それは、私が4月生まれだということもあるのかもしれない。それと、私が教員をやっていたこともその理由のひとつかと思う。 小さいころからの夢であった、教師という仕事。私が初めて教壇に立ったのは、もう20年以上も前のこと。熊本市内の住宅地にある小学校だった。1年生の担任で、子どもたちと一緒に、教師生活1年生だった。毎日、子どもたちと勉強し、遊んだ。とても新鮮な創造的な仕事で、楽しくはあったが、慣れない仕事でもあり、とても疲れた。よく、子どもたちが帰った後の教室で、床の上に大の字になって寝転んだものだった。 だんだんと仕事にも慣れ、放課後教室に寝転ぶことはなくなったが、いくつも壁にぶつかった。43人の子どもたち(当時は45人学級)と、試行錯誤しながら、過ごす日々だった。自分の経験不足と力のなさに、自己嫌悪に陥ることも多々あった。たくさんの課題をかかえながらの教師1年生だった。そんな思いをしながらも1年がたつと学年末が近づいてくる。なんとなく、新しい学年になれば、そんな課題も「リセット」されるような気持ちになる。次の年、学級はそのまま持ち上がりであったが、新しい教室、新しい教科書を前に、新しい学級名簿に児童のゴム印を押していくと、「ようし、がんばるぞ」という新鮮な気持ちになってくる。自分が子どもの時、新しいノートをおろしたときの気持ちに似ている。 春になると、新しい何かが始まる―そんな経験が、私の気持ちを弾ませるのかもしれない。 (2003.2.14) |