私はよく空を見る。もちろん天気も気になる。青空を見るとそれだけで元気をもらったように気持ちが弾み、曇り空だと、少々気が沈む。

 でも私がもっと気になるのは、夏の終わりのころの空。だんだんと空が高くなる。私は秋の訪れを、まず空に感じる。

 空が高くなると、私は焦る。もうすぐ秋。運動会の季節―。

 私は、小学校の少年団、中学校の部活と、陸上部だった。高校では、見つからないように走りながら、陸上部のマネージャーをした。だから、運動会は大好きだったが、負けるのは大嫌いだった。徒競走は1位でなければ嫌。勝つためには、とことん練習した。冬の持久走も小学校時代からずっと1位。大会前には、何度もコースを試走する。

 今は、年に4回だけ、町内の運動会と駅伝大会で走る。私が住む吉野町では運動会が盛んで、結婚前から運動会に走りに来ていた。若いときは、徒競走に走り、スウェーデンリレー、婦人のリレーに走り、最後に年代別リレーに走っていた。今では、徒競走のほかにはリレー1種目しか走れない。それも、徒競走の100メートルは長い。4年前の運動会。徒競走の最後の10メートルくらいになって、足がもつれそうになった。焦った。これではいけない、負けてしまうと、次の年から運動会が近づくと、夜、夫と近所を走ることにした。付け焼刃ではあるが、何もしないより、ずっと足が軽くなる。

 そして、運動会が終わるといつも思う。今日から毎日1年間走り続ければどんなにいいだろうと…。

 でも、また今年も、きっと空の高さに焦りを感じる日を迎えるのだろう。

(2003.2.15)