これが、桜島の火山灰―。驚いた。通りを行く人たちが傘をさしている。降った灰を巻き上げて車が走り、通りは、霧がかかったように、先が見えない。信じられなかった。人口50数万人の街に火山灰が降る。なんて鹿児島の人は辛抱強いのだろう。桜島から逃げ出さずに、暮らし続けている。不思議だった。 それから、25年。私は、吉野から見る桜島が大好きだ。一軒一軒の家や走っている車までよく見える。魚見町から見る桜島、紫原から見る桜島は、雄大だ。明和から見ると手前の町並みから続いているように見える。春夏秋冬。雪が降っては桜島を眺め、暑さを感じては、桜島の空に入道雲を眺める。 火山灰を運ぶ風は恨めしくても、桜島はいとおしい。私も鹿児島人になった。 (2003.2.21) |