れ」「水害の恐れ」がないと言えるのか。許可の根拠をお示しください。 県の許可においては、本体工事に先行して、調整池等の工事を行うことを要件としていますが、野久美田の開発現場においては、実際に広い範囲で木が伐採され、地肌がむき出しになっている中で、今、調整池の工事が行われていますが、先日の台風による豪雨で土砂が流れ出てそれを、土嚢と板塀で止めている状態です。ここは、田んぼと民家と市道に隣接しており、災害、水害が生じないのか、大変心配されます。許可を与えた県は、災害防止のために、どのよう対応し、責任を果たしていかれるのか、お聞かせください。 【答弁】 2 知事のマニフェストの実現について (1)子ども医療費の「一時払いを完全ゼロ」について ①市町村における子ども医療費助成の評価及び本県の助成制度についての認識について(部長) 県内市町村の取組につきましては,国の医療保険制度や県の助成制度を踏まえた上で,財政状況等を勘案しながら,それぞれの判断で実施されているものと認識しております。 本県の助成制度は,健康保険法等に基づき,被保険者が窓口で負担した額に相当する額の全部又は一部を助成するものでありまして,受診される方と受診されない方との負担の公平を図り,受診される方々にコスト意識を持っていただくという,我が国の医療保険制度の趣旨を踏まえたものとなっております。 他県の考え方につきましては,詳細を把握しておりませんが,本県や県内市町村を含め全国の自治体とも,それぞれ全ての施策について,優先順位を判断しながら,財政状況も勘案し,予算を編成・執行しているものと考えております。 因みに,本県の児童福祉費の児童1人当たりの決算額は,平成26年度で全国9位であり,現状でも,他県との比較において,個々の事業の評価はともかく,将来を担う子どもたちの福祉に係る施策の実施に必要な額は,十分に確保されているものと考えております。 ②乳幼児医療の「窓口負担ゼロ」等について(知事) 乳幼児医療の「窓口負担ゼロ」等についてでございます。 本県の乳幼児医療費助成制度は,医療保険の被保険者が健康保険法等に基づき,窓ロで負担した額に相当する額の全部又は一部を助成することによりまして,被保険者の家計の負担軽減を図る制度となっておりますが,「最初から引いた値段で払うようにしてほしい。」という声を私はたくさん聞いております。 また,市長会からも御指摘のような内容の要望書が提出されていることも承知しております。重く受け止めております。 私は,お金がないと思って病院に行かずに,我慢していると重篤化する可能性もありますことから,子どもの医療費に関しましては,最初から少ない金額で受けられるようにしたいと思っており,これにより,経済的理由から受診を控えることによる病状の重篤化を防ぐ効果があるのではないかと考えております。 現在,様々な課題を整理しつつ,対象者の範囲や窓ロ負担の免除も含め,制度の具体的な内容について,検討しているところであります。 (2)県立短大のあり方について(部長) 県立短期大学のあり方についてでございます。 県立短期大学につきましては,例年,入学者の9割前後が県内出身者であり,卒業生の8割から9割が県内に就職するなど,鹿児島の発展に大きく貢献しているものと考えております。 今後とも,国際化,情報化などの時代の要請に対応した教育内容の充実や,計画的な施設整備,県内8つの大学・短大が連携した,地元就業率等の向上を図るプログラムの推進などに取り組むことで,将来の鹿児島を支える人杉育成の場として,魅力ある県立短期大学を目指すこととしております。 このため,県立短期大学の4年制大学化について,検討機関を設置することは,考えていないところでございます。 3 出水市立中学校のいじめ問題について(教育長) ①出水市教育委員会の対応について 去る平成23年9月に出水市の申学生が自らその命を絶つという痛ましい事案が発生したことは極めて遺憾であり,このようなことは,理由のいかんを問わずあってはならず,現時点においても深刻に受け止めているところである。 県教委としては,出水市教育委員会におかれては,これまで御遺族に対し,理解が得られるよう説明に努めておられるものと承知しており,去る8月13日にも,当時の学校関係者等を集め,御遺族と一堂に会して当時のアンケート内容について話し合う場を設定されたと聞いている。 県教委としては,出水市教育委員会において,今後とも御遺族の理解が得られるよう引き続き説明に努められるものと考えている。 ②裁判によるアンケート開示について アンケートの開示は,行政文書不開示決定取消等請求事件訴訟の判決の結果を受けて,出水市教育委員会の判断として行われたものと承知をしており,県教委としては,どのような経緯で開示に至ったかに関して,見解を述べる立場にはないと考える。 ③出水市教育委員会の結論と第三者委員会の設置について 出水市教育委員会は,国が示した通知や指針に基づき事故調査委員会や外部委員のみで構成する事故調査専門委員会で,アンケートに基づいた調査・分析を行うとともに,御遺族から申し出のあった出来事についても追加調査し,最終的に報告書をまとめられたものと聞いている。 これらのことから,県教委としては,出水布教育委員会の調査報告書はアンケートの内容を十分に検証し,踏まえたものであると認識している。 また,本事案に係る第三者委員会の設置については,その必要性も含めて出水市において判断されるものであると考える。 【再質問】 私は、アンケートの内容を紹介しましたが、教育長は出水市教育委員会がいうように、直接のきっかけになる出来事はなかったと思われるのですか。 【再質問に対する答弁】 出水市教育委員会の結論についての再度のお尋ねですが,先ほども申し上げたとおり,出水市教育委員会は,当時,事故調査委員会や事故調査専門委員会で,アンケートに基づいた調査・分析を行うとともに,御遺族から申し出のあった出来事についても追加調査を行った上で,最終的に報告書の中でば,「今回の事故の直接のきっかけとなる出来事は確認できなかった。」とまとめられているものと思っている。 県教委としては,出水市教育委員会の調査報告書はアンケートの内容を十分に検証し,踏まえたものであると認識している。 4 地域医療構想について 地域医療構想案における医療の確保について(部長) 地域医療構想案におきましては,平成37年の病床の必要量を県全体で1万9千944床と推計したところでありますが,これは病床数を削減しようとするものではなく,現状と比較し不足する医療機能について,今後どのように対応していくかを考えていくための目安となるものでありまして,その旨は県の案にも明記しております。 策定後におきましては,構想区域ごとに地域医療構想調整会議を設置し,医療機関の自主的な取組及び医療機関相互の協議により,その推進を図りますとともに,地域医療介護総合確保基金を活用して,引き続き,病床の機能分化・連携,在宅医療の推進,医療従事者の確保等に取り組むことといたしております。 5 霧島市における林地開発許可について(部長) ①林地開発の許可権を持つ県の責任について 林地開発について,まず,林地開発の許可権を持つ県の責任についてであります。 林地開発許可制度は,災害防止,環境保全といった森林の持つ公益的機能を維持し,森林の適正な利用を確保することを目的としております。 許可に当たりましては,森林法や国の許可基準に基づき,厳格な審査を行うとともに,許可後は,現地調査を行い,許可に沿った施工が行われるよう事業者を指導しているところであります。 災害の防止や環境の保全など,森林の持つ公益的機能が維持されるよう,県としては林地開発許可制度の適切な運用に努めているところであります。 ②林地開発を許可しないことの選択肢について 次は,林地開発を許可しないことの選択肢についてであります。 林地開発については,森林法第10条の2において,①土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあること,②水害を発生させるおそれがあることなど4項目のいずれにも該当しない場合は,許可しなければならないとされております。 このため,計画内容がこれらの許可基準のいずれかに抵触する場合は,県としては計画内容を補正するよう指導しておりますが,計画内容が補正されない場合においては,許可しないこともあり得るところであります。 ③林地開発の許可の根拠について 次は,林地開発の許可の根拠についてであります。 高千穂地区と野久美田地区の林地開発については,いずれも森林法や国の許可基準に基づき,書類審査及び現地調査を行い,切土・盛土の工法や法面保護対策,排水施設の能力,調整池や沈砂地の規模・構造等について,許可基準に適合することを確認の上,許可したところであります。 ④災害防止のための対応及び費任について 次に,災害防止のための対応及び責任についてであります。 林地開発の許可に当たりましては,工事着工前の主要防災施設の完成や,施工中の土砂流出の防止措置などの条件を付しております。 高千穂地区と野久美田地区の林地開発については,現在,いずれも沈砂池や大型土のう,編柵工の設置など土砂流出防止対策が講じられ,調整池の工事が進められているところであります。 なお,高干穂地区の林地開発につきましては,許可後まもなく,主要防災施設完成前の工事着工に当たると判断される行為があったため,直ちにこれを中止させた経緯があります。 県としては,引き続き,現地調査等を行い,土砂流出防止対策など災害防止の徹底について,事業者を指導してまいります。 |